この1年、ホントに暗い話題ばかり。
たまには明るい話題を書きたいなぁ…なんて思いつつ、年度の決算などが出てくると、またしても暗い話題一色になっちゃいますね。
主要旅行業者の取扱総額が1兆円割れ!
観光庁が、主要旅行業者の旅行取扱状況の2020年度版(2020年4月1日~2021年3月31日)の年度統計の速報を発表しました。
これによると、前年度比78.4%減の9,997億3,379万円になるなど、年度で1兆円を割り込むと言う事態に。
具体的な内訳で見ると、こんな感じ。
取扱額 | 前年度取扱額 | 前年度比 | |
海外旅行 | 424億5,926万円 | 1兆8,261億8,158万円 | 2.3% |
外国人旅行 | 90億9,914万円 | 2,261億156万円 | 4.0% |
国内旅行 | 9,481億3,871万円 | 2兆5,660億7,428万円 | 36.9% |
合計 | 9,997億3,378万円 | 4兆6,183億5,744万円 | 21.6% |
壊滅的と言える数値。
四半期ベースで見てみると、第3四半期の国内旅行が前年度比で66.7%、第4四半期が51.4%になっていて、この盛り返しが無ければ、もっと壊滅的だったと言える数値だが、年間通してみると、国内旅行も前年度比で36.9%しか稼げなかったと言うコトではある。
それにしても…
ざっくりと見て、3兆6,000億円もの売り上げが飛んだコトになる。
改めて見ると、やはり衝撃的な数値であるのは、間違いない。
そりゃ、KNT-CTも債務超過になるし(解消の目途はついているけれど)、経営再建に向けた中期計画を策定せざるを得なくなるのも、無理はない話です。
会社別だとH.I.Sが、前年度の5.8%!
観光庁は、主要旅行会社の会社別の取り扱い数値も出していますが、こんな感じ。
海外旅行 | 国内旅行 | 合計 | 前年度比 | |
JTBグループ | 126億5,877万円 | 4,021億5,777万円 | 4,125億4,536万円 | 26.7% |
H.I.Sグループ | 42億1,559万円 | 224億4,911万円 | 269億5,427万円 | 5.8% |
KNT-CT HD | 22億7,431万円 | 967億7,461万円 | 998億601万円 | 21.8% |
日本旅行 | 18億5,652万円 | 953億2,439万円 | 978億1,473万円 | 23.0% |
阪急交通社 | 25億161万円 | 559億2,880万円 | 584億4,400万円 | 17.4% |
ジャルパック | 4,286万円 | 563億1,475万円 | 563億3,592万円 | 31.5% |
ANAセールス | 4億9,450万円 | 470億3,616万円 | 475億4,361万円 | 27.4% |
逆に、こんな状況下でも海外旅行で126億円の売り上げを上げたJTBグループって、改めて、スゴイよな…と思っちゃうレベルだったりしますが、基本的にどの旅行会社も似たような感じで(富士急トラベルだけが前年度比で65.2%と健闘したのは、何故なのだろう?)、海外旅行比率が元から高かった旅行会社ほど、厳しい状態に追い込まれている感じ。
これまでも国内旅行の取り扱いはあったけれど、それでも主力は海外旅行だったH.I.Sなんかは、前年度比で5.8%の取扱高と言う結果。
海外旅行専業のエスティ―ワールドなんかは、前年度比で2.8%と言う落ち込みである(さすがに国内旅行も取り扱いを開始したけれど)。
各種の雇用調整助成金などが入ったとしても、さすがにこの水準では焼け石に水に近い。
そして何よりも、各社ともに“いつになったら…”と言うのが見えないのがツラい。
立て直しと次の収益の柱はワンセット
そもそも、今までのスタイルのままの旅行会社と言うのは、長い目で見れば今後、斜陽産業ではある。
ネット社会になって来て、パッケージツアーから個人旅へと軸足が動いている最中では、旅行会社の存在意義と言うのは、極めて難しくなって来ていたと思う。
確かにパッケージツアーの方がトータルで見れば安上がりなコトが多いし、どんどんマニアックな場所・国などにも進出してきているけれど、マニアックな場所はメジャーにはなりにくい訳で、極めて、ニッチな世界。
そこを突き詰めて行くと言うスタイルを取るのか、しっかりと手数料が取れるだけの人材を育てるのか…
そのどちらかが決め手になるのかな…なんて思っていたのですが、そんなコトは、このコロナ禍を前にすると一気に吹き飛ぶと言う感じですね。
次の展開を、どう作っていくのか。
KNT-CTは、クラブツーリズムで培ったモノをさらに展開して行くと言う感じ。
JTBは総合力もあるし、法人需要やイベントなどにも携えるだけの底力がある。
大手旅行会社だと、日本旅行・阪急交通社・ジャルパック・ANAセールスなどは後ろ盾もあるし、まだ色々な展開ができそうな感じはする。
ただそれ以外の旅行会社が、どう変わって行くのか。
コロナ禍は、その変わるべきタイミングを極端に早めたけれど、いずれは対応しないと行けなくなる話だった様には思う。
個人が発信できる時代に、どう旅行会社が主導でムーブメントを作っていくのか。
そこに期待したい所だけれど、それにしても取扱高が減りすぎて、それどころじゃなくなったな…
分かってはいたけれど、年間トータルで見ると、やっぱり激減すぎて、寧ろ、よく生き残っているな…とすら思えるレベル。
どうにかして次の収益に繋がる手が打てればいいのですがね、各社ともに。
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