モーリタニアにある秘かな冒険?
“モーリタニア”。
そう聞いて、何かピンと来る人が日本人の中で、どれだけいるのだろう。
モロッコ・西サハラの南側。
セネガルの北側に位置するタコの輸出で知られている国。
そのモーリタニアを代表する産業が、鉄鉱石の輸出。
そして、その鉄鉱石を輸出する貨車の上に、合法的に乗れちゃう国。
貨車の上に乗って移動する。
何だか、聞いただけでちょっと旅ココロをくすぐられてしまい、つい乗りに行ってしまいました。
ショムと言うモーリタニア北東部にある町(村?)から実際に列車に乗車。
と言うか、貨物列車、長すぎて何処に乗れば良いのか分からない!!
しかも、停車時間も分からないし、とりあえず、鉄鉱石満載の列車の上に飛び乗る様な感じで乗車。
特に、ホームも何もないから、“よじ登る”みたいな新感覚。
スグにうず高く積まれた鉄鉱石の山を崩して、その上にブルーシートを敷いて、寝床を確保。
その途端に、列車出発。
ゆっくりと動き出す貨物。
粉塵もそんなに舞い散るコトもなく、そこまで大したコトなかったかも…
夕陽もきれいに見えるし、これは夜になったら満天の星空が楽しめるかなぁ~なんて。
ホッとして、貨物の微かな振動に身を委ねた矢先、少しずつ貨物のスピードが上がり始めた。
それと共に…
粉塵が舞い始め…
容赦なく、鉄の粉が襲い掛かって来た。
目にも見えない程の細かな鉄の砂。
それが容赦なく、絶えるコトなく、ずっと、ずっと。
もう風景を見るとかそんなコト、無理。
そもそもサングラスをしていても、目を開いているのが無理レベルで、ブルーシートに包まって眠る様に静かにしているしか、為す術がなかった。
何処を走っているのかも、分からない。
今が、何時なのかも、分からない。
そもそも、いつ到着するのかすら、さっぱり分からない。
そして、良く思い浮かべてみたら、他に貨物の上に人が乗っていないっ!!
そりゃ、現地の人だって、よっぽどの人じゃなければ、こんな貨物の上になんて乗らないのか…
でも、それが納得出来てしまう環境。
挙句の果てには、グングンと気温が下がってくる。
全身をありったけの服で包み、更にブルーシートに包まる。
一体、何をしているんだろう、モーリタニアにまで来て。
わざわざアフリカの、それも西部にまで来て。
朝日が差し込み始めたのが、ブルーシートの上からでも何となく分かった。
少しずつ、気温も上がり始めたな…と思った途端に、貨物列車が止まった。
ようやく到着したのだ。
ひたすら止まるコトなく走り続けた貨物列車に揺られ(正確には1回だけ行き違いで、真夜中に停車したけれど)、ショムから距離にして、大体、400キロほど離れたヌアディブへと到着。
前身、真っ黒クロスケ状態になりながら、急いで貨物列車から飛び降りる。
“ようやく着いた~!!!!!!!!”
辛いだけの移動だったけれども、それと同時に、何故か、
“あ、楽しかったかも…”
と少しでも思ってしまう自分がいたり。
手も顔も服も真っ黒だし、服の中、靴の中、靴下の中…とありとあらゆる場所に、鉄粉が舞い込んでいると言うのに、どうしてそんなコトを思ったのだろう…と、自分でも笑ってしまったけれど。
楽しかった。
それは、いつもと違う移動の仕方だったから。
でも、“絶対、2度と乗らない!!”
そうも思ったけれど(逆区間ならアリだけれども)。
いつもの移動手段に飽きてしまった方、超ドMな旅人な方、おススメです!!
準備は念入りに!!
まずは準備。
“町”と言っても、そんなに大きな町じゃなく大きな村レベルのショムが基点になる訳だけれども、この町にはあまり期待しない方がベター。
・サングラス
・ごみ袋
・ブランケット
・ブルーシート
・ターバン
サングラスじゃなくて、水中メガネの方が、しっかりと目元をカバー出来るかと思います。
また防水スマホケースも役に立ちます。
この中でモーリタニアで準備したのは、ターバンだけでしたが、どれもしっかりと利用しました。
ショムの町で、早速、ターバンを巻いてみましたが、全然、上手く行かなくて、結局、現地の人に巻いて貰いました(笑)。
服もターバンも黒。サングラスも黒で、肌の露出もゼロ。
だ…
誰ですか!!状態でしたが、そんな感じでも鉄粉は容赦なかったです。
まぁ、どんな装備をすればイイのか、全然、分からなかっただけだけど。
ショム→ヌアディブは鉄鉱石が乗っていてボクの様に辛いだけの移動になるのですが、ヌアディブ→ショムは空っぽの貨車の中に乗れるので、全然、楽っぽいです(昼間の便になるので暑さが厳しいかとは思いますが)。
ショム→ヌアディブは、時刻表通りだと18:00発(毎日)で朝着。
逆ルートだと、18:00にはショムに到着する感じ。
因みに、両方とも終点じゃないので注意です(ヌアディブ側の終点は、駅じゃなくて港なので)。
シンゲッティに行こうとするならば、わざわざ首都を経由しなくて済むので便利かと。
尚、客車も1両だけ最後尾に付いていますが、コチラは当たり前ですが有料で、貨物の上に乗る場合は、無料になります。
アイアントレイン乗車中は、鉄の粉塵が絶えず襲い掛かっていたので、ほとんどカメラが出せなく、あまり動画がないのですが、最後にチラッとだけ貨車の上からの動画を載せています~。
モーリタニアの雰囲気だけでも伝われば…と。

・アイアントレインに乗るぞ!!(準備編)
・アイアントレインに乗るぞ!!
・アイアントレインに乗るぞ!!(あとがき)