日本旅行、128億の赤字!
HISなどの旅行会社が続々と決算を発表していて、各社ともにコロナ禍での需要減退を色濃く反映した内容になっていますが、大手旅行会社の1つである「日本旅行」が、2020年12月期の通期決算を発表しました。
発表によると、純損益は127億9,100万円の赤字と言う内容で、やはり他の旅行会社同様に厳しい決算内容でしたが、まずは詳細を見てみるコトに。
2020年12月期 | 2019年12月期 | 前年度比 | |
営業収益 | 237億800万円 | 547億4,800万円 | ▲56.7% |
営業利益 | ▲116億2,100万円 | 15億3,500万円 | - |
経常利益 | ▲93億6,200万円 | 25億1,600万円 | - |
当期純利益 | ▲127億9,100万円 | 16億2,400万円 | - |
コロナ禍で売上が半減強。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、過去最大の赤字に陥った。
但し、「Go To トラベル」で2020年10月以降は、販売額が前年同月を上回った月もあったようで、光がやや見えていた矢先でしたが、それも緊急事態宣言を受けて、ほぼ消滅。
結局、国内旅行は約60%減で、海外旅行は約90%の減と言う結果に。
中期計画を見直し!店舗数は半減!
今回の赤字を受けて、「日本旅行」も2020~2025年度までの中期経営計画を見直すコトを発表しています。
まずは2021~2022年を構造改革期、2023~2025年度を発展成長期とし、まずは事業構造の改革や運営体制の見直しなどを行ない、早期の黒字転換を目指すとしています。
そのために、グループ全体の店舗数は194店舗から2022年度末までに約90店舗まで半減させるコトとし、法人営業拠点も集約を進めることに。
2022年度は新卒採用を見送り、グループ内外への出向・移籍で約3割の人員を削減。2022年度末までに100億円規模の経費を削減するコトに。
添乗員付きの商品は、ヨーロッパに特化し、他の方面については、WEB販売へシフト。
非旅行業分野(移動を前提としない大会・会議運営・人材派遣・事務局運営など)の強化も謳っており、アライアンスパートナーの拡大させるのを視野に“事業共創推進本部”を設置するコトも盛り込まれました。
が、柱になるのは、JR西日本グループとして、よりJRとの提携を強めると言う感じでしょうか。
「赤い風船」については、2025年度までに70%までWEB販売比率を高めるコトを目標にし、JR西日本グループホテルの販売強化などで、しっかりと利益を確保して行く形のようです。
広がりを感じさせないけど…
恐らく、社内ではコロナによる影響が出始めて以来、ずっと検討が進められてきたのでしょうが、動きとしてはやや遅いのかな…と言う感じがしてしまいました。
コロナ禍の影響が長引いている中で、矢継ぎ早に構造改革や次の一手を打ち出している旅行会社もある中で、そんな感じがあまりしない…と言うか(単に、ボクが知らないだけと言うコトも大きいですが)。
また“JRセットプランの発売で圧倒的地位の確立”だとか、“アライアンスパートナーとのソリューションビジネス”だとか、正直、なんかパッとしない感が残った気もします。
今だってJR西日本グループとして、JRとの連携は強い訳ですし、結局、さらにそれを強めて行くだけ?みたいな。
もちろん、JR西日本グループであると言うのは、「日本旅行」の1つの強みではありますが、広がりを感じない…と言う気がしてしまう。
ただデジタル展開を進めると言う点では、グループの会員情報などが生きて行くのは確かですし、しっかりとした土台にはなるのでしょうが。
アライアンスパートナーの拡大に伴う事業領域を広げて行くと言うのも、既に旅行業界最大手である「JTB」は、その分野でも遥か先に進んでいる感があり、確かに「日本旅行」としては、まだまだ拡大余地はありますが、どこまで収益化を拡大できるんだろう…と言う気も。
まぁ、逆に言えば、JTBや近畿日本ツーリストなどとは違った形での中期計画になっているので、強みを生かしていくと言うコトなのでしょ。規模的には充分大きいですし、底力はあるでしょうから。
ただ元々、旅行会社と言う業態が、薄利多売が原則になっている様な業態であり、今回の赤字額は非常に大きいと言え、今後も当面は、この赤字の傷が響いて来そうな決算になった感じですね。
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