HIS、持株会社移行、一時中止!
HISは、2021年11月1日付で予定していた持株会社への移行を、一旦中止にするコトを発表しました。
これは新型コロナウイルス感染拡大に伴う業績の落ち込みで、現行の組織をまずは維持するコトが必要であると判断したコトから。
HISの持株会社化は、2019年10月に発表された計画。
この時は、2020年8月を目途に移行する計画であったが、2020年6月にコロナ禍への対応を優先し、新体制への移行が遅れており、2021年11月1日に移行を延期すると発表していましたが、今回の発表はこれを当面、中止すると言うコト。
但し、持株会社体制への移行は、将来的にはグループにとって必要な施策だとして、今後も実施する予定で、時機については検討を継続するとしています。
第1四半期は79億円の赤字!
HISの持株会社化移行の一旦中止の裏側は、もちろん、コロナ禍の業績悪化による話。
2021年10月第1四半期(2020年11月~2021年1月)の業績も発表になりましたが、これによると、純損益は79億8,100万円の赤字と言う状態。
具体的に見てみると、こんな状態。
2021年 第1四半期 | 前年同期 | 前年同期比 | |
売上高 | 388億6,000万円 | 1,996億1,800万円 | ▲80.5% |
営業利益 | ▲116億7,700万円 | 37億9,100万円 | - |
経常利益 | ▲117億9,800万円 | 43億8,800万円 | - |
四半期純利益 | ▲79億8,100万円 | 21億7,700万円 | - |
元々は海外旅行に非常に強い旅行会社な訳ですが、期間中の日本出国者数がそもそも11万人しかおらず、これは前年度期比で見ると97.6%の減少。これで売上が出る方がどうかしている。
主力だった海外旅行事業の代わりに国内旅行事業を強化。特に「Go To トラベル」を最大限活用するなどしていたが、12月末の全国一斉一時停止で、取り扱いは何とか前年同期並みを確保したと言う状態。
オンラインツアーについては、設定数が3,500コースを越え、50,000人以上の利用があったが、ここまで既存事業が落ち込むと、カバーできるハズもなく、93億9,400万円の赤字を計上(前年同期は23億700万円の営業利益)。
ハウステンボスについても、入場者数は、「Go To トラベル」の効果もあってか持ち直してきていて、前年同期比88.3%の60万9,000人まで盛り返して来た感じで、テーマパーク事業については、約10億円の黒字を確保。
ホテル事業については、3つのホテルを開業するが、売上高は約半減の約17億円で、13億7,400万円の赤字(前年同期は3億1,100万円の黒字)を計上。
九州産交グループも、営業損失が4億9,700万円。エネルギー事業も7億400万円の赤字を出すという決算内容でした。
各セグメントごとの損益に加え、雇用調整助成金などで、約34億円の特別利益を計上したが、やはり収益の大黒柱である旅行事業の損失の大きさはカバー出来る訳もなかったと言う内容でしょうか。
いつ立ち直りが見えて来るのか…
HISは比較的、コロナ禍以前から多角化に精を出していた旅行会社。
国内事業が弱含みではあったけれども、海外支店網も豊富だったし、リスクヘッジと言う意味では、日頃から行われてきたように思うが、やはりここまで「旅行」が縁遠くなると、もうどう足掻いても収益は確保できないだろう。
要するに、どれだけ傷を浅くできるか…と言うコト。
コロナ禍であっても、国内事業の強化やオンラインツアーなど、対応は早かったように思う。
ただ正念場は、ココからと言う感じなのだろう。
どこまで傷を浅くできるのか。
そしてどれだけ早く回復できるのか。
「Go To トラベル」頼みじゃなく、自力でどこまで持ち直せるのか。
JTBやKNTは法人と言う頼みがあるように思う。
コロナ禍が落ち着いてきたら、コンベンション系もイベント関連も盛り上がって来るだろう。
だが、HISはどこに稼ぎを求めて来るのだろう…
飲食業などにも進出してきたけれど、さすがに収益の柱になるには、まだまだ時間も掛かるだろうし。
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