花咲線、1日1往復、指定席車両を増結運転へ!
経営難が続く「JR北海道」。
北海道新幹線・札幌都市圏を含む全路線が、現状、赤字での運営になっているのだから、そりゃ、経営難にもなる訳ですが、そもそも札幌圏以外は定住人口が減っていて過疎化がどんどん進んでいるのだから、なかなか打つ手がナイ。
さらに言えば、赤字が続いているので、思い切った増収策も打ち出せない悪循環に入っているようにも思えるが、2023年8月1日~9月30日に掛けて、JR根室本線の末端区間である通称「花咲線」(釧路~根室間)で、毎日1往復、指定席車両を増結して運転されるコトが発表になりました。
ひとまず具体的な内容から。
- 期間|2023年8月1日~9月30日
- 以下の便で指定席車両を増車して運転
・釧路 08:21 根室行き(地球探索鉄道号として運転)
・根室 11:03 釧路行き(快速はなますとして運転) - 増車し海側一部車両が指定席
- 指定席価格|530円
- 指定席発売個所|全国のみどりの窓口・旅行会社
観光需要が増えたコトにより、その取り込みを図ったモノですね。
普段、1両でトコトコと走っているローカル線ではありますが、そこに指定席を含む車両を増車して対応すると言う感じです。
注意点は、指定席券は、車内での販売がナイと言う点。
事前に購入する必要があります。
ただこの「花咲線」で指定席券を事前に購入ができるのは、釧路・厚岸・根室駅の3駅のみ。
その他の途中駅から乗車の場合、事前に購入しておかなければ、この列車の指定席に乗車するコトが不可能となります(ただそもそもそこまで途中駅からの乗車があるのかは、疑問ですが)。
JR北海道釧路支社としては、
この機会にぜひ、花咲線の雄大な景色をゆっくりとお楽しみください
とコメントしているのですが、その通り、雄大な景色を堪能できる路線なので、今後、繁忙期に繰り返し実現するような企画に成長すると良いですね。
閑散路線の末端区間なのに…
「花咲線」は、根室本線の末端区間。
釧路と根室と言う2つの都市を結ぶ区間ですが、現状、特急列車が走る訳でもなく、目立った観光列車が走る訳でもナイと言う区間なだけに、そこに増車してまで指定席車両を導入してくるとは、ちょっとびっくり。
いや、正直に、JR北海道、頑張ったなぁ…と。
2016年に発表した「自社単独で維持するコトが困難な路線」として10路線13区間を発表した中にも、根室本線は
・滝川~富良野間…自社単独では、持続的な維持の費用が確保できない線区
・富良野~新得間…持続可能な交通体系への転換の相談を開始
・新得~帯広間…JR北海道単独で維持可能
・帯広~釧路間…当面、JR北海道による運営・維持の継続が可能
・釧路~根室間…自社単独では、持続的な維持の費用が確保できない線区
としていて、災害で不通になっている区間のある富良野~新得間は、バス転換に向けて動き出しているところ。
JR北海道、根室線富良野~新得間、バス転換に向けて動き出す
「花咲線」は、この区間に続く経営状況が悪い線区に位置付けられている状態ですからね。
2022年度の営業係数は818。
つまり100円を稼ぐのに818円が掛かると言う赤字区間。
釧路で完全に系統は分断されていて、現状、釧路~根室間のローカル輸送に徹していて、普通列車も4.5往復。
快速のはなますが1往復と快速のノサップが下り1本のみと言う超・閑散区間(このほかに区間列車が釧路~厚岸間で運転されている)。
さらに数少ない普通列車ですら通過する駅があるレベル。
そんな閑散区間に、まさか指定席車両を増結すると言う増収策を打ち出してくるとは…と言う感じ。
増結車両がキハ54形とすると、大した定員にはならないし、指定席になるのは海側のみとのコトなので、ホントに微々たる増収策と言えるのかも知れないけれど。
毎年恒例企画になれば良いけれど…
この区間、夏の晴れている時期なら、ホントに雄大な車窓が広がる線区なだけに、この機会に利用が広がれば良いなぁ…と思うけれど、実際にはどれぐらいの増収が見込めるのかな?
増結されるのはあくまでも普通・快速列車にと言うコトなので、利用期間内ならば指定席券さえ購入してしまえば、青春18きっぷでの乗車も可能ですしね(もちろん、指定席料金は単純に増収と言う形にはなりますが)。
そこまで増収に繋がる訳じゃない。
ただそれでもやらないよりはマシ。
そしてその先の活性化に少しでも繋がる施策なだけに、繁忙期だけでも恒常化するぐらいの人気が出て行けばいいですね。
毎年恒例企画になればいい。
まぁ、それぐらいでも赤字額からすれば焼け石に水なのは確かだけれど、需要を増やす・機運を盛り上げると言うのは、やっぱり毎年の積み重ねだとも思うので。
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