JR北海道、根室線富良野~新得間、バス転換に向けて動き出す

月内にもバス転換が決まる可能性も

採算が悪化していて、「JR北海道」が2016年に単独では維持困難として10路線13区間を発表していますが、その内の1つで、輸送密度が200人未満の路線として名前が挙がった根室本線の富良野~新得間81.7kmについて、JR北海道は2024年3月末で廃止する方針を沿線の4市町村との会議で明らかにしました。

廃線後は、バス路線に転換。
支度金として、約20億円を支払うコトも提案しています。

仮に鉄道路線として維持する場合には、「JR北海道」は年間10億9,000万円の費用負担を求めているが、これは不可能として沿線自治体もバス転換を議論して来た形。

北海道知事である鈴木直道知事も記者会見で根室線について触れ、

将来を見据えた最適な交通体系を構築していくことに向けて、市町村の皆さまはもとより、地域の関係者の皆さまとしっかりと議論を積み重ねていくことが重要だと思っています。私も夕張市長時代に、夕張支線の廃線を受け入れたということがあります。そういったことからすると、心情を察しますに、本当に苦渋の選択であるということもあります。ですので、そういった意味からもしっかり寄り添いながら、最適な交通体系の構築に向けて、しっかりと取り組んでいくことが重要であると考えています。

知事定例記者会見(令和5年3月8日)』より

と、ほぼ廃線に向けてのゴーサインを出したに等しいようなコトを話しているので、やはり廃線は既定路線になっている感じ。

富良野市の北猛俊市長も、年度内には決着したいとしており、月内にも結論が出そうな勢い。

それに対して、新得町の住民団体「根室本線の災害復旧と存続を求める会」や富良野市の「富良野鉄道未来の会」などが、知事に対して存続を求める8,416筆の署名を提出した。

この署名では同区間は道北と道東を周遊する観光列車のルートになるコトに加え、豪雪シーズンに旭川と新千歳空港を結ぶ代替ルートにもなるとして、存続を求めた形。

結論がどうなるのか。
それはまだ不明な部分はあるが、地元自治体としては、既存のバス路線をベースにしたデマンド交通を含めた新たな交通体系を「JR北海道」側に提示したコトもあって、やはり廃線が濃厚な感じは受けますね。

正直、鉄道路線として残すには厳しさがある路線。

署名活動では、道北~道東の周遊ルートとして…とあるが、そもそもそのボリュームがナイのに加え、現状、そうした列車も無ければ、道北への宗谷本線も名寄以北は存廃がいつ浮上してもおかしくはない情勢。

旭川~新千歳空港への代替路線にもなりうるとしているけれど、過去に遡ってみても、その機能を有しているとは言い難い状態。

特急のルートは石勝線に流れていて、利用者も多くないとなれば、もう鉄道として残す理由が、乏しくなっているのが実情。

そして何よりも2016年の台風被害で東鹿越~新得駅間が不通状態。
2022年3月の改正後は、同区間は4往復のみのバス代行(その他に落合→東鹿越駅行きが1本アリ)で、富良野駅発着の代行バスすら消滅。

つまり何年も鉄道として機能していない状態であり、代行バスですら4往復で済んでいるのが実情。

それで再度、鉄道として復旧して運営して行くと言うのは、ムリがあるように思う。

北海道新幹線の並行在来線で、一定の需要があった小樽~余市間ですら鉄道として残せない状態の「JR北海道」に、この根室本線を残せと言う方が難しいだろう。

北海道新幹線、並行在来線山線は小樽~余市を含めてバス転換へ!

輸送密度が極端に低いと名指ししていた路線の中で、札沼線の北海道医療大学~新十津川間は、既に廃線済み。
留萌線も段階的に深川~留萌間の廃線になるコトが決定済み。

輸送密度が極端に低い路線・区間として最後まで残っていたこの根室本線の富良野~新得間だったので、「JR北海道」としては、廃止は既定路線と言う感じなのだろうな。

ただこれで終わりじゃないのが、「JR北海道」の経営状態。

残る根室本線の滝川~富良野間であったり、釧路~根室間も、存廃の話題がいつ出てもおかしくない状態ですし、宗谷本線の名寄以北なども、安泰じゃない。

どこまでJRが耐えられるのか…
もうそんなレベルになっている気がするな。

黒字にならなくても残すべき?

乗客が少ない。
地域の人も、どんどん減っている。

ならば外から呼んでくるしかない。

根室本線の今回の区間の赤字は、それでも解消できるとは思えない。

だけれども、地域に賑わいができるコトによって、“鉄道が必要だ”と言う認識が生まれなければ、もう今の需要に合わせた交通体系への変更を考えるべきだとは思う。

ノスタルジーだとか心情では経営はできない訳だし、鉄路は残せないのだから。

ローカル線でも鉄道単体ではなく、地域トータルで見た損益は見るべきだとは思う。
仮に地域全体への効果で見た際に、プラスであるならば、自治体が積極的になるべきでしょうし。

ただ、そうした声が日本では、なかなか主にならない。
それだけ地方自治体も疲弊していると言えるのでしょうが…

あと気になるのは、そもそも「JR北海道」が積極的に増収策に打って出たと言う形跡が、あまり見当たらないところ。
まぁ、それ以前に、もう経営的に余力がないのでしょうが。

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