JR東日本、久留里線久留里~上総亀山間の交通体系についての申入れ実施

通過人員1日55人の末端区間

「JR東日本」は、2023年3月9日、需要が低迷している千葉県を走る久留里線の久留里~上総亀山間について、沿線地域の総合的な交通体系に関する議論を行ないたいとして、千葉県ならびに君津市に対して申し入れを行ったコトを、発表しました。

久留里線は木更津(千葉県木更津市)~上総亀山駅(同君津市)間32.2kmを結ぶ路線。
ちょうど房総半島の中央部を内房から内陸に向けて走る盲腸線。

利用者数は年々減少を見せており、2021年度の平均通過人員は1日あたり782人。
1987年の民営化時点から比べると、約30%にまで減少している状態。

特に、今回、申し入れの対象となった久留里~上総亀山間の末端部分については、利用が少なく、平均通過人員は1日あたり55人。
民営化時点では平均通過人員は、823人であったコトから、大幅に減少した状態に。

「JR東日本」としては、

鉄道の特性である大量輸送のメリットを発揮できていない状況である

との認識でいる模様。

2021年度の同区間の営業係数は19,110円(100円の営業収入を得るのに要する営業費用)。
収入も約100万円で収支率は0.5%と首都圏エリアに位置する路線ではありますが、「JR東日本」管内としては全路線中、最悪の数値(陸羽東線の鳴子温泉~最上間と同じ数値)になっているコトから、今回の申し入れと言う形になった模様。

都心直通のバスに、どう対抗する?

今回の申し入れで、直ちに廃線と言う訳ではない。

ただ「JR東日本」としては、もう鉄道による使命は終えたと認識しているのであろう。

実際、1日あたりで55人の通過人員と言うコトであれば、バスで充分。
いや、バスですら過剰なぐらいのレベル。

沿線住民は、首都圏ではあるが、もう減っているのが現状。
なので、この先、ますます減って行くであろうコトが予想できる。

そうなると、さらに数値が悪化してもおかしくはない。

そうなると、沿線外に活路を見出すしかない。
幸いなコトに、超メジャーな観光スポットがある訳じゃないけれど、全く観光スポットがナイと言う訳でもないとは思う。

亀山湖や亀山温泉もある。
鉄道需要に繋がっていないのが実情だとは思う。

終点の上総亀山駅から歩ける場所に、千葉駅~安房鴨川~亀田病院を結ぶバス「カピーナ号」や東京タワー・八重洲バスセンター~安房鴨川・パークウェルステイト鴨川を結ぶ「アクシー号」のバスも通るし(両路線ともに久留里も停車する)。
「アクシー号」は、木更津金田バスターミナルも経由するので、成田・羽田空港方面への乗り換えもできる。

対抗するバスが、首都圏と房総半島内の需要を拾い、着実に便数を増やしているのに対して、盲腸線の久留里線はジリ貧状態。
だが、後背地に人口の多い首都圏エリアを抱えているだけに、観光需要をもっと拾えて行ければ、もう少し通過人員や収支率は改善するのだと思うけれど、さすがにここまで需要が減ってしまうと焼け石に水状態になのかも知れない。

ついにJR東日本でも存廃問題か…

首都圏の旺盛な需要を拾い、地方路線の収益を賄ってきた「JR東日本」。

震災などの自然災害以外では、廃線に繋がるようなコトはなかったけれど、今回、久留里線の末端区間が、議論の対象になった。

特にバス路線もある状態で、バスならば東京・千葉駅に1本で出られるコトもあって、かなり情勢は不利な感じだが、果たしてどうなるコトか。

地元自治体(千葉県・君津市)がどう捉えるのか…と言うのもあるのだろう。

ただコレを機に、あまり風が出ていなかった「JR東日本」管内についても、利用が少ない路線はいろいろと存廃が浮上して来るのかも知れないですね。

全国的に、そろそろ交通体系の見直しと言うのが、抜本的に必要になっている場所が多いでしょうから。

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