ちょっと前の話題なのですが、パラグアイの話。
この話を聞いた時、一気にぶわっとパラグアイのペンション小林の記憶が脳裏を占拠しました。
特に何かがある訳じゃない。
何かをする訳でもない。
いや、何もできないし、何もしない。
そんな空間と時間だけが広がるペンション小林。
だけれども、脳裏に焼き付く風景。
そうした風景も、再訪できない間に、少しずつ変わって行くのだろうな…
イグアス移住地から、UCC上島が撤退!
パラグアイの日本人入植地の“イグアス移住地”。
8月22日には節目になる60周年を迎えた場所。
その“イグアス移住地”の土地の内、約10%程度を所有していたUCC上島珈琲が、7月にブラジル企業に子会社を売却したコトが判明しました。
売却されたのは、現地農場の“CAYSA”。
5,730haの土地を使って3,000頭の牛の飼育などを行っていたが、2001年時点でイグアス日本人会会員による土地の所有面積は、移住地全体の約28%に当たる24,227ha。
この28%には今回売却された土地は含まれていないが、これだけ大きな土地を擁する企業や農家は、他におらず、日系人の存在感が低下して行くのは否めない。
ただUCC上島珈琲の代表取締役会長である上島氏は、神戸市・パラグアイ国名誉総領事を務めていたり、移住地にも何度も足を運んで来ていて、別に関係が浅かった訳でもなく、寧ろ、UCCがCAYSA農場の株を取得したのは、1983~84年。
それ以来、この地の発展に対して、グループ全体で力を尽くして来たのは事実だと思う。
そして、UCC上島珈琲は今回の売却については、民間企業間の取引であり、特に問題点もない話ではある。
過去には格安で日系社会に売却したケースも…
日系人移住地の中の広大な土地。
だからこそ日系人に売って欲しい。
心情的な部分は、分かる。
あくまでもこの土地は、先人たちが、絶望と苦労の果てに切り開いてきた土地でもある訳だし。
過去にも日系企業が撤退する場合に、現地の日系農業組合に格安で売却し、売却先の組合が購入希望の組合員に分譲したケースもある。
今回、そうした対応にならなかったコトに対して、残念だと言う声が上がるのも理解ができる。
ただ企業が行なう取引であり、それを格安で売却と言うのは、本来、どうなの?と言う部分はあるし、それを求めるのも違う話ではある。
だけれども、日系社会に対しては、全く相談もなかったと言うのは、やっぱり残念な感じはしますね。
せめて先に相談ぐらいあっても良かったような…と言う感じ。
支え合いながら、維持してきた土地なのでしょうから。
変わって行くモノと変わらない記憶
イグアス移住地。
過去に訪れたコトのある場所。
地球のほぼ裏側に位置しながら、今でも日本以上に日本が残る。
そんな場所。
棄民に近い形で置き去りになったハズなのに、自らのルーツに誇りを持つ方も多かったと感じられたし、それが今のイグアス移住地の力にもなっているように思えた。
今回、大きな土地が売却されたコトで、どう変わるのか。
それは分からない。
変わるのか、変わらないのか。
ただ変わらないモノがナイのも事実。
まだイグアス移住地の場合、一世が存命されているから、他の南米内にある移住地などに比べると、まだ“日本”が強いように思う。
だから、このタイミングで土地が日系の手から離れても、コミュニティは維持できるハズ。
少なくとも、当面は。
でも、いずれ代が変わって行く毎に、日系人としてのアイデンティティは薄れる。
日本との距離は、少しずつだけれども、確実に、遠くなる。
既に現地に根付いた生活をしている状態。
それを埋める必要があるのかどうか。
パラグアイのイグアス移住地。
いつでも脳裏に焼き付いている赤土の大地。
まだまだ一世がご健在だと言えども、これから変わって行く時間軸に入って来たのだろうな…と、改めて。
そして、変わりゆくとしても、変わらない間にまた再訪しておきたい場所の1つでもあると…
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