米軍、アフガニスタンから撤退。邦人救護は課題しかない

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アフガニスタン。
米軍が絡んできて約20年。
ホント、この20年の月日は一体、何だったのだろう。
結局、何も進展しないだけの20年だったようにも思う。
そしてこれからの20年は、どう言う国造りをして行くのか。

これ以上、混迷を深まらないコトを望むばかりではあるが…

米軍、アフガン撤退を完了!

米軍が、アフガニスタンからの撤退を完了したコトを米中央軍のマッケンジー司令官が、日本時間の2021年8月31日に発表した。

最後のC-17輸送機が、ハミド・カルザイ国際空港を米東部時間の8月30日15:29(日本時間8月31日4:29)に離陸し、アフガニスタンからの米国市民と第3国の国民ならびに攻撃を受けやすいアフガニスタン人の退避作戦が終了としている。

今後も、外交上の退避作戦を継続すると共に、軍事上の退避は完了したが、さらなる米国市民と資格のあるアフガニスタン人で出国を望む人々を確保する作戦は続くとしているが、2001年9月11日以後、20年に及んだ作戦が終了したのは間違いない。

これまでに少なくとも2,461人の米軍兵や市民が死亡し、20,000人以上が負傷した今回の長きに渡るアフガニスタンへの米国の作戦。

近日も空港で自爆テロがあったほか、空港に対するロケット弾攻撃や、さらなるテロの脅威があったために、最後の12時間は在留米国人も空港に辿り着くコトができず、未だに米国民100~200人がアフガニスタン国内に残されている状況と見られている訳だが、何とも後味の悪い最後になったのは、間違いがない。

自衛隊機で退避させた邦人は1名だけと言う事実

こうした中、日本政府も自衛隊をパキスタンのイスラマバードにC120輸送機2機とC2輸送機1機を邦人救護に向かわせていたが、岸防衛大臣が自衛隊機と隊員の撤収を命じた。

米軍の撤収により、派遣の前提となる現地の安全を確保できなくなったのが、撤収の理由。

だが、この3機での活動は、合計5往復。
退避させた人数は、邦人1人と米国から要請されたアフガニスタン人14人の合計15名。

この人数が少ないのかどうかは置いておいて(そもそも現状で何人の邦人がアフガニスタン国内に留まっているかも不明だし)、空港周辺でテロがあった為に、満足に空港に辿り着けなかったのが大きく、大使館などのアフガニスタン職員とその家族など約500人の協力者の退避には、失敗をした形になった。

失敗をした理由。

最たるのは、初動が遅れたと言うコトなのだろう。

ただ初動の遅れは、自衛隊機を出すと言う側面では、どうしても他国より遅くなりがちなのは、理解ができなくはない。

自衛隊の派遣については、隊員の安全確保がまず絶対要件になる訳で、今回も、カブール空港については、米軍の管理下にあり、空港内だけならば安全は確保できると言う解釈で、自衛隊機を派遣している。

自衛隊法に縛られる今の自衛隊だが、派遣へのGOが出てからは、迅速に対応していると言える。

またタリバンの侵攻とそれに伴うカブール陥落が、誰の予想よりも早かったと言うのも、その理由として挙げられるのだろう。

外務省に問題はなかったのか

問題なのは、外務省の方である。

まず時系列的に気になるのは、そもそも米軍撤退の期限は前以て分かっていた話。

確かにタリバンの侵攻は、米軍ですら予想しえなかった早さだったし、前政権が崩壊しカブールが陥落したのも、あっと言う間だったのは事実だけれど、そもそも撤退期限が分かっていた中で、どう動いていたのか・動こうとしていたのだろう…と言うのが、疑問点。

そして最大の疑問点は、日本大使館職員は、8月17日時点でイギリス軍用機に同乗して、国外へと退避していると言うコト。

ギリギリまで大使が空港内に留まり、ビザの発給業務を続けていた国があるのと比べると、かなり差があるように思う。

もちろん、この17日時点では、自衛隊機の派遣が決定していないタイミングなので、空港に留まると言う選択肢が正しいとも言わないし、別途、検証が必要だとは思うけれど、救護すべき邦人と、協力者を見捨てたとも見える行為なのは間違いがない。

邦人救護は大使館の中でも、最も重要な業務だとも思うのだが、それを放棄したと言わざるを得ないのでは…と。

まぁ、結局のところ、日本の外務省に、邦人救護なんて、基本的には不可能なのだ。

まずは紛争地での安全を担保するための武力派遣ができない。
これは日本の自衛隊と言う特性上、仕方のない話だし、個人的にはこれ以上、自衛隊を海外に派遣するのもリスクが高すぎると思う。

だが、それ以上に日本の外務省は、独自の情報を持たなければ、独自の人脈やルートも乏しいのが現実だろう。

この部分は、どうにかして行かなければいけない部分なのだと思うが、やはり予算にも限りがあり、全世界に幅広く…と言う訳にも行かないのだろう。

ただ何よりも、自国民の救護を軽んじている風潮すらあるのでは…と言う気がしてならない。

自国の大使館に行って、マジックミラー越しに対応する国なんて、日本ぐらいしかナイだろうしね。

米軍の重しのない中で、協力者をどう守るのか

ただ今後に様々な課題を残したのは事実。

現行法上で、どう言う対応をするべきだったのか。

それは真摯に向き合うべきなのだと思う。
誰かが…とか、何かが…とかを非難する訳じゃなく、しっかりと結果を受け止めて行くべき必要があると。

また現在、アフガニスタンで出国を希望している現地スタッフがいるのも事実。

それを見捨てる訳には行かない。
タリバン自体は、変わった感をアピールしているが、末端までそれが行き届いていないのも事実だし、そもそもどこまで変わったのかも定かではない中で、協力者が残されると言うのは、危険すぎる話。

どうやって圧力を掛ければ、協力してくれた方々を守れるのか。

そして次に繋げて行くコトができるのか。

 

政府として、外務省として、この退避が終わりではなく、次への始まりにしっかりとなるようにして行くコトと、協力者を守るコト。

まだまだ真価が問われる時にはなりそうである。

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