中距離国際線向けの新LCC
ANAがコロナ禍の影響で大幅な需要減少を受けて、決算(+決算予測)並びに事業構造改革を発表しましたが、その中で、ANAとLCCのピーチの他に、新たなLCCを第3のブランドとして2022年度を目途に就航させるコトが発表になりました。
この第3のブランドとなる新LCCは、「エアージャパン」を母体にし、中距離国際線を担うとしています。
具体的には、東南アジアやオセアニア路線が対象になると見られ、300席クラスのボーイング787型機を利用すると言うモノ。
既に、航空機材自体はANAで活用している機材ですし、運航会社も既にある「エアージャパン」を母体にするコトで、速やかな事業の立ち上げが可能になるとしています。
JALは既に、中・長距離路線を担当とするLCCである「ZIPAIR Tokyo」を立ち上げており、コロナ禍で路線開設などに遅れは出ましたが、ようやくソウル・バンコク線の旅客運航もスタート。
懸案だったETOPSも国土交通省航空局から180分の承認を得たので、洋上の長時間飛行が可能になり、ホノルル線の就航を見据えている状態。
ANAの新LCCは、従来から「エアージャパン」が運航しているホノルル線についても、路線展開の対象になると言うので、「ZIPAIR Tokyo」と事業領域がやや被る形になりそうです。
ピーチとの棲み分けは?
具体的な路線としては、東南アジアのシンガポールやバンコクなどが挙げられており、日本からも相手国からも、双方向の需要が強いところを狙うとしています。
ただ既に、ANA傘下の「ピーチ」が新機材であるA321LRの導入を決定していて、東南アジア路線への展開を視野に入れている最中(納入は2021年度の予定)。
まさに新LCCとのカニバリが発生しそうな感じもありますが、新LCCは双通路のボーイング787で2クラス制を想定しているのに対して、ピーチは1クラス制で単通路と、機材の特性では棲み分けが行われそうな感じですが…
ただ…
それにしても、事業領域が被りそうな感じ。
この辺りをどう捉えているのだろう…と言う感じはしますね。
折角、ピーチとバニラエアを統合させて、傘下のLCCを一本化したのに…と言う感じ。
ANAのアジア線を移管させるのか…とも思いきや、就航場所を「双方向の需要がある場所」としているので、日本発需要が強いであろうビルマ(ミャンマー)やカンボジア線の移管と言うのも、ちょっと違う感じがしてしまいますしね。
ANAの国際線は羽田のみに絞り、成田発着の東南アジア・オセアニア路線を新LCCに移管して、ピーチは観光客を対象に、新LCCはビジネス客も拾いに行くと言うのであれば、何となくまだ分かるのですけれどもね。
そもそも既に那覇~バンコク線で、タイにまで「ピーチ」は乗り入れがある訳ですから、寧ろ、「ピーチ」で良かったのでは…とすら思えて来ますけれどね。
その辺りは、複数の機材を抱えるコトで、「ピーチ」の収益性が落ちるコトを加味したのでしょうかね。
2022年に反転させるために…
現時点で判明しているコトは、新LCCを立ち上げるコト。
それが「エアージャパン」が母体になっていると言うコト。
使用機材は、ボーイング787型機であるコト。
事業領域は、東南アジア・オセアニアエリアであるコト。
この4点ぐらい。
就航は2022年度としているので、それまで、少しずつ明らかにはなってくるのでしょうが、縮小一辺倒では、このコロナ禍による影響からは逃げられないのは、明らか。
そう言う意味では、次の一手が打ち出されたのは、1歩前進なのかな…と言う気はします。
今年はひとまず止血。
2021年度は原状復帰。
2022年度に反転攻勢と言う感じで描いているのでしょうかね。
逆に言えば、それだけ需要を戻す・経営状態を戻すのに時間が掛かると言うコト。
ただどうして新LCCだったんだろう?と言う疑問は、正直、残りますね。
そして2022年度の時点で、ANAがどれだけ余力を残せているのだろう…と言う感じも。
長い目で見ると、恐らくビジネス需要は完全には戻らない(もしくはかなりの時間が掛かる)。
なので、観光需要に賭けるしかないけれど、それも需要を喚起できるLCC…と言う感じなのでしょうかね。…
コメントを残す