通期赤字は5,000億予想!
コロナ禍で経営不振に直面しているANAが、2021年3月期の第2四半期決算と通期の業績予想を発表しました。
第2四半期の結果としては、売り上げが前年同期比で72.4%減の2,918億円。前年同機は815億円の黒字だった経常損益は、2,686億円の赤字となりました。
国際線の旅客収入は、前年から94.2%減の196億円で、利用率は24.2%。
国内線の旅客収入は、前年から78.6%減の789億円で、利用率は36.3%。
韓国の大韓航空などは貨物収益で黒字転換しましたが、ANAの貨物は、国際線部門では、ほぼ前年並みで、プラスには持って行けず。
と言う感じで、第2四半期の結果を見てみると、こんな感じ。
今期 | 前期 | 増減率 | |
連結|売上高 | 2,918億円 | 10,559億円 | ▲72.4% |
連結|経常損益 | ▲2,686億円 | 815億円 | ― |
国際線|旅客収入 | 196億円 | 3,385億円 | ▲94.2% |
国内線|旅客収入 | 783億円 | 3,687億円 | ▲78.6% |
国際線|利用率 | 24.2% | 76.8% | ― |
国内線|利用率 | 36.3% | 70.4% | ー |
これを踏まえて、これまで業績予想が困難と言うコトで未定としていた連結での通期の見通しも発表。
航空機の大量退役に伴う減損処理などもあり、合計1,100億円の特別損失も計上するコトから、売上高は前年比で62.5%減の7,400億円、経常損失が5,000億円と見込んでいるとのコト。
当期予想 | 前期実績 | |
売上高 | 7,400億円 | 19,742億円 |
営業損益 | ▲5,050億円 | 608億円 |
経常損益 | ▲5,000億円 | 593億円 |
当期純損益 | ▲5,100億円 | 276億円 |
さすがにこれだけ内容が悪いので、もちろん、無配と言うコトも発表になりました。
またIR関連では、株主優待番号の延長も発表になっており、2021年5月31日までの有効期限のモノが、2021年11月30日まで有効になるとのコト。
ピーチも激減の内容
国際線も台北線3路線での運航を再開し、国内線も拡大基調を続け、この冬は名古屋に初就航するコトが発表になっているLCCのピーチの状況も発表になっていますが、こちらは通期の見通しはかなり悪い状態。
今期 | 前年実績 | 増減率 | |
旅客収入 | 84億円 | 261億円 | ▲81.7% |
利用率 | 44.1% | 86.9% | ― |
この内容にもかかわらず、新規の路線開設を進めていると言うのは、やっぱりLCCが需要喚起として必要とにらんでいるからなのでしょうかね(単に機材が余っているだけなのかも知れないけれど)。
大型機材の退役を進め、新LCCも!
財務基盤を強化する為に、一部が資本として見なされる劣後ローンを計4,000億円、調達するコトを発表。
同時に、事業構造改革も発表になりました。
まず人員面ですが、既に、報酬や賞与カットは発表になっていますが、来春に400人以上の社員をグループ外の企業に出向させるコトを発表しました。
具体的な出向先としては、家電量販店の「ノジマ」、スーパーマーケットの「成城石井」などが挙げられていますが、コールセンターやホテルの受付などが想定されている模様。
つまりは人員を守りつつ、固定費の削減に繋げたと言う形。
機材面でも大型機を中心に機材数を削減する予定で、当初予定していたのは、16機を導入して、7機を退役させる計画でしたが、13機の導入に対して35機の退役に修正しました。
具体的な内容としては、
・ボーイング777-300ER|13機(国際線長距離用)
・ボーイング777-300型機|2機(国内線用)
・ボーイング777-200ER/200型機|7機
・ボーイング767-300ER/300型機|5機
・737-700型機|1機(小型機)
になる模様。
また超大型機材であるエアバスA380型機の3号機目は、受領の延期を行うコトも決定。
これでANAの国際線からファーストクラスを有する機材が、ドカッと減るコトになりますね。
国際線網は、羽田から運航を再開させて行く形で、成田も重要な結節点として残す方向。
ただ具体的な削減対象になる路線や拠点発表はなく、ちょっと肩透かしでしょうか。
マイルやANAカードなどを通した顧客データをもとに、航空事業に留まらない価値を創出とも謳っていますが、具体的に何かが発表にはならず。
で、具体的に出て来た施策としては、ボーイング787型機を利用して東南アジア・オセアニア路線に新しいLCCを立ち上げ、2022年度内に就航させると言うモノぐらいでしょうか(コチラに関しては、明日にでも記事にします~)。
コロナ禍から立ち上がるために、とりあえず、止血で精一杯と言う感じで、反転させる為の手は、まだまだこれから…と言う感じがしなくもないですかね。
ただ機材削減についても、そこまで目新しい話でもない気はしますけれどもね。
大型機で24機の削減(内、2機は受領延期)。
残る大型機は36機。
その内の2機はA380なのでホノルル線専用。
つまりは残り34機。
どの路線が削られるんだろう…
因みに、個人的に一番気になったんは、「PanAm USA」の事業売却及び会社清算ですかね。
あの「パンナム」のロゴを利用する会社だったハズなんですけれどもね…(おっさんにしか分からない話題だろうけれど→いや、僕もあのパンナムには搭乗したコト、無いですよ)。
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