初の冬ボーナスゼロ?
コロナ禍に苦しむ航空業界の中で、最大手のANAが、大幅な人件費削減の提案に踏み切りました。
冬の一時金(ボーナス)の支給をゼロにすると言う大胆さ。
さらに約15,000人の一般職の従業員の基本給の引き下げも提案に。
既にANAは6月までに借入・融資枠の設定で約1兆円規模の資金を確保していますが、コロナ禍による影響が長期化している現状を踏まえ、今回の提案となった模様。
これらの提案が実現すると、冬のボーナスゼロと言うのは、記録が残っている1962年以降、初めてのコト。
また管理職以外の社員の基本給引き下げは17年ぶりで、平均的な従業員の年収が約3割程度、減ると言う見込み。
まだ労組への提案がなされたばかりで、決定事項ではありませんが、2019年度には就職人気企業でトップクラスだった企業。
まさかの…と言う感じになりますが、既に夏のボーナスは2ヶ月のところを、1ヶ月分に半減させていました。
またパイロットを除く全職種を対象にした退職金を割り増す希望退職の実施も提案(希望退職自体は常時実施しているが、退職金の割り増しは2013年度以来)。
2020年4月から一時帰休も実施しているが、それもこのまま継続。
最大2年間の無休休業制度も設けるとのコト。
ANAの2020年4~6月期決算は、純損益で1,088億円の赤字(前年同期は114億1,800万円の黒字)と、四半期決算としては過去最大規模の損失を計上している状態。
2020年4~9月期決算は、10月27日に発表されるが、同時に事業構造改革についても発表するとしています。
ボーナスなどにも手を付ける。
でもそれは雇用を守ると言う姿勢でもあります。
確かに30%の年収減(高年収層はさらに高い減額率)と言うのは、家計に与える影響は大きいですけれども、会社がなくなってしまえば、元も子もないのも事実ですからね。
JALより踏み込んだ形なのは、なぜ?
さてANAと同様にJALも経営は厳しいのは自明ですが、JALは未だに一時帰休すら行っておらず、差が出たと言う感じ。
ANAの6月末時点の有利子負債残高が1兆3,589億円で自己資本比率は33.9%。
それに比べJALは、5,046億円で45.9%。
やはり破綻で身軽になったと言う部分は大きいか。

JAL破綻後の拡大基調が、明らかに逆回転したと言う感じではありますが、コロナ禍は、正直、経営側としても読めない話。
確かに航空業界や観光産業には、その他の事項によるイベントリスクは付き物。
だからこそ、“平和産業”と言われる訳だけれども、JALは破綻後、安定的な経営のために、手持ち資金を約2.6ヶ月分、確保するとしていて、コロナ禍発生直後である2020年3月期決算でも、売上高現金比率は20%を越える。
それに対して、ANAは3.5%と、キャッシュの差は歴然。
こうしたのが、初動~今に至るまで、地味に効いているのかも…と思えて来ます。
ただ世界の航空業界全体で見れば、JALはもちろんのコト、ANAの自己資本比率なども決して、悪くはないように思えますけれどもね。
ま、それにしてもJALだって安穏としていられる状態では、全然、ありませんけれどもね(と言うか、JALはこうした部分に手を付けずに、乗り越えられるのだろうか…とすら思ってしまうけれど←もちろん、しないに越したコトはナイけれど)。
路線網の整理はどこまで行なうのか
さて気になるのは、今後のANAの展開。
事業構造改革が今後、明らかになるとは思いますが、やっぱり思い浮かぶのは、国際線の縮小なのでしょう。
国際線は国内線よりも需要の回復が遅れるのは、明らかで、今後、数年に渡って、需要が元に戻らないとすら言われている中で、2020年4月からの羽田の新規発着枠で獲得した路線がどうなるか。
まぁ、もう羽田の発着枠云々と言うレベルではナイにせよ、今後の成長戦略を思えば、必要な枠なのも事実。
どこで折り合いを付けるのか。
そこも気になるかな…と言うのが、正直なところ。
まぁ、折り合いをつけるためには、まず会社が生き残っていないといけない訳ですけれどもね。
もう売るに売れなくなっているA380とかを含め、どう言った構造改革が出てくるのやら…
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