スリランカで同時多発テロ発生!
2009年の内戦終結からちょうど10年。
すっかり治安も改善したと言われていたスリランカで、同時多発テロが発生。
AFP通信によると、少なくとも300人以上が死亡したとのコトで、大惨事に。
今回のテロは、国内最大のコロンボなどにある複数の教会や高級ホテルが主なターゲットにされ、今まで8件の爆発があったと言う。
テロを時系列でみてみると…
まず2019年4月21日8:45。
スリランカの最大都市であるコロンボで、
・シャングリラホテル
・キングスベリーホテル
・聖アンソニー教会
の3ヶ所で同時刻に爆発。
また同時間に、コロンボから北に行ったニゴンボの聖セバスチャンカトリック教会も爆発し、62人がお亡くなりになった。
時間が少し空いて、8:50。
コロンボのシナモン・グランドホテルが爆発。
そして9:05には、スリランカ東部のバティカロアにあるシオン・ローマカトリック教会が爆発し、27人が死亡。
さらに午後に入った13:45には国立動物園付近の民宿で爆発が起き、14:15にはコロンボ郊外の民家で爆発があり、警察官が3人、亡くなったと言うのが、一連の時系列になる訳だが、これを見ても分かる様に、最初の爆発から、最後の爆発まで、かなり時間が開いている事件になっています。
ちょうど教会は復活祭(イースター)真っ只中と言うタイミングで、礼拝に訪れた人で賑わっていたと言われ、コロンボのホテルには、多くの外国人観光客が、滞在していたと見られるが、幾つかの爆発は、自爆犯が爆発を引き起こしているコトが既に明らかになっています。
さらに翌日にも、コロンボの聖アンソニー教会からスグ近い場所で爆発があったとされる他(特に負傷者などは不明)、コロンボのバスターミナルでは、起爆装置87個が発見されたと言う。
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外出禁止令が発効!犯行グループは?
スリランカ政府は、連続爆発事件を受け、スリランカ全土に夜間外出禁止令を即座に発効させると共に、不正確で間違った情報が流布するのを防ぐために、一部のSNSのプラットフォームをブロックするなどの措置を行うコトを決定し、犯行グループの特定を急いでいる最中だが、ISが犯行声明を出す他、スリランカ国内のイスラム過激派組織「ナショナル・タウヒード・ジャマア(NTJ)」による関与も取りざたされているが、現時点では謎が多いのも事実。
スリランカでの宗教上で見た対立軸は、ざっくり言ってしまえば、仏教対ヒンドゥ・仏教対イスラム・仏教対キリストであり、イスラムとキリスト教が対立軸ではなかったハズで、どうして教会が標的にされたのかなど、今後の原因究明が待たれる所。
ただ事実なのは、テロが起きたコトだけ。
そして、そのテロが、国内の複数個所で行われた他、ちょっと時間差があるのが特徴と言えるのかも。
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宗教と民族が混ざり合う島国・スリランカ
スリランカ。
内戦終結以降は、治安が急速に改善し、安定していましたが、宗教間の対立が問題になっていたのは、今も昔も変わらない事実。
人口の70%程度が、主に仏教徒のシンハラ人。
北部を中心とした15%は、主にヒンズー教徒のタミル人。
イスラム教徒やキリスト教徒も、一定数存在していて、約10%がイスラム教徒で、7.4%がキリスト教徒だと言う統計がある。
宗教と民族。
それがそこまで大きくはない島に絡みあっている場所と言える。
ボクがスリランカを旅した時は、まだまだ内戦直後と言う状態で、ホントに落ち着くのか…と言う様なタイミングだった。
まだ北~北東部に掛けての激戦地へは足を踏み入れられなかった時代だったので、ボクはシンハラ人が圧倒的な人口を誇るエリアしか知らない。
だけれども、旅がしやすい国だったと思う。
そして、何よりも見所の豊富な国だったとも。
そんな島国での惨事。
しかも、不特定多数を狙うテロ活動と言うのは、様々な対立があったとしても、許される話ではない。
現時点では、イスラム系の組織の犯行が有力になっているけれども、これがきっかけに大多数の過激な思想ではないムスリムとの間に不協和音が生まれてしまわないコトを祈るばかり。
テロから身を守る術はあるのか?
だけれども、今のこの時代。
不特定多数を狙うテロ活動と言うのは、どの国にいた所で、もう避けられないのかも知れない。
チカラでねじ伏せれば、対立が地下に潜るだけ。
地下に潜ってしまえば、その対立が、一介の旅人には見えなくなるだけだし、余計に予防活動をしにくくなると言うジレンマがある。
そして、そのテロと言う卑劣な犯罪を前にした時、ボクの様な旅人は、圧倒的に無力だ。
改めて、「旅」と言うのは、「平和」があってこそ成り立つモノ。
それを感じざるを得ない訳だけれども、最早、世界の何処にいたって、避けられない。
ボクらが取れる対策は、数少ないのが実情だろう。
幾ら治安情報を事前に調べていても、無差別に起こるテロの前に、情報はそこまで意味を成さない感じがある訳だし、“不特定多数が集まる様な場所”に行かないなんて、無理な話だとも思う。
因みに、日本の外務省が、“不特定多数の人が集まりやすい場所”でテロが起こりやすいとして挙げがちな場所が、
・ホテル
・教会/モスクなどの宗教関連施設
・政府関連施設(特に軍・警察・治安当局関係施設)
・観光地周辺の道路
・観光施設
・スポーツなどの競技場
・コンサート/記念日などのイベント
・公共交通機関
・レストラン/ショッピングモール/スーパーマーケット
・ナイトクラブ
と言った場所。
いや、ほぼどこにも行かれへんやん…
“絶対に安全”な国なんて、最早、ナイに等しい。
そして、“絶対に安全”な場所なんてナイ訳だから、どこに至って、何が起こり得るか分からない。
そう言うコトなのだろう。
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旅人が取れる対策なんて、多分、ナイ
そして、ならば何か対策があるのか。
具体的に考えてみても…
・大使館の場所はしっかりと把握しておく
・情報を収集出来る様にしておく
その位だろうか、最早。
外務省が出している「海外安全情報」をしっかりと確認すると言うのは、よく言われている話だけれども、個人的にはそこまで参考にはしていないし(読まない訳じゃない)、実際にスリランカでテロが起きた後ですら、スリランカの危険レベルは、一番下のレベルの「十分注意してください」。
そして、そもそもテロは予知がしやすいかと言ったら、そんな訳はないから、危険レベルなんて、アテになる訳がない。
ただ事件が起きた際に、“正しい情報をしっかりと手に入れる”と言う意味では、有益なんだろうけれど。
そう言う意味では、地元の人と知り合いがいたり、仲良くなっておくと言うのが最適な話ではあるだろうけれど。
ただ具体的な対策の前に、“いつ何があるか分からない”。
治安が優れた国に住んでいる日本人の場合、それをまずはそれを肝に銘じて置くコトからなのかも。
そして、何かが起きた時に、正しい情報を仕入れ、そこからどう自分の判断で動けるのか。
それぐらいしか対策が思い浮かばない。
それは何かが起きてからの話で、予防策でも何でもないし、何かあるとネットが遮断される国だってあるだろうから、果たしてどこまで“外国人の旅人”が、“正確な情報”を入手出来るのだろう…と思わなくもない。
でも、そんな時代にボクらは旅をしなければいけなくなっていると言うコト。
それだけは間違いがナイのかも知れない。
残念な話だけれども。
だけれども、だからと言って、“旅に出ない”と言うのも違うと思うけれどね。
一刻も早い犯行グループの特定。さらに犯行に至ったその理由の解明。
そして、テロに遭った方々の冥福を祈るばかり。
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