JR東日本、第二四半期決算は1,452億円の赤字!
JR東日本の2021年度4~9月期の連結決算が発表になった。
これによると最終損益は、1,452億円の赤字。
前年同期が2,643億円の赤字だったので、随分と盛り返してきた形ではあるものの、営業損益では10億円の黒字予想だったのが、1,158億円の赤字と、まだまだ本調子と言う形ではないコトが分かる。
具体的に見てみると、こんな感じ。
今期 | 前年同期 | 対前年同期比 | |
単体|営業収益 | 6,256億円 | 5,409億円 | 115.6% |
連結|営業収益 | 8,778億円 | 7,872億円 | 111.5% |
連結|営業利益 | ▲1,158億円 | ▲2,952億円 | - |
連結|当期純利益 | ▲1,452億円 | ▲2,643億円 | - |
当初の予想だと、この上半期で新型コロナ禍以前の80%にまで戻るコトを想定しており、単体の営業収益が7,750億円にまで戻ってくる見通しだったのが大きく響いている形で(結果的に鉄道事業の営業収益は2019年度同期比で54%にまでしか戻っていない)、単体としては過去2番目に低い営業収益・運輸収入になり、2期連続で営業損失・経常損失・四半期純損失を計上するコトに。
緊急事態宣言が解除されたコトで、一部の新幹線の予約は50~60%にまで改善すると見ているが、定期券収入は前年同期と比べても前年割れする結果に。
通期も下方修正で、資産売却も急ぐ
それを踏まえて通期の予想も下方修正。
2022年3月期の連結は従来予想だと360億円の黒字転換予想だったが、1,600億円の赤字。
売上高も当初の2兆3,26億円より2,690億円下回り、2兆570億円に留まると想定。
コスト削減は通期で700億円を計画しており、上期で595億円分を減らしているものの、売り上げ減まで補えなかったコトから、今後は、臨時列車の運行減などによる動力費の抑制などでさらに約335億円を積み増すコトに。
また設備投資も減らし、通期では合計で約1,800億円の削減を行なう見込み。
不動産事業も、2021年4月にアセットマネジメント事業を担う新会社「JR東日本不動産投資顧問」を設立。
グループ保有のオフィスビル・開発物件を新会社が運営するファンドに売却し、資金を調達して行く方針で、2022年3月期に営業収益を計上して行く見込みで、5年間で1,000億円規模の売却を目指す流れになっている。
コスト削減。
そして資産の売却。
この2本で収益の改善をまずは目指すと言う流れ。
新規事業・増収策も繰り出してはいるが…
ただそれだけではなく、JR東日本は新規の事業進出にも意欲的なのも事実。
シェアオフィス事業として「STAITON WORK」は首都圏以外の地方圏にも進出。
JR西日本との提携で、JR西日本グループホテル11館に、藤田観光との提携で同社の7施設などにもホテルの客室を活用するホテルシェアオフィス事業を展開。
さらにボックスタイプの「STATION BOOTH」は西武鉄道との提携で西武線でも展開を行なっており、2023年度までに1,000ヶ所での事業展開を行う計画でいる。
また新幹線を活用した鮮魚輸送などにも意欲的に挑戦している状態。
増収策としては、グリーン車料金の改定が発表になっている状態だし、ラッシュ時などに運賃格差を設けることなども検討に挙がっている。
いつまでもこの赤字状態が続くとは思えないが、資産の売却にしたって1,000億円規模と言ってもJR東日本の総資産からすれば微々たるもの。
鉄道会社は、車両などの固定費も重く、損益分岐点はやや高め。
昨年、Go To トラベルが行われた時ですら、黒字に転換したのはJR東海のみでJR東日本は赤字が上向いただけで終了している。
大手私鉄に比べて、鉄道事業の比率が高く、東日本としても早く鉄道事業とその他の部門との売上比率を5:5に持って行きたい考えだろうが、これがいつになるかはまだまだ見通せない状態であり、今後もまだしばらくは収益的には厳しい状態なのかな?とも。
まぁ、それでも会社自体が厳しくなることはないのでしょうがね。
首都圏の厚い地盤もありますし。
ただ繰延税金資産の取り崩しのリスクがあるのは、気掛かりではあるけれど。
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