9.11。
あれを境にかなり保安検査が変わったと思う。
だけれども、安全は何よりも代えがたいモノだから仕方がないと思うし、さすがにすっかり慣れて来た感じもある。
要するに慣れの問題なんでしょうね、面倒なコトでも…と思いながらの今日の記事。
鉄道会社による手荷物検査実施が可能に!
国土交通省が、2021年6月8日、「鉄道運輸規定」(昭和17年鉄道省令第3号)の改正を公布した。
施行日は2021年7月1日だが、2018年に東海道新幹線で起きた乗客死傷事件を踏まえた措置で(乗客3人が車内において鉈で切りつけられて死傷したと言う事件)、危険物の持ち込みを防いでテロ対策の強化に繋げていく考えで、鉄道会社による手荷物検査を認めると共に、検査を拒否した乗客に対しては、車内・駅構内からの退去を求めるコトができると言う内容になっている。
不要な刃物の車内への持ち込みは既に禁止されているが、手荷物検査についてはこれまで、法令の定めがない状態になっていたコトに対するモノ。
オリンピック・パラリンピックを前に、大規模なテロ対策が求められている状態で、それに対しての省令と言うカタチでもある。
なお、既に「刃物を鉄道車内に持ち込む際の梱包方法についてのガイドライン」は、国交省から発表されていたりはします。
大規模なイベント時を想定と言うが…
別に海外だと、鉄道に乗車する際に、手荷物検査のある国がナイ訳じゃないし、珍しい訳じゃない。
だけれども、日本国内だと新幹線はホントに数分に1本の割合で走っているし、乗車人員も多い訳で、必ずしも全員の手荷物検査を実施すると言うのは、現実的な状態でもナイ。
国交省は、大規模なイベント時に限って、会場近くの主要駅ならびに新幹線駅で実施するコトを想定しており、ボディスキャナーを改札に設置したり、危険物探知犬を巡回させるコトで、事前に不審者を炙り出せると言う考え方。
だが、これですらなかなか一般的に…と言う感じもしない。
大規模なイベントだからこそ余計に混雑に拍車が掛かる恐れがある訳だし。
鉄道会社としても特段、歓迎モードではない。
利便性を損なわずに不審な行動が検知できるのであればOKなのだろうが、現状、そうした技術がある訳ではないし、あったとしても費用の負担に繋がるだけなのだから、歓迎モードになる訳がナイ。
今回の改正は、鉄道会社が手荷物検査をできるようになると言うのがポイントではあるが、実際に手荷物検査を行なうとしたら、自社で行なうのではなく、警備会社に業務を委託するのが現実的だろうから、現状よりも単純に費用増になる訳だし。
既に、実証実験でボディースキャナーなどを行なっており、その際は、利用者からは大きな抵抗はないと言う意見が大勢を占めた模様だが、実証事件と恒久的な話はまた別次元だとも思うし。
鉄道のテロ対策も必要な時代
で、実際にやる機会があるのかどうか。
オリンピックの開催まで秒読みにはなっているけれども、具体的な話がある訳じゃない(いや、そもそも観客を入れてオリンピックを開くのかどうかも分からんけれど)。
ただ正直、厳しいとしか思えない。
改札が別になっている新幹線はできる可能性はあるだろう。
だが、在来線の特急や私鉄は通勤電車などとホーム・改札を共有している所がほとんどな訳で、やはり現実的とは言い難いのではないか。
さらに大規模なイベント時に…と言う話ではあるが、検査があるとしても最寄り駅のみだろう。
飛行機と異なり、鉄道の場合は、イベントの最寄り駅が始発だとしても、中間駅から不審者が乗って来たら、対する術もない。
やるのであれば、全駅でやらなければ意味もない訳だし、最寄り駅が1つと言う訳でもないので、どこまでできるの?と言う感じ。
で、結局、とりあえず改正しましたって感じで終わりそうな予感。
まぁ、「できる」と「できない」とでは大違いですけれどもね。
でも、鉄道車内・駅などでの安全対策と言うのは、日本はあまりにも無防備。
長距離列車だけでなく、地下鉄ですら検査がある国もあるし、バンコクのBTSなんかも手荷物検査があるけれども、日本だとノーチェック。
最近は車内に、痴漢対策として監視カメラが付いている車両が出て来ているけれども、テロ対策と言う意味では事前に防げるものじゃないし(犯人の特定と言う意味では役に立つのだろうが)。
今回は新幹線での事件がきっかけで、オリンピック・パラリンピックもあるし、今後も大阪では万博が控えているし…と言う感じなのでしょうが、国内でのテロと言う意味では、地下鉄サリン事件のような事件もあった。
あれを防ぐのは手荷物検査ぐらいでは難しいだろうけれど、そろそろ全鉄道会社が共同でテロ対策と言うのを考えて行くべきタイミングなのかも…とは。
日本は平和と言われるけれども、性善説で成り立つ世界じゃなくなって来ているのも事実ですからね。
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