富士急行、鉄道事業を分社化で旧社名復活!
山梨県で富士山の麓を走る地方私鉄の「富士急行」が、1年後に当たる2022年5月に鉄道事業を分社化する方針を明らかにしました。
現在、「富士急行」が運営している鉄道線は、
・大月線|大月~富士山 23.6km
・河口湖線|富士山~河口湖 3.0km
の2路線合計26.6km。
まぁ、2路線と言っても、「富士急行線」として一体運転されており、実質的には(富士山駅でスイッチバックはあるけれども)1路線と言っても過言ではないかと。
分社化に際しては、「富士急行」が100%出資の新会社を設立し(2021年5月設立予定)、会社分割により鉄道事業を新会社へと承継させる方式が取られる予定で、今後、所管官公庁の許認可取得へと向かい、2022年5月に事業の分社化が完了する流れ。
新しく鉄道事業を運営するコトになる新会社の社名は、現時点で、「富士山麓電気鉄道」となる予定で、これは、かつての社名であり、1960年まで使用されていたモノで、実現すると実に61年ぶりに社名が復活するコトになります。
何気に東証一部上場の地方私鉄
正直、「富士急行」が新会社に代わっても特に大きな変化はないのかな…と言うのが正直な感想。
鉄道事業の分社化の理由としては、
様々な環境変化に即応する機動性を確保しつつ、より地域に密着した営業体制とする
としています。
なんか如何にもあり得そうな言い回しですけれど…(笑)
「富士急行」は、元々の地域輸送に加え、昨今は、インバウンド需要の恩恵を受けていたと思いますが、これがぶっ飛んだコトで、鉄道事業を取り巻く環境が厳しさを増している状態なのが、その根本ではありますが、「富士急行」は、鉄道事業の比率は低く、グループの5%ぐらいの売上でしかない。
そこにバス事業を入れても、30~40%前後で過半数には達せず、寧ろ、不動産(別荘経営)・観光事業(富士急ハイランド・ゴルフ場など)で儲けている状態。
それらも既に分社化されており、バス事業などは、
・富士急バス
・富士急モビリティ
・富士急静岡バス
・富士急湘南バス
・富士急シティバス
・フジエクスプレス
・富士急行観光
と機能と地域的に分社化が完了していますから、寧ろ、鉄道事業の分社化も、ようやく…と言う感じがしなくもない。

ってか、「富士急行」と言っている割に、全然、“急行”じゃなく遅いので(単線だし、トンネルで突き進んでいる路線じゃないので、仕方がないですが)、これで社名と実態が合うと言う感じにもなりますね。
ただローカル私鉄ではありますが、何気に、東京までの乗り入れがあり、有料特急も走らせていたりするのは、地味にスゴイなぁ…と思いますけれどもね。
幾ら、東京から近場で、「富士山」を沿線に抱えていると言っても。
ってか、東証1部上場企業なんですよね。
鉄道事業だけ見ていると、「え?」と思ってしまいますが。
大手・準大手じゃない私鉄で現在、東証一部に上場しているのは、「富士急行」と神戸電鉄のみ。
神戸電鉄は過去は準大手に分類されていたので、純粋には「富士急行」のみと言っても過言じゃない。
あとは、東証二部に京福・広島が、JASDAQに秩父が上場していますが、やっぱり何気にスゴイですよね、「富士急行」。

プラス成長を見込んだ分社化ではなく…
で、分社化。
先に挙げたように、特に変わりはないような気がしてならない。
地域輸送で言えば、今後、今の状態を維持するのでやっとだと思う。
観光輸送も、有料特急の運転に熱心な会社だけれども、東京都心部からの「富士回遊」。
線内のみの「富士山ビュー特急」と無期限で運休中の「フジサン特急」。
そこまで路線長が長いとは言えない中で、これだけ運転しているだけで立派。
だが、都心からの集客で言えば、バス事業に任せた方が、「富士急行」としては実入りが良いハズ。
鉄道事業だと、どうしても自社線内の割合が低く、ほとんどがJR東日本管内ですからね。
そう考えると、これ以上のプラス成長は、そう見込めないように思うのだけれど、何を狙った分社化なのだろう…と言うのが、率直なところですかね…
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