JAL、春秋航空日本を子会社化?
正式な発表は行われていませんが、JALが中国大手LCCの春秋航空の日本事業である「春秋航空日本」を、連結子会社化する方針を固めたコトが、一斉に報道されました。
2012年に設立された「春秋航空日本」は、春秋航空が大株主ですが、航空会社の外資規制もあるために、国内資本も多く入っている状態。
その中で、JALも5%程度の出資が行われているのが現状だが、6月中を目途に、数10億円を追加出資し、「春秋航空日本」の過半数の株式を取得し、子会社として傘下に収める方針とのコト。
現状、成田を拠点に、国内・国際線共に3路線ずつを運航しているモノの、コロナ禍で大きく減便中(さらにこの他に国際線で4路線が完全運休中)。
一応の運航路線は、以下の通り。
区分 | 路線 | 運航本数|現状 | コロナ禍以前 |
国内線 | 成田~新千歳 | 週末のみ | 1日2往復 |
成田~広島 | 週末のみ | 1日2往復 | |
成田~佐賀 | 週末のみ | 1日1往復 | |
国際線 | 成田~天津 | 隔週月曜のみ | 1日1往復 |
成田~ハルビン | 週1日のみ | 1日1往復 | |
成田~南京 | 隔週金曜のみ | 未就航 | |
成田~重慶 | 運休 | 週4往復 | |
成田~武漢 | 運休 | 週3往復 | |
成田~寧波 | 運休 | 1日1往復 | |
成田~上海(浦東) | 運休 | 1日1往復 |
春秋航空の母体が、旅行会社大手の上海春秋国際旅行社で、この顧客基盤が厚く、中国線を地味に増やして来た矢先にコロナ。
元々、「春秋航空日本」自体の経営は、1度も黒字になったコトが無かったのですが(最新の決算状況は、こんな感じ)、ホントに必要最低限の運行本数に絞って、辛うじて生き永らえているような状況ですが、JALとしては、ポストコロナを見据えて、ビジネス需要が縮小して元の水準には完全に戻らず、観光需要は早めに戻ると踏んだのでしょうね。
2020年11月の公募増資で、JALは最大1,826億円を調達しており、このうち、150億円をLCC事業に投資と言うコトで、その一環と言えるのでしょう。
ポストコロナを見据えた投資!
ただ今回のニュースに対しての世間の評判は、あまり良くないのかな(投資家は別として)。
具体的な声を拾ってみると、こんな感じの声がYahoo!のコメント欄に。
・政治的リスクが高まっている
・個人情報漏洩のリスクが高そう
・JALも赤字なのに…
とか…
確かに中国は台湾・香港・ウイグルに加え、対米関係もあるし、日本との関係も決して良好とは言えないけれど、それでも今後の成長を見据えて行くと、対中と言うのは、欠かせない存在であり、これを手放す経営的なリスクの方が高いハズ(過度な傾斜は禁物かも知れないけれど)。
個人情報漏洩のリスクなんて、そもそも日本国内資本の航空会社を買収するだけの話で、何を言っているのだろう…と思うし、中国だから危険と言う話でもなく、日本資本だから安全な訳でもないし、そもそも国際線の航空券を購入して搭乗した時点で、個人情報の一部はシェアされるコトになるんだけれどもね。
ってか、別に中国に関係のない所で、個人情報は先日、漏れていますしね、JALもANAも。
確かにJALも赤字でしんどい最中。
乗務員を外部に出したりしている中で、赤字の航空会社の子会社化は、どうなの?と言う考えはあるのでしょうが、そもそも売上額からすればそこまでの大きな出費でもなく、限りなくリスクが低いように思える。
ま、ヤフコメだからな…と思いつつ。
個人的には大賛成。
特に対中路線は、JALがANAに対して大きく出遅れている部分の1つな訳だし、中国の航空権益を取りやすい位置にいる「春秋航空日本」を手にすると言うのは、やはり大きいように思う。
そもそも既に資本も少額だけれど出資しているし、整備関係でも提携関係にある訳だし、日本のLCCとしては唯一、A320ではなくボーイングの737-800型機を使用していて、JALも同型機を持っているから、色々とコスト削減の可能性もある訳だし、組み合わせとしては、すんなり以外の何物でもナイように思う。
傘下のLCCが3社になるけれど、棲み分けは?
ただ気になるのは、既にJALが出資しているLCCは、100%子会社の「ZIPAIR Tokyo」とカンタスグループとの「ジェットスター・ジャパン」の2社を抱えている点。
「ZIPAIR Tokyo」は一応、中長距離路線担当と言うコトで、棲み分けが出来た状態だったが(但し、コロナ禍で当初の構想よりも、やや変化が出ているような兆しはあり、次の機材受領後は、短距離の台北線の開設が濃厚と言われている状態)、ここに「春秋航空日本」が入って来ると、どうなるのやら。
「ジェットスター・ジャパン」と「春秋航空日本」は、共に成田が拠点と言う共通面はあるけれど、機材面での親和性は皆無だし。
そもそもJALは「ジェットスター・ジャパン」をどうしたいのかも、今一つ見えてこない感じがありますし(ジェットスター・ジャパンは、JALが50%出資していて筆頭株主ではありますが、過半数は確保していませんしね)。
ただそれでも次の一手として、「春秋航空日本」の子会社化は、有効な手段のようには思えるので、今後の展開が楽しみではありますが。
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