車いす利用でJRが乗車拒否?努力義務って何だろう?

JR東日本の駅で乗車拒否?

コラムニストである伊是名夏子さんが、2021年4月4日付のブログで、JRによる乗車拒否にあったと言う記事を書いていらっしゃり、それが拡散されたと同時に、誹謗を招いたが故に、補足記事を書いていらっしゃったので、それらについて。

経緯は彼女のブログを読んで頂ければ…と言う感じがしますし、ボク自身、障害を持たれている方の旅行について造詣が深い訳でも何でもないのですが、ひとまず簡潔にまとめると、こんな感じ。

・旅行に参加されたのは、ご本人・お子様2人・ヘルパーさん・友人の5人で、ご本人が電動車いす利用
・行き先は、来宮駅
・経路が小田原→熱海→来宮
・目的地の最寄り駅である来宮駅は無人駅
・小田原駅で、来宮まで乗ろうとしたところ、来宮駅の構造上、バリアフリーになっておらず、熱海までを案内される
・ひとまず熱海駅まで行くと、駅員さんが待ち構えており、来宮駅へ
・来宮駅では熱海駅の駅員さんが対応
・翌日の帰路も来宮駅では熱海駅の駅員が対応
・ご本人は、移動や交渉の間にメディアに連絡し、帰るとき取材を受ける
・ブログに掲載

こんな感じでしょうか。

大前提として、バリアフリーの世の中になり、誰もが気兼ねなく生活できる世の中であって欲しいとは思うけれど、現実は、そう言う訳じゃない。

当事者が声を上げる・声を上げ続けると言うのは、非常に重要な話だとも思う。
ボク自身は、現状、五体満足だけれども、当事者じゃなければ分からない不便さと言うのは、少なからずあるハズですし、誰もがいつ、どうなるか分からないのも事実ですし、そもそもどの人も障害を抱えて生きていたいと思っている訳でもないで、望んでいる訳じゃないですから。

そもそも構内図が読めていなかった?

ゆうでも、多少の違和感を感じたのも事実。

まずご本人も事前に来宮駅の構内図を見たとの話ですが、明らかに階段があり、バリアフリーになっていない。

1階の構内図表示しかなく、上りホーム側に階段が。下りなら階段なしなのかな、と思い、行ってから考えようとなりました。

とある。

ってか、そもそも来宮駅。

島式ホームだから上り・下りも同じ場所にあるので、階段は上りだろうが下りだろうが共通な訳で、構内図が読めていない…

別記事に

長い階段があるとは思っていなかったです。5段ぐらいの階段かなとは思っていました。

とあるのですが、構内図を見ても、階段後に線路を潜って、改札に向かっているので、5段で線路を潜れる訳ないやん…と。フツーに見れば、階段でそのまま線路を潜っているので、そこそこの長さがあるのは、分かりそうな話だと思うのですがね。
その辺りの感覚、旅好きとそうではない人とだと異なるんだろうか…?

補足記事で、

車いすなんだから調べるのは、仕方ない、連絡もしないといけない

と言う声に対しては、

連絡するのも、手間も時間もかかることだからです。その手間と時間が障害者にだけ強制されるのは、差別があると言うことと同じ

と書いていらっしゃいます。

それを差別と受け取るかは、この際、置いておきますが、確かに障害者にだけ強制されると言う点では、確かに面倒だとは思う。

でも、実際には、お調べになられたのですよね?

構内図が読めなかったと言う話で。
線路の高さを、勝手に思い違えただけで。

ただ確かに、この構内図に駅が無人駅だとは掲載されていないのは、JR側に大きな責があると思う。
それが掲載されているだけでも対応の幅は広がりますし、JRも昨今、省力化で駅の無人化を進めていたりする訳で、基本情報として記載があっても良かったとも思うけれど、それだけじゃない様には思う。

車いすタクシー利用も拒否?

障害者差別解消法では、問題を解決するための方法を考える努力義務があるとされていますが、来宮駅が無人駅だと言うコトで、熱海駅からのタクシーも勧められています。

確かに、障害があるからと言う理由で、プラスの費用が掛かると言うのは、どうなのだろう…とは思いますが(しかも値段も安くないですしね)、ちゃんと代わりのプランを提示されている感じがある。

ただ車いすが乗れるタクシーは1ヶ月前に予約をしてようやく乗れるコトが多いとして、ご本人的には断ったようです。

タクシーは1ヶ月前には連絡をしないと乗れないと言うのが分かっていらっしゃるのに、鉄道は連絡をしなくてもどうにかなると思っているのも、違和感があったりします。

乗れない提案を考えて貰っても困ると言うのが、ご本人の意見なのでしょうが、逆に、それ以外に選択肢があるのかどうか…
どんな提案を期待されていたのだろう…と言う感じも。

合理的配慮の努力義務って?

そもそも、障害者差別解消法の“合理的配慮の努力義務”と言うのは、何なんでしょうね。

何が合理的な配慮なのだろう…と。

電動の車いすを持ち上げるのは、大の大人が4人は必要だと言われているのですが、有人駅であっても、大きな駅じゃない限り、4人の駅員なんて、そういないのが実情。
その中で、他の業務に支障が出ないように人を割くと言うのが、できるのかどうか。

仮に有人駅であっても、4人の駅員がいない場合の努力義務って?と。

彼女は、駅で

障害者差別解消法があり、エレベーターがない駅は、合理的配慮として他の手段で対応して頂く法律があります。エレベーターを作って欲しいと言っている訳ではなく、エレベーターがないならば、それ以外方法で対応する義務があります

と駅員さんとやり取りをしているようですが…

バリアフリー法も、利用者が3,000人以下の駅は対象じゃないし、あくまでも合理的“配慮”なだけで。

階段しかない駅では、時間は掛かっても、駅員を集めてくれ、持ってくれるからです

と、今回の件での違和感をまとめていて、合理的配慮を行なう姿勢が無かったことに違和感を抱えている様ですが、そもそも駅員さんがいない駅への旅行の対応での努力って、どんな形をイメージされているのだろう…

別記事では、合理的配慮として、

混まない時間に来てくださいとか、この時間だったらお手伝い出来ますとか、JRとして対応を考えて提案して頂きたかったです

とあるのですが、そもそもそうした形を望むのであれば、連絡1つ、行っていれば…と言う感じもしますし、

ちゃんと乗れるタクシーの情報を提供したり

とも述べていますが、JR側がどうしてここまですべきなのかも疑問符だったりします。
系列にタクシー会社を持っていれば、判断としてはアリなのでしょうが。

JRさんがタクシー会社と共同でそう言う時はこうするとか…

とも述べていますが、そもそもご本人も1ヶ月ぐらい前に連絡しないと車いすに対応するタクシーが呼べないと言うのは認識されているみたいなので、仮にそう言う協定がJRとタクシー間でなされていても、連絡が事前になければ、対応出来ないでしょうし。

高齢化社会が来ている日本ですが、まだまだバリアフリーな社会じゃない。
だけれども、確実に社会の省力化は行われている最中。

今回のブログ記事は、確かに声を上げると言う意味では、チカラのあった話。

これからも発言を行なって欲しいとは思う。
だけれども、先日からご本人は、社民党の全国連合常任幹事になっています。

ホントに小さくなった党ではあるけれども、まだ国政政党である社民党の常任幹事。

声をダイレクトに正当に伝えられると言う場所にいる訳で、これからどう今回の経験を変えて行くのかは、楽しみにしたいところではありますが、個人としては、全てにおいてバリアフリーな社会が実現するとイイとは思いますが、スグには実現できる訳がなく、過渡期として公共交通機関利用の際には、事前連絡が必須にした方が、トラブルが少なくなるんじゃないかな…と言う感じも。

もちろん、それが常態化するのも宜しくはないと思うけれども、今回のようにお互いに対案がナイような話は、多少なりとも防げるのでは?と。

少なくとも、公共交通機関の利用で事前連絡がなかったが故のトラブルって、過去にも、飛行機でしたがあり、その後、支援施設の義務化が進みましたが、やはり今の段階では、事前連絡なしでスムーズに…と言うのは、現実的じゃないですから。
声を上げるコトで変えて行くべき話なのも確かだけれど。

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