世界初の旅行会社と言われるトーマス・クックが破産!

世界初の旅行会社、トーマス・クックが破綻!

イギリスの旅行会社大手で、“世界初の旅行会社”とも言われているトーマス・クックがロンドンの裁判所に破産申請を行い、2019年9月23日に取引が停止されました。

設立者のトーマス・クックの名前をそのままグループ名に使用している訳ですが、プロテスタントの一派の伝道師だったトーマス・クックが、禁酒運動の大会に信徒を多く送り込む為に、当時高価だった鉄道の一括手配を考案し、割安料金で乗れるようにしたのがその始まりで、その後、団体旅行の取り扱いを開始。

さらに『Thomas Cook Continental Time Table』(トーマスクック・ヨーロッパ鉄道時刻表)を創刊したり、トラベラーズチェックの発行を開始するなど、業務を拡大した後、トーマス・クック航空を保有し世界16カ国でホテルを運営するなど、数多くの旅行に関するネットワークを形成していました。

2018年の業績は、営業収益が95億8,400万ポンド。
営業利益が2億5,000万ポンド、純損失が1億6,300万ポンド。

この破綻時においては、イギリスから国外にツアーで旅行している人が15万人以上いるとされており、イギリス政府と民間航空局は、10便以上のチャーター便を運航して帰国の手配を行うと共に、利用者が宿泊予定だったホテルは、航空旅行信託基金によって負担を行うとのコト。

トーマス・クック破綻の原因は?

トーマス・クックの破綻の原因は、オンライン旅行会社の台頭によるインターネットを使った個人手配が一般的になったのが、最大の理由でしょう。

これは日本でも同じコトですが、海外(特に欧米)の方が、ネットでの旅行手配の一般化は急速に進んでいる形で、伝統的な旅行会社はどこも苦戦している様な状態が続いており、トーマス・クックと言えども、経営難が続いている状況でした。

また2007年にはイギリスの旅行会社である「マイトラベルグループ」と合併しているのですが、このマイトラベル社の事業が低迷して、減損損失を計上するに至っているのも、大きかった様に思う。

さらに本部を構えるイギリスのEU離脱(ブレグジット)により、イギリス人の海外旅行手控えムードを招いたコトも、業績悪化に拍車を掛けた感じがあります。

2019年夏には、最大株主である中国の復星集団に支援を要請し、日本円で約1,200億円に当たる9億ポンドの資金を確保していましたが、イギリス政府にも2億5,000万ドル相当の資金援助を要請していたと言う情報も出ています。

最終的には、この交渉が成立するコトはなく、破産申請が行われると言う形。



イギリス国民は無料で帰国可能な様に政府が手配!

今回の経営破綻でのツアーを利用してイギリスを離れている人が15万人以上。

さらにトーマス・クック航空の利用者を含めると、約60万人にも及ぶ旅行者に影響があると言う試算がなされていますが、イギリス政府の対応は早く、イギリス人に対しては無料で帰国が出来るように手配がなされており、この経営破綻の影響を最小限で食い止めるコトに。

この対応は、ホントにさすがとしか言えない感じがしますね。
日本だったら恐らく無責任な“自己責任論”が再燃しておしまい…と言う感じがしなくもないですが、政府(特に外務省)の任務として、自国民の救護と言うのは、最大級の任務であると言うのを、やっぱり思ってしまいます。

因みに、過去に事業としていた『トーマスクック・ヨーロッパ鉄道時刻表』は版権自体をヨーロピアン・レイル・タイムテーブル社に引き継いでいて、こちらへの影響はなさそうですし、日本語版についても、問題はなさそうです。

既にネットで検索を掛ける人も多いかとは思いますが、海外の鉄道と言うコトで、やっぱりあると便利な側面は否めないですから、まぁ、一安心と言う所でしょうか。

トラベラーズチェックも事業譲渡済み!

が、気になるのは、トラベラーズチェック(以下、T/C)。

未だにT/Cを保有している人と言うのは、日本人ではそう多くはいないかと思うのですが、海外に長期で出ると言えば、アメックスかトーマス・クックのT/Cは必須だったと言う時代があるぐらいに、全盛を極めていたコトもあるので、家のどこかに眠っている方もいらっしゃるのかと。

T/Cは旅行小切手ですから、経営が破綻すると換金出来なくなるのかな…と思う訳ですが、とりあえずT/C事業を含む金融部門は、トラベレックスに売却が済んでいるので、こちらも辛うじて影響がないのかな…と言うのが、正直な所で、日本にあるトラベレックスでも、以下のT/Cは取り扱い対象になったままです。

トラベレックス取り扱い対象のトーマスクックT/C

発行元:トーマスクック
ブランド:Master Card
番号:右上番号がアルファベットから始まっているモノ

でも、ひとまずはさっさと交換しておけ…と言う話なのかも知れませんけれどね。

ちょうど2~3年前にT/Cの両替はしましたが、実は個人的に、あとほんの僅かばかりのT/Cだけ持っていたりします。
いつまでも日本で交換が出来ると思わない方が、ベター。

そう思っておいた方が良いのかもなぁ…

トラベラーズチェックを再両替してみた。 | now here,no where

そう言えば、南米に行く前に、手持ちにあったトラベラーズチェックを、両替してみました。 トラベラーズチェック。 いわゆるT/Cってヤツです。 もう… 死語に近い単語ですかね。 …

T/Cはある意味、とても便利な商品だった。
それだけに後継商品が出来なかったと言うのは、残念な所ではありますかね。
“安心”と言う意味では、今の所、T/Cに勝る商品はなく、改めて販売をしてくれていたトーマス・クックに感謝ですね。

そして、トーマス・クックと言う歴史もあって、規模のある会社でも、変革をしないと事業を継続させて行けないと言う時代だと言うコトも、改めて実感。

日本の旅行会社は、大丈夫なんだろうか…

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