2020年7月から運休中
熊本県と「JR九州」が、肥薩線の八代~人吉間について、これまで通りの鉄道での復旧を目指す方向性で合意したコトが発表になり、基本合意書を締結しました。
肥薩線の八代~人吉間は、2020年7月の豪雨によって被災し、現在も運休が続いた状態ですが、ようやく前進した形。
基本合意書によれば、鉄道で復旧がなされ、その後、復旧区間の運営については、熊本県・地元自治体(もしくは地元自治体が設立した法人)が、第3種鉄道事業者として線路などを保有し、運行は第2種鉄道事業者としてJR九州が行なう上下分離方式が想定されています。
この他、基本合意書では、
・観光を軸とした地方創生モデルの実現
・地元住民による日常利用の創出を具体化
などが盛り込まれています。
課題は山積みな状態に陥っているが…
現時点では、まだ最終合意ではなく、あくまでも基本合意書を締結したと言う話ではありますが、長い間、動きが止まっていた肥薩線の復旧に向けて、ようやく動き出した形。
球磨地方の中心都市である人吉と熊本・八代を結ぶ路線区間ではあるモノの、昨今はやはり需要が弱含みだったのは間違いがない。
中心都市と言えども、人吉市自体、人口はそこまで多くないと言うのも、大きい。
そして八代~人吉間で他に目立った都市がないと言うのも、路線継続を考えると、難点だとは思うが、やはり今後は、どれだけ人を外から呼び込めるか…と言うコトになる。
温泉もあるし、観光客が来ない訳じゃない。
ただ宿泊需要は減少傾向だし、やはり日常の利用がもう少し見込めないと…と言う感じはある。
そして同じく不通になっている人吉~吉松間も同時に復旧に向かうかどうか。
この区間は特に日常での利用が少ない区間。
日本三大車窓と呼ばれる矢岳越えが含まれる区間ですが、日本で唯一、ループ線の中にスイッチバックを併せ持つ大畑駅など、見どころはあるんでしょうが、さすがにマスツーリズムにはなりにくいのかも…ですし、それだけ時間が掛かってしまうので日常使いには厳しくなるのかな…と。
都市間輸送では、もうバスに勝てない
人吉までは、もうちょっと鉄道が力を発揮できるように思うのだけれど、どうなんでしょうね。
都市間輸送と言う意味で。
ただ高速道路が開通して行く中で、やはりもうバスが強くなっている感がある。
福岡から人吉を経由して宮崎を結ぶフェニックス号は1日28往復。
熊本から人吉を経由して宮崎を結ぶなんぷう号は1日14往復。
熊本から人吉を経由して鹿児島を結ぶきりしま号は1日6往復。
もう都市間輸送を見ても、肥薩線に勝負に勝てないのは、明白。
それならどこで勝負するつもりなのか。
そこを明確にしないと、鉄道で復旧する意味があるのかな…と言う感じ。
ただ観光列車を走らせるだけでは、やはり焼け石に水のように思うし、それだと結局、需要が先細りと言う感じがするんですよね。
人口・都市として人吉市があるだけに、まだテコ入れをすれば、もうちょっと上向きになるような気がするだけに、今後の展開に期待はしたいところですが…
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