赤字幅縮小したモノの、全線区で赤字!
経営難が続く「JR北海道」が、2022年度の線区別収支を発表しました。
2022年度は、集計した全線区で赤字。
ただコロナ禍から行動制限の緩和などがあり、多くの線区で赤字幅は前年度比では縮小すると言うコトに。
因みに、営業損益は、659億6,000万円の赤字。
これ自体、前年度から比べると130億4,600万円の減少と言うコトに。
具体的に主な線区で見てみると、こんな感じ。
路線 | 区間 | 営業収益 | 営業費用 | 営業損益 | |
2022年度 | 対前年度増減 | ||||
札幌都市圏* | 365億1,500万 | 436億8,300万 | ▲71億6,800万 | 76億9,100万 | |
北海道新幹線 | 新青森~ 新函館北斗 |
68億7,400万 | 197億5,100万 | ▲128億7,700万 | 19億8,100万 |
宗谷線 | 名寄~稚内 | 3億400万 | 29億8,100万 | ▲26億7,700万 | 9,800万 |
釧網線 | 東釧路~網走 | 2億7,100万 | 18億7,700万 | ▲16億600万 | 1億4,600万 |
根室線 | 釧路~根室 | 1億5,800万 | 12億9,000万 | ▲11億3,200万 | 2,800万 |
石北線 | 新旭川~上川 | 1億9,500万 | 14億1,000万 | ▲12億1,500万 | ▲1億300万 |
富良野線 | 旭川~富良野 | 2億9,600万 | 14億2,800万 | ▲11億3,200万 | ▲3,100万 |
石勝・根室線 | 南千歳~帯広 | 44億1,200万 | 87億3,100万 | ▲43億1,900万 | 6億8,100万 |
宗谷線 | 旭川~名寄 | 4億7,900万 | 36億6,300万 | ▲31億8,400万 | 6,500万 |
函館線 | 函館~長万部 | 33億8,100万 | 98億5,400万 | ▲64億7,300万 | 7億200万 |
*札幌都市圏:札沼線桑園~医療大学・函館線小樽~札幌~岩見沢・千歳/室蘭線白石~苫小牧間
札幌都市圏で、大きく改善したのが特徴的ですね。
その中でも特に千歳・室蘭線(白石~苫小牧間)の輸送密度が最も伸びているので、札幌~新千歳空港間を結ぶ快速「エアポート」などが回復したのかな?と言う感じ。
北海道新幹線についても、緩やかながら営業収益が伸びたコトで、営業損益は大きく改善した感じですね。
黄色線区についても、収益は微増。
その影響で赤字額も多くの線区で改善と言う感じ。
特に釧網線が伸びた感じがありますが、これはSL冬の湿原号・ノロッコ号などの観光列車の利用が好調だったとのコト。
旅客については行動制限の緩和で観光・出張での利用が増え、コロナ禍以前の80%程度にまで回復し、営業収益は181億7,400万円増の641億6,000万円に。
ただ原油価格高騰を受けて、気動車の燃料である軽油の単価が大きく値上がりしたコトで、営業費用も51億2,700万円増の1,301億1,900万円になったのが、やはり大きかったのかな?と。
不動産・ホテルは好調
関連事業を見てみると、こんな感じ。
事業分野 | 目標値 | 実績 |
小売業 | 228億円 | 227億円 |
不動産業 | 197億円 | 210億円 |
ホテル業 | 49億円 | 74億円 |
JRタワー・JRタワーホテル日航札幌が共に好調だった模様。
小売業についても、生鮮市場の新規出店中止があったので、ほぼ計画の誤差内と言うべき結果でしょうか。
ただ直近の第4四半期だけで見ると、小売業は、食品価格の高騰から購入点数の減少→単価低下が起きている模様。
2023年度は全国旅行支援の影響も剥離するので、どこまで好調を維持できるのか…と言うのは、やや未知数な部分がありそうですね。
もちろん、旅行支援の影響が剥離する代わりに、インバウンドでプラスになる要素もありますが、JR北海道は、ホテル事業がそこまで大きくはないので、そこまで恩恵を受けるコトもナイのかな?とは(空港アクセスでは恩恵がありますが)。
札幌都市圏だけでも黒字にはできないのか?
持ち直してはいる。
ただ全線区で赤字と言う事実からは、まだ脱却できておらず、さらに赤字額も大きい。
さらに、もうコスト削減余力もほぼ残っていない状態でしょうから、まだまだ厳しい情勢なのは、確かと言えそう。
少なくとも札幌都市圏だけでもしっかりと黒字が出せるような環境になっていなければ…と言う話だが、2023年度については、日ハムの新球場であるエスコンフィールド北海道の開業効果や、夏の高校総体などが好材料にはなりそう。
ただ71億もの赤字を解消するだけの決定打になるかは、ちょっと疑問符ですかね。
と言うか、確かに北海道は除雪などでマイナス要素がある。
それでも札幌都市圏で黒字って、出せないモノなのか…と、疑問には思ってしまう。
札幌都市圏と言っても、JR北海道が担っている部分は、ごく一部なのは確かだけれども、それでもそもそものパイは小さくはない訳ですからね。
今の赤字額ぐらいの黒字が札幌都市圏で出せないようであれば、やっぱり経営が好転するコトはないだろうな…とも。
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