主力の運輸事業が回復基調へ!
JR東日本が、2023年3月期第二四半期決算を発表しました。
売上高が前年同期から見ると27%増で1兆1,150億円。
前年同期は1,452億円の赤字だった四半期純損益も、271億円の黒字になり、中間期としては3年ぶりに黒字を回復すると言う内容に。
具体的に見てみると、こんな感じ。
今期 | 前年同期 | 前年同期比 | |
売上高 | 1兆1,150億円 | 8,778億円 | +27.0% |
営業損益 | 667億円 | ▲1,158億円 | ー |
経常損益 | 395億円 | ▲1,362億円 | ー |
四半期純損益 | 271億円 | ▲1,452億円 | ー |
売上高が、27%伸びて1兆円台に戻って来ましたね。
セグメント別で見てみると、こんな感じ。
今期 | 前期 | |||
営業収益 | 営業利益 | 営業収益 | 営業利益 | |
運輸事業 | 7,741億円 | 173億円 | 5,869億円 | ▲1,439億円 |
流通サービス | 1,521億円 | 117億円 | 1,289億円 | 17億円 |
不動産・ホテル | 1,566億円 | 319億円 | 1,336億円 | 227億円 |
こんな感じで、それぞれのセグメントがしっかりと回復基調。
特に主力の運輸事業が大きく戻して黒字転換したのが、全体にも反映された感じですね。
不動産事業もあるけれど、JR東日本はやはり鉄道を核にした企業な訳で、主力事業の運輸事業が伸び悩むと、その他の事業へも波及すると言う悪循環に陥っていましたが、ようやくそこからは脱却できた決算と言う感じ。
新幹線の定期外収入は、まだ戻らず…
ただ実際にコロナ禍以前と比べると、定期収入は約77%と言う水準。
定期外収入で見ると、関東圏在来線は約78%、新幹線は約62%と言う状態。
コロナ禍でリモートワークの取り組みが行われた訳ですが、この期でも定期収入は戻らず…
全国旅行支援の影響もあり、定期外収入は急速に戻って来ているコトもあり、2023年3月末時点で定期外収入は、関東圏在来線で約95%に、新幹線で約90%の水準に達するとの見通しになっている。
でもお得な全国旅行支援の影響があっても、コロナ禍以前をオーバーするコトはないと見ているのも事実なんですよね。
1度、“旅行”と言う娯楽の習慣が失われた結果を取り戻すには、まだまだ時間が掛かると言うコトなのだろうか。
グループ内で戻りが遅いのは、高速バス事業と浜松町と羽田空港間を結んでいる東京モノレール。
高速バスは前年同期と比べると増収だが、売上で見るとコロナ禍の約50%の水準に留まっている模様だし、モノレールも対前年同期では増収を確保しているが、運賃収入はコロナ禍と比べて約55%と言う状態。
高速バスは、密室感が嫌われているのだろうか。
特に隣席が近い4列シートは、まだまだ嫌う人もいるだろうし(でも、通勤列車なんかはもっと隣席が近いんですけれどもね)、3列シートは日本の場合、個別にカーテンがあるので密室感が出ますしね。
東京モノレールに関しては、ANAが黒字転換して、需要が戻っている感じはありますが、まだまだこれから…と言う感じなのかな。
ANAの決算でも、国内線の戻りは想定よりも弱含みと言うコトで、下方修正がなされましたしね。
また設備投資が控えられたのか、総合車両製作所も前年同期と比べて売上を落とすと言う結果に。
通期業績予測も据え置き。
売上高は約24.0%増の2兆4,530億円。
前年は949億円の赤字だった純損益は600億円の黒字に転換すると見込んでいるが、通期の業績予測は据え置きとなった。
黒字には転換したけれども、そこまでの力強さは感じず、概ね、元々の予測値通りと言う感じですかね。
定期需要は80%までしか戻らない?
まぁ…
元々、社会的なインフラであり、首都圏に地盤を持つJR東日本なのだから、ある程度、需要が戻ってくれば、フツーにしていれば黒字には転換する。
そう言う話だとは思う。
コロナ禍以後、様々な節制策を行なっているし、それと同時に増収に向けた新たな取り組みも行なっているし、JRE POINTなどを核にして需要喚起も行なっていますしね。
気になるのは、やはり新幹線の戻りが今一つな部分。
全国旅行支援で一息つきそうな感じはするけれど、そもそも短期的な取り組み。
仮に年を越してからも予算が付いたとしても、どこまで需要が本戻りになるのか。
ビジネス需要がどこまで戻るのか。
その辺りは気になるところで、新幹線の定期外収入が現状の62%から、春先にどのぐらいまで戻るのか…と言うのは、1つの指標になるのかも知れませんね。
あと定期収入がもう80%ぐらいまでしか戻らないと想定している訳で、そこまでリモートワークが定着したのかな?と言う感じも。
勝手な感覚だと、そこまで日本では定着していない気がしたのですが、やはり大きな企業を中心にリモートは着実に今も実践されているのかも知れないなぁ…と。
いや、単に新規採用が抑制されて従業員数が自然減になった結果なだけなのかも知れないけれど。
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