関西大手私鉄、全社が赤字転落!ホテル事業は、各社揃って縮小へ!

関西大手私鉄は全社が赤字転落!

関西の大手私鉄の2021年3月期決算が全て出揃った。

コロナ禍で迎える初めての年間決算ですが、全社揃って赤字決算に転落すると言う未曽有の事態。

まぁ…
赤字になるのは、何となく予想は出来ていましたけれどもね。

感染拡大に伴う外出自粛…が叫ばれている中で、主力の鉄道事業で大幅に収益が悪化しているのに加え、その他の事業でも観光産業は壊滅的な訳ですし。

ひとまず一覧にすると、こんな感じ。

 営業損益前年度比経常損益当期純利益
近鉄グループHD6,972億円▲41.6%▲419億円▲601億円
阪急阪神HD5,689億円▲25.4%▲76億円▲367億円
京阪HD2,534億円▲20.1%2億円▲45億円
南海電気鉄道1,908億円▲16.3%18億円▲18億円

近鉄グループHDは会社設立以来、最大の赤字額で、阪急阪神HDは通期としては会社設立以来初となる赤字を計上する状態。

2022年3月期は全社が黒字に転換する計画を立てていますが、足元の利用者は、もう以前の水準には戻らない可能性が高いとみている節がある。

そこでコスト削減を強化している状態で、近鉄グループHD・阪急阪神HD・京阪HDは一部のホテルの営業終了を決めるなどが発表になっている状態。

が、鉄道事業の落ち込みを補う収益の柱をどこに求めるのか…
今年はそんな1年になりそうな感じですかね。

ホテル事業の一部を各社が縮小へ!

実の所、鉄道事業に関しては、落ち込んではいるものの、路線長が長く観光路線も多い近鉄で32.2%の減収。
ただ輸送人員ベースで見ると、トータルで25.5%減だけれども定期については18.0%減で済んでいる。

阪急阪神HDの阪急でも合計で26.0%の減だが、定期だと19.6%の減(輸送人員ベース)。阪神で見ると、合計25.5%減(定期は15.9%の減)。

つまりは減収が大きかったのは、ホテル・旅行部門と言うコト。

一番、ホテル・旅行部門のウェイトが大きな近鉄グループHDだと、この部門で74.6%の減になったのが大きかったと言える。

これに対して、コスト削減策も大きいのがこの部門。

近鉄グループHDは、8つのホテルを売却するコトを決定。

売却されるのは、以下のホテル。

・都ホテル京都八条
・ホテル近鉄ユニバーサルシティ
・都ホテル博多
・神戸北野ホテル
・都リゾート志摩ベイサイドテラス
・都リゾート奥志摩アクアフォレスト
・都ホテル岐阜長良川
・都ホテル尼崎

これらはアメリカの投資ファンドのブラックストーンが過半数を出資する会社に売却し、運営はこの会社から受託する形で引き続き、近鉄グループ側が担うが、ホテルを保有すると言うリスクの低減が図られるコトになると共に、ホテルの経営スタイルを少し変えて行くと言うコトにも繋がりそう。

阪急阪神HDも6つのホテルの閉鎖を発表。

・第一ホテルアネックス(東京都千代田区/2021年度末閉館)
・吉祥寺第一ホテル(東京都武蔵野市/2021年度末閉館)
・梅田OSホテル(大阪市北区/2021年度末までに閉館)
・第一ホテル東京シーフォート(東京都品川区/2022年度末閉館)
・大阪新阪急ホテル(大阪市北区/2024年度末ごろに閉館)
・千里阪急ホテル(大阪府豊中市/2025年度末ごろ閉館)

近鉄グループHDと異なるのは、閉鎖だと言う点とそこに旗艦店が入っていると言うコト。

ただそもそも旗艦店である大阪新阪急ホテルは、建物の改築が視野に入っている状態でしたし、千里阪急ホテルもセルシー跡地を含んでの再開発計画があるので、それとの兼ね合いもあるのでしょうね。

京阪HDは、ホテル京阪ユニバーサルシティの営業を終了。

こちらは建物を所有する投資法人との賃貸借契約が満了するのに合わせた措置で、近くのホテル京阪ユニバーサルタワーは継続して営業すると言うコトで、近鉄・阪急ともまた違った形でのコスト削減と言う感じでしょうか。

不動産事業は各社とも堅調

各社ともに収益の柱になったのは、不動産事業。

近鉄グループHDが148億円。
阪急阪神HDが289億円。
京阪HDが185億円。
南海電気鉄道が128億円。

このセグメントも、もちろんコロナ禍の影響を受けているのですが、やはり軽微に留まったと言うのが、しっかりと出た感じですね。

全社で見ても、阪急阪神HDの国際物流セグメントぐらいしか、前年度比でプラス成長になった部門がナイ中で、やはりこの安定性の高さと言うのは、今も昔も私鉄経営の大きな柱の1つとなっているコトを、あらためて実感してしまいますね。
特に関西の鉄道は、ターミナル駅を中心とした開発をしっかりと行なっているので、それが改めて寄与したと言う感じでしょうか。

ただ会社の規模的に見ると、近鉄グループHDの不動産事業の寄与率が低い感じが。
この辺りが連結決算での収益にどのくらい影響があったのだろう…なんて、思ったりもしますけれど。

2022年3月期は黒字想定だが…

2022年3月度には各社ともに黒字転換する予想ではありますが、肝心の運輸部門では、ちょっと差が出る感じの予測になっていたりします。

特に、南海だけは営業収益で運輸部門での黒字転換が出来ないと言う予測。
これはやっぱり関空へのアクセスの割合も小さくないと言うところがあるのでしょうかね。
アクセス特急の「ラピート」は未だに多くの列車で運休中が出ていますし、空港リムジンバスも2022年3月度末時点で例年の60%までしか回復しないと言う見通しなので、無理もないのかな…と言う感じ。
逆に、それを見越して空港線の減便を伴うダイヤ改正も実施されますし。

ただこの辺りも緊急事態宣言が長引いている状態なので、今後、まだまだ予断は許さないでしょうけれど、各社ともに。

 

それにしても…

大手私鉄が揃って赤字。

近鉄なんかは不採算路線も多そうですし、今後の展開が気になる所ですね。

近鉄グループHDが17.05%を保有している福山通運の株式を約338億円で福山通運が実施する自社株式の公開買い付けで売却するなどの動きも見せてはいますが、影響が長引かないコトを願うばかり。

各社のIR資料(決算短信)
近鉄グループHD
阪急阪神HD
京阪HD
南海電気鉄道

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