大阪メトロ、民営化後初の赤字転落へ!

民営化後初となる赤字決算!

大阪メトロ(旧大阪市交通局・現大阪市高速電気軌道)の2021年3月期決算が発表になりましたが、2018年4月の民営化以来初となる赤字に転落したコトになりました。

当期の純損益が43億円の赤字(前期は271億円の黒字)。

コロナ禍による緊急事態宣言ならびに外出自粛により鉄道利用者が急減したのが響いた形ですが、赤字決算に伴い、同社株式の全てを保有している大阪市への配当は、2019年3月期で81億円、2020年3月期で64億円ありましたが、ゼロ配当とし、“配当がいつ、元の水準に戻るかは、確定的には申し上げにくい”と。

ひとまず内容から。

 2021年3月期前年度比2020年3月期
営業収益1,338億円▲27.3%1,841億円
営業損益▲88億円352億円
経常損益▲84億円355億円
当期純損益▲43億円271億円

営業費用がコスト削減などにより、2019年度よりも63億円減の1,426億円としたモノの、鉄道事業のコロナによる減収幅が459億円で、それ以外のバス・地下街などの事業も落ち込み、コスト削減幅に減収額が追い付かず…と言うカタチに。

まぁ、他の鉄道会社と似たような構造ですかね。
ただ運輸業以外の部門で、ホテル・旅行産業を持っていないので、比較的、コロナの影響を軽微で済ませられた…と言う感じで。

鉄道事業も営業赤字に!

セグメント別に見てみると、鉄道事業は、営業収益が1,129億円(前期1,584億円)で、28.8%の減収。
これにより、前期は298億円の黒字を確保していた営業損益も、93億円の赤字に。

バス事業も132億円から102億円の22.8%の減収で18億円の営業損益(前期は12億円の黒字)。

運輸部門が2つとも営業赤字に陥るコトに。

広告事業・流通事業は前年度比で落ち込むものの、何とか営業損益では黒字を確保しましたが、広告は46.5%、流通は66.0%の落ち込み(営業損益ベース)。

しっかりと売り上げを伸ばしたのは、16億円の営業収益が25億円になった都市開発事業。
ただ都市開発事業は、元々が大きなウェイトを占めている訳じゃないので、コロナ禍での減収額を補えるほどの力はなく…と言う感じ。

ただ赤字決算になったと言えども、まだ額自体はそこまで大きくはなく、前年度の黒字額の範囲内だから、そこまで大きく取り上げるほどじゃないのかも…と言うのが、正直なところではありますけれどね。

定期利用は微減で留まる?

また関西の大手私鉄の決算を見ても思いましたが、実の所、定期利用はそこまで減っている感じじゃない。

今回の「大阪メトロ」の決算を見ても、乗車人員ベースで定期利用は16.1%の落ち込みで留まっている状態。
定期外が34.8%の減だったのに比べると、まだまだ落ち込みのベースは緩やか。

収入ベースで見ても、14.6%の減で、56億円の減収ですからね。

こうして見ると、まだまだテレワークなんてモノは進んでいないんだなぁ…と、改めて実感してしまう訳ですが、やはり定期外の収益をどう盛り返して行くのか…と言うところが肝になるのかな、と。

ただ「大阪メトロ」の場合、都心部を走っているが故に、観光利用が多いかと言うとそうでもない。

「東京メトロ」のように他の路線への乗り入れも、北大阪急行線(御堂筋線)・阪急京都線(堺筋線)・近鉄けいはんな線(中央線)ぐらいで、やはり当面は定期外需要を喚起する施策に乏しいのかな…と言う感じも。

そうしたコトを考えると、「大阪メトロ」としては、事業の多角化で乗り切りたいと言う感じなのでしょうね。

ただ既に子会社として大阪市内で地下街を運営している「大阪地下街株式会社」を傘下に持っていたりするのですが、売上高的には、もっと大きい存在だと思っていました。

NAMBAなんなん(旧なんなんタウン)・ホワイティ・あべちか・なんばウォーク・コムズガーデン・ドーチカ…と、かなりの規模の地下街なのですが、これらを含めた流通事業の営業収益は101億円(前期127億円)。

正直、もっとあるんだと思っていました(って言うぐらいに広いですからね、大阪の地下街)。

でもこうした地下街と絡めた需要喚起なんかが行われてそうな感じはしますよね。
ポイント制度であるOsaka Pointと絡めて…みたいな。

ただそれにしても限界はありそうな感じですし、即座に収益に結び付くかと言われると、疑問符だけれど。

何はともあれ、民営化以後、駅もキレイになって行く感じがあるし、安定経営を実現してより暗かった大阪の地下鉄が、もっと明るく変わって行けばいいのですけれどね。

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