対中強硬の蔡総統、再選!
2020年1月11日に投開票された台湾総統選。
対中強硬姿勢を明確にしている現政権で民進党の蔡総統が、対中融和姿勢で最大野党の国民党の韓高雄市長や、親民党の宋主席を破り、再選を果たした。
しかも、800万票を超える総統選挙としては、過去最多得票での再選になった。
最終確定結果で見ると、蔡氏が約817万票。
韓氏が約552万票。
宋氏が約60万票。
結果だけを見れば、かなりの圧勝だったと言える。
韓+宋氏の合計でも、蔡氏の得票には届かない訳だし、得票率も57.13%と半数強を確保している。
再び総統としての重責を託されたのは、国民が私にこれまで以上にリーダーシップを発揮し、未来を見据えた政策を実践することで、台湾をさらに邁進させたいからだとおもいます。
— 蔡英文 Tsai Ing-wen (@iingwen) January 11, 2020
そのため、国民の声に謙虚に向き合い、不動の心で困難を乗り越え、そして、同様に台日の絆を深めていきたいです! pic.twitter.com/pks52EVuwj
勝利後の記者会見で、蔡氏も、
「1国2制度は拒否する。総統としての民意の基礎の上に、両岸関係を処理しなければならない。今回の結果は、中国への明白な回答だ」
と述べた。
対中停滞。
様々な改革。
それを機に、就任直後から支持率が低下していた蔡政権だったが、2019年6月からの香港の騒乱を受けて、「今日の香港は、明日の台湾」とする危機感が台湾全土で広がっていたが、この世論を追い風に、一気に支持率をV字回復させた。
さらに立法委員選挙(国会議員選挙・定数113)も、民進党が61議席で過半数を確保。
国民党は38議席、台湾民衆党が5議席、時代力量3議席、基進党1議席、無所属5議席と、国民党は惨敗した結果に。
惨敗したのは、中国か
今回の選挙では国民党が惨敗をしたが、それ以上に負けたのは、中国共産党だとも言っても過言じゃなさそう。
中国軍機などによる軍事的な威嚇に加え、台湾と国交のある国への断交要請と言った圧力など、様々な手段で、国民党を援助して来た。
国民党側も、勢いのあった韓氏を総統選候補に持って来て、政権奪取に向けて動いていた訳だが、そもそも高雄市長に着任して数か月後に総統選挙に立候補したと言う韓氏の戦略もマイナスであったし、スキャンダルも発生。
さらに蔡政権でも、経済指標は悪くなく、そこに香港の騒乱である。
まぁ、国民党としても勝てる要素があまりなかった感じはあるが、ここまで負けると言うのも、想定外だったのかも。
少なくとも、中国側は、もう少し僅差を期待していただろうし。
台湾の民主主義は、根強い
それにしても…
台湾の選挙。
熱いです。

最終日に掛けて、台北にいたけれども、街中の至る場所にポスターが張られ、のぼり旗が立てられ、大きな集会が行われ、ノベリティが配られ…
これだけ盛り上がっているのが、羨ましくなる限り(上の写真は、今回、5議席を確保して躍進となった台湾民主党の最終日の様子)。
特に今回の選挙では、若者の票の行方がどうなるか…と言うのも、鍵だったのかと思うけれど、結果を見る限り、杞憂だったのかな…と(若者は、どちらかと言えば、対中強硬派が多いと見られている)。
そして、何よりも激しい選挙戦と言えども、別に街中は至って、平穏と言うのが、旅人的にも有り難い話であった。

そう言えば、1年前の年末。
バングラデシュにいたけれども、その時は、戒厳令・携帯回線遮断・交通網寸断…と、デモが起きない様に、様々な政策が一気に出されていて、身動きの取れない状態になった。
幸い、バングラデシュ滞在中に、大きなデモや衝突はなかったし、安全に過ごせたけれども、やっぱり海外で選挙となると、それなりの波乱は付き物。
だけれど、今回の台湾での選挙は、ホントに平穏。
民主主義システムが、しっかりと台湾に根付いていると言うのを、それだけで実感せざるを得ない。
国際社会と言う枠組みで見れば、台湾は引き続き、厳しい局面にあるのは、間違いがナイ。
台湾と国交のある国は、過去最低レベルにまで落ち込んでいる訳だし。
ただこの民主主義の枠組みは、香港が渇望しても届かないシステム。
その民主主義による結果が、蔡総統再選と言う結果を生んだのであれば、これからも対中政策での妥協と言うのは、難しいであろう。
2期目となる蔡政権。
中国による圧力は、さらに強まって行くのだろうが、これからの政権運営には注目していきたい所である。
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