コロナ禍でなかなか明るい話が少ない交通機関ですが、小田急がかなり思い切った施策を打ち出して来ました。
しかも、次の世代に繋がるような策。
今だからこそ、こうした次に繋がっていく策が、どんどん出てくると、空気感も変わって行く感じがするのですがね。
小田急、小児IC運賃を50円均一に値下げへ!
関東の大手私鉄の小田急電鉄が、2022年春からICカードを使った小児運賃を、“一律50円”とするコトを発表しました。
小児運賃は、大人の半額と言う交通機関がほとんどな中で、一気に低廉化・一律化させ、それを常態の運賃とするのは、鉄道業界のみならず、交通機関としてかなり画期的な取り組みだと言えそう。
小児運賃は6歳~12歳未満の子供と小学生が対象。
小田急電鉄で最も高額な運賃は、新宿~小田原間であり、現在、大人運賃は891円で、小児運賃は445円。
これが一気に50円になると言うのだから、最大で約90%オフと言うコトになります。
西武バスや神奈川中央交通など、夏季休暇中などに小児50円やワンコインバスなどで乗車できる企画を行ったりするコトもありますし、西武鉄道もこの夏に池袋線の池袋・所沢~西武秩父方面の特急料金が実質無料になると言った企画を行なっていましたが、通年となると、他に例があるのかな?と言う感じが。
いや、西武だって池袋線系統に限定した企画でしたが特急料金実質無料と言うのも、期間限定ではありましたが、最繁忙期の夏休みが対象の期間だったし、かなり思い切った企画だったんですけれどもね。
少子高齢化対策として、沿線人口定着が目的
小田急がこうした取り組みを行なう理由は、沿線の少子高齢化。
首都圏を走っている小田急なので、あまりピンと来ない感じもあるが、神奈川県西部の自治体では人口減少・流出が進む傾向があったとのコト。
確かに座間や秦野市なんかはピークを過ぎた感じはあり、緩やかな減少傾向に向かいつつありますが、厚木市なんかはまだ人口も伸びているので、全然、そんなイメージはありませんでしたけれどもね。
ただ確かに小田原に近い都市ほど、どの都市も人口的には、既にピークを迎えた感があるのは否めないけれど。
なので、このタイミングで“小田急=子育て世帯に優しい”と言うブランドイメージを浸透させ、沿線の人口定着を図っていきたいと言うのが、その理由。
短期的には、なかなか答えの出なさそうな話ではあります。
で、小田急的にカギになるのは、どれだけ需要が創出できるのか…と言う点。
小児運賃は元々、収益的に寄与度が薄い部分がある。
そこを一律50円にしても、そのインパクトよりも収益的に減少度は低いのは事実。
ただそれでも、収益が減るのは確かな話。
ただ小児運賃のみで利用すると言うのは、そこまで多くはないでしょうから、親子での利用を促進できれば減収分を補える可能性もあると言う話なのだろう。
さらにグループ各社に、親子で外出して貰い、グループ会社を利用して貰うコトを促せられれば、グループ全体で見た場合、影響度は低い…と言う感じなのでしょう。
追随する交通機関は、出て来るのか?
沿線に箱根や江の島を抱えている小田急。
“ロマンスカー”が代名詞になるほど有料の特急も数多く走らせている訳ですが、コロナ禍で観光需要が喪失している中で、逆に値上げの話があってもおかしくはない状態。
複々線事業は一段落しましたが、新宿駅ターミナルの改築なども控えている状態ですし、このタイミングで、こうした思い切った施策を打ち出して来ると言うのは、なかなかできる話じゃない感じですね。
他の鉄道事業者がこれに追随してくるかどうか…と言う感じもありますが、路線が長い東武・近鉄・名鉄あたりは仮にやったとしても一律と言うのは、難しいのかな?と。
逆に路線がそこまで長くはない相鉄・阪神・東急あたりはできない話でもないでしょうが。
でも一番やりそうなのは西武なのかな?と言う感じも。
何となく…ですがね。
子育て世代向けの施策も多いですし。
ただグループとしてコロナ禍の影響が大きいので、踏み切って来るかどうか…と言う話だと。
そうなると名古屋市交通局とかの公的交通機関の方が可能性はあるのかも知れないですね。
ってか、老年層へのパスよりも大事だとは思いますが、こうした子育て・これから世代へと、どんどん公的機関が舵を切って行かないと、日本の少子化問題と言うのは、なかなか改善して行かない感じもしますけれどね。
それでも恒久的に…となると、なかなか踏み切れる話でもないのかな?と思うので、今回の小田急の決断は、スゴイ話だな…と、改めて。
どう言った効果が生まれて来るのか。
収益的に相乗効果が生まれてくる話なのか。
何かとお金の掛かる子育て世代にとってはありがたい話だと思うけれど、長い目で見る必要のある施策。
でも、沿線の価値向上には一役買いそうな感じがしますね。
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