なんかとても久しぶりに“旅の本”紹介記事。
いつ以来かな…?と思ったら、『月と金のシャングリラ』以来だったので、10ヶ月ぶりぐらいと言うコトで、我ながらちょっとびっくり。
確かに本を読むペースは以前よりも遅くなったけれど…
ニッチな面白さが分かるかな…?
コロナ禍で気軽に海外旅行に行けない時代になって、読書に精を出したと言う人も多いかと思う。
ボクはその真逆で、行けないのに思いが強くなるのを避けたくて、意識的に本から離れた(それでも読んでない訳じゃないけれど)。
で、気軽に読める本…と言うコトで、過去に買った本をチラチラと読む機会が増えたのだけれども、本書は、その中でも良く手に取った1冊。
本国と繋がっていなくて、異国に囲まれた飛び地の領土。
過去には、世界にはもっと多くの飛び地があった。
その中には、今はなくなってしまった飛び地もある。
飛び地のような植民地もあった。
でも、今も現存している飛び地もある。
アメリカのアラスカやロシアのカリーニングラードのように大きな飛び地もあれば、そこまで大きくはない飛び地もある。
どうして本国と離れた場所が?と言いたくもなるけれど、それが歴史のなせる業。
そんな世界の飛び地がギュッと詰まった1冊。
いや…
こうして書いていても、どこに魅力が?と言われそうな本なんだけれども。
ってか、需要がどこに…?と突っ込まれそうな感じすらする。
ホント、物好きな1冊です。
でもニッチの面白さがギュッと詰まっている感じ。
そして、1つ1つがそう長くはないので、パラッと読めるので、好きな人は好きだと。
行きたいと思わせない不思議さがある(笑)
なんかまるでGoogle Mapを見ているような、そんな気持ちになるけれど、不思議と“行きたい”と思わせる飛び地は、そう多くない。
そりゃそうである。
別に地図上の区分でしかなく、そこまで観光スポットがある訳じゃないのだから。
でもね。
やっぱり気にはなりますよねってモノ(男性ならではの考え方なのかもしれないけれど)。
そうした飛び地に焦点を当てた他に類を見ない本。
簡単に歴史的な背景がまとめられているだけで、別に旅行記と言う訳じゃなく、単に“こんな所にこんな飛び地があって、その歴史は…”と言うだけだけれども、今まで日の目を見なかった場所を、1つ1つ、取り上げている本。
ちょっとぐらい体験談があっても良さそうな気はするけれど、これはこれで良しなのだろう。
ってか、元々はWEB上で掲載されていたモノだけれども、よく丹念にこれだけ拾って来たなぁ…と。
やっぱりニッチな存在でも何事も極めると言うのが、大切だわな…と思うし、Google Mapをひたすら眺めているだけで幸せになれる人には、おススメの本(そうじゃない人にとっては、そもそも関心が沸くのかどうかが疑問だけれど)。
改めて、国って何だろう…
単行本化の初版は2006年なので、ちょっと時代が流れ、既に本書の中で現役の飛び地と紹介されている場所でも、飛び地状態が解消に向かったエリアもある(インドとバングラデシュのクチビハール)けれど、まだまだ世界に飛び地は現存している。
本書に出てくる現役の飛び地の中で、ボクが行ったコトのある場所は、クロアチアのドゥブロブニクと、対岸の飛び地として取り上げられているボリビアのコパカバーナぐらい(なのでコパカバーナは別に本土と切り離されている訳でもない)。
でも、ドゥブロブニクの場合はモンテネグロ側から(当時はまだユーゴだったけれど)、コパカバーナの場合はペルー側から入域したので、“飛び地”と言う感じではなく、どちらかと言えば、ゲートウェイと言う印象だったけれど。
でも改めて、“国”って何だろう…と言う気にはなります。
国と言う考えが無ければ、飛び地と言う概念は生まれない。
単に地図上に線が引かれているだけに過ぎない訳で、線が無ければ、争いも生まれないかも知れないのに。
飛び地。
この21世紀になって随分と時間が過ぎた時代に、生活するにしても不便。
アラスカのように大きな面積のある飛び地ならばまだしも、物資だって自領内では満足に事足りる訳でもない訳で。
少しずつ、こうした飛び地も解消に向かうか、意味をなさないモノに変わって行くのだろうか。
そう思うと、今の内に体験しておくのも悪くはないのかも…だけれど、その解消のために武力による衝突が起こる可能性も高いと思うと、それはそれで…と。
でも…
単行本化されたこと自体にも驚いたけれど、それが文庫になり、さらにKindle版まで出るとは…
根強いマニアからの支持があると言う1冊ですかね。
『世界飛び地大全』
著:吉田一郎
刊:角川ソフィア文庫
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