東京、いや日本の玄関口としては、やはり今でも成田空港なのでしょうが、ボクとしては、もう羽田の方が好きになっちゃった感じ。
家からの距離はどちらも遠いのですが、成田ってどうも天井も低く、暗いイメージなんで、“今から海外!”と盛り上がる印象がないんですよね、不思議なくらいに。
成田空港、民営化以降、初の赤字決算!
成田国際空港(NAA)が、2021年3月期決算を発表しました。
通期としては民営化以降、初となる赤字決算。
航空会社の経営が厳しいのは、かなり多くのメディアで取り上げられていますが、当たり前ですが旅客が大幅に減少している空港も、経営に大きなダメージが出ている状態。
成田は特に国際線比率が高い空港の1つなので、より苦境が鮮明と言う感じはありますが、元々、経営的に赤字基調の空港が多いだけに、他の空港の決算も気になりますね…
ひとまず詳細から。
項目 | 2020年度 | 2019年度 | 前年度比 |
営業収益 | 718億円 | 2,371億円 | 30.3% |
営業損益 | ▲575億円 | 407億円 | ― |
経常損益 | ▲573億円 | 391億円 | ― |
当期純損益 | ▲714億円 | 244億円 | ― |
営業収益は、民営化以降、最低となる718億円。
部門別で見てみると、特に近年、力を入れて前年946億円あったリテール事業が83億円(前年度比で8.9%)と急激な減少。
物販・飲食収入が741億円から45億円に。
構内営業料収入が107億円から15億円に、それぞれ減少した結果、前年度244億円の黒字から99億円の赤字に転落。
旅客の減少で発着回数が大幅に削減された結果、前年度1,088億円あった空港運営事業も、348億円に留まる結果になり、結果的に前年度の30%程度の収益に。
幾ら国内の基幹空港と言っても、さすがにコロナには勝てない。
そんな感じ。
取扱実績は国際貨物だけが堅調
航空取扱量の実績で見ても、苦境は鮮明。
唯一の救いは、国際航空貨物の取扱だけが前年度で見るとプラスになったぐらい。
2020年度 | 2019年度 | 前年度比 | |
発着回数|国際線 | 8.6万回 | 20.3万回 | 42.3% |
発着回数|国内線 | 2.1万回 | 5.6万回 | 36.8% |
旅客数|国際線 | 127万人 | 3,402万人 | 3.7% |
旅客数|国内線 | 198万人 | 746万人 | 26.6% |
国際航空貨物量 | 209万トン | 205万トン | 102.1% |
国際線については、1978年度の開港年度を含めて発着回数・旅客数共に過去最低。
いや、実の所、寧ろ、127万人も利用があったのだな…と言うのが正直な感想ですけれどね。
赴任していた人が戻ってくる…だとか、乗り継ぎ需要などもあるにせよ、100万人を超えるとは…と言う感じ。
国内線は、LCCが就航する前の2011年度と同水準と言う結果に。
国際線と比べても、堅調に見えますが、旅客数で見れば前年の26%に過ぎず、かなり厳しい数値なのは、間違いないところ。
それでも期間中に新規の就航・路線開設があったりも。
具体的に挙げてみると、こんな路線が新たに開設された年度に。
ピーチ(LCC)|
・宮崎/釧路線(2020年8月)
・女満別/大分線(2021年2月)
ZIPAIR Tokyo(LCC)|
・ソウル/バンコク(2020年10月)
・ホノルル(2020年12月)
春秋航空日本(LCC)|南京(2021年1月)
スターラックス航空|台北(2020年12月)
の4社9路線あったモノのそれでも前年度には遠く及ばない結果に。
海外の航空会社だと、台湾の新興航空会社であるスターラックス航空が唯一の新規開設と言う感じですが、逆に、よくこのタイミングで開設したな…とは思っちゃいますね。
設備投資を行ないつつ、減収に耐える成田
2021年度は緩やかに回復基調にはなると想定しているモノの、2021年内は大幅な回復は見込めないとし、2022年になった第4四半期に掛けて国内線が回復に転じて行くと言う見立て。
当期純損益は670億円の赤字と想定し、2期連続で赤字と見込んでいる状態。
ただキャッシュの確保としては、短期借入金・コマーシャルペーパーによる調達の他、500億円の社債発行・4,000億円の財政融資資金(C滑走路新設などを目的とした資金)などを実施した結果、期末時点の現金・現金同等物の残高は前年度より1,201億円増えて1,585億円を確保しているので、当面、心配はなさそうだが、成田空港は国内線も飛んでいると言えども、まだまだ国際線が主流な訳で、影響は長引きそう。
2028年度末のB滑走路の延伸(滑走路長2,500m→3,500m)ならびにC滑走路の新設(滑走路長3,500m)を進めている最中だけれども、大きな投資の最中に、ここまで需要が急減したのはタイミングが悪かったとしか言いようがない話。
空港事業の設備投資はスグにできる話でもないから、中期的に考えなければならない訳だし。
問題は、いつごろ、収支がトントンのレベルにまで持ち直すかと言うコト。
成田の国内線はLCCが飛び始めたと言えども、まだまだ…なので、やはり国際線がカギになる訳だけれども、ワクチンの接種が完了するのが、日本国内で今年度いっぱいは掛かる。
海外となると、先進国ならば、同様なのだろうが、それ以外を含めると、さらにもう1年ぐらいは海部に時間が掛かるのかな?
そこから旅行の機運が戻って来るのを待つとなると、やはりある程度の期間が必要になって来そうな感じですかね…
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