1,553億円の最終損益!
JR東日本が、2020年4~6月期の第1四半期決算を発表しました。
これによると、最終損益は1,553億円の赤字。
四半期決算としては、過去最悪の赤字額を計上しました。
ひとまず連結決算の内容を見てみます。
前年同期 | 2020年度 | 増減 | |
営業収益 | 7,423 | 3,329 | △4,094 |
営業利益 | 1,446 | △1,783 | △3,229 |
経常利益 | 1,327 | △1,975 | △3,302 |
当期純利益 | 915 | △1,553 | △2,469 |
四半期決算としては、コロナウイルスの影響が広がり始めた2019年度第3四半期に続く2四半期連続での営業損益を計上。
最終赤字としては、東日本大震災が起きた2011年度1~3月期の614億円が過去最悪でしたが、それを抜くベースで、過去最大の赤字額になっています。
各セグメントで赤字計上
セグメント別に見てみると、こんな感じ。
営業収益 | 営業利益 | |||
前年同期 | 2020年度 | 前年同期 | 2020年度 | |
運輸事業 | 5,058 | 2,087 | 1,085 | △1,629 |
流通/サービス | 1,256 | 569 | 89 | △103 |
不動産/ホテル | 873 | 485 | 232 | △63 |
鉄道事業の落ち込みは大きく、鉄道収入が61%減の1,802億円。
その中でも特に、不要不急の外出自粛が叫ばれたのと、ビジネス出張需要の減退が直撃した新幹線の落ち込みは激しく、前年同期比で比べると約82%減になると言う落ち込みぶり。
在来線も前年同期比で約61%の減少と言う有り様になっています。
また普段であれば、固定収益に近い定期需要も約26%ばかり減っていると言うのが、気になるところです。
お盆も予約は低調
これに対して、役員報酬や賞与などの人件費のカットや、広告宣伝費の削減で、JR東日本単体で500億円程度の費用削減を見込むほか、設備投資も見直す計画で収益回復を待つ形。

ただ足元で見ると、最大の繁忙であるお盆シーズンも指定席予約数で見ると、前年同期比80%の減少と、旅客数の改善は見られていない状態で、引き続き、厳しい情勢であるコトが分かります。
鉄道業界も航空業界も運輸産業自体、初期費用の大きい装置産業。
安全にまつわるような固定費や修繕費ではカットできない部分も大きいのに加え、最終的にはまだ人の手が必要な訳で、人件費負担も少なくはないので、当面、この影響は続きそうな感じですね。
全路線の終電繰り上げはあるのか?
さて今回の四半期決算の発表で、赤石常務から、全路線を対象に終電時間の繰り上げの検討が明らかにされました。
これは、そもそもリモートによる勤務体制が見られ、通勤需要が弱含みなのに加え、残業や飲み会・接待などが減っているコトから、深夜時間帯の利用が減っていると言うのが大きく、さらに終電時間を繰り上げるコトで、夜間に実施している線路などの保守点検時間が増やせるコトで、作業効率が上がり、経費削減にも繋げられると言う考え。

具体的な路線と言う感じではなく、全路線が対象になっていると言うのが、大きなポイントですが、確かに深夜帯は需要の減少が激しいかんじはありますが、どうでしょうね。
SNSなどの書き込みを見ると、世間的には、「残業が減る」「上司などとの飲み会が減る」と好感触のようですが、終電が早まるから残業が減ると言うのは、そもそも何か違う気もするし、「働き方改革」の本質ですらないとしか思えないのですよね。
逆に、運転時間を長く設け、ピークタイムを避けての出勤などをアピールして、ピークの分散化が図れる方が、長期的に見ると、JR的にも日本全体で見ても、プラスになると思うのですけれどね。
12:00出社でもいいやん…みたいな。
ただそれには、終電が現状通りの時刻じゃないと、やっぱり厳しいと思いますが。
まぁ、それでも複々線路線での、終電繰り上げと言う感じであれば、分かるのですが。
ただ鉄道会社の保守費用の削減と言うのは、今までなかなか手が付けられない部分だったのでしょうから、やっぱりココに手を付けたいのかな…と言うのが、正直な感想だったりしますが。
はたして、ここに手が付けられるのかは、気になるところ。
首都圏の終電時間は、他の鉄道各線とも密接に関係しているので、その辺りの余波も気になるところです。
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