ボリビア大統領選、結果が怪しい?
ボリビアの大統領選挙が2019年10月20日投開票で行われた。
基本的な対構図は、現職のエボ・モラレス大統領対カルロス・メサ元大統領(合計で9人が立候補している)訳だけれども、公式結果が発表され、現職のモラレス大統領の4選が発表になった。
が…
これが、どうも怪しい。
そもそもボリビアの大統領選挙と言うのは、1回目の投票で勝利を収める条件は、以下の通り。
・有効票の50%以上の得票を獲得する
・40%以上の得票を得た上で、2位に10ポイント以上の差を付けるコト
このどちらかが必要で、事前の世論調査では、現職のモラレス氏がリードをしていたが、過半数には届かず、40%以上の得票までは確保出来そうだったが、2位と10ポイント以上の差が出るかどうかが1つの焦点と言われていた。
もしモラレス氏が2位と10ポイント以上の差を付けられなければ、決選投票となり、その場合、勝利を収められるかどうかが微妙な情勢だとも。
そしてもう1つの焦点が、そもそもモラレス氏に立候補する資格があるのかどうかと言う点。
元々、ボリビアの憲法は、大統領の再選を禁じていたが、モラレス氏の政権下であった2009年の国民投票を行い、改定したが、その新憲法でも連続3選を禁止しており、憲法修正の是非を問う国民投票を2016年に行うが僅差で否決されたモノの、憲法裁判所の判定で、なし崩し的に出馬を強行した経緯がある。
そうした中での選挙。
当初、多選批判は強いが、それでもやっぱり自力のあるモラレス氏が優勢ではあるが、カルロス・メサ元大統領との決選投票に持ち込まれる情勢であると言う感じで、開票率約83%の時点で、
・モラレス氏…約45%
・メサ氏…約38%
と言う選管当局の集計速報が出ていた。
が…
その後、速報が止まり、開票率約95%になって速報が再開。
・モラレス氏…46.40%
・メサ氏…37.02%
と、いきなり1回目の投票で当選確実になりそうな情勢に切り替わった。
[speech_bubble type=”rtail” subtype=”L1″ icon=”tabikazu01-i.jpg” name=”たびかず”]怪しすぎますね、これ、誰が見ても。[/speech_bubble]開票速報が止まっていたのは、1日。
いざ開票が再開されると、7ポイント差だったのが、一気に当選圏内になる10ポイント差になったと言う話。
そりゃ、怪しい…と言う流れになるのは、確か。
そりゃ、揉めると言うモノである。
どうでもいいけれど、↑動画内に出て来る“Evo! Amigo~♪”も“Ole Ole~Mesa~♪ ”もどちらも歌ったコトがあるな、現地で(笑)。
確かにモラレス氏が強い地盤と言うのがある。
白人中心だったボリビアで、初めて先住民出身の大統領になったコトもあり、圧倒的にアンデス地方に強い。
逆に言えば、東部のサンタクルス~南部のタリハに掛けては、圧倒的に弱い。
なので、このタイミングでアンデス地域の開票が進んだとすれば、あり得ない話ではない。
だが、これを踏まえて、メサ陣営としては、不正があったとして抗議デモの展開が始まり、この先の情勢が怪しくなって来たと言う感じ。
元々、デモや道路封鎖の多い国
そう言えば、最近、ボリビアで大規模なデモと言うのは聞かないけれども、元々、デモが多い国。
小規模なデモならば、ホントにしょっちゅう行われていたりします。
その中で、カルロス・メサ氏がまだ大統領だった時、全土で道路封鎖が敢行されると言うデモに遭遇したコトがあった(第2次ガス紛争の前哨ぐらいの時点)。
ホントに全土で行なわれている道路封鎖で、旅人ももうどこにも行けない・動けなくなると言う旅人泣かせのデモだった。
その時、事実上の首都であるラパスにいたのだけれども、ラパスはすり鉢状の街で、山側の入口と谷側の幾つかを道路封鎖されると、事実上、市外に軟禁されると言う状態に。
空港すら山の上にあって、道路封鎖を応援する野党の党首すらラパスに戻って来れないと言う状態だったのは、苦笑するしかなかったけれど。
しかもボリビアは、ダイナマイトが容易に手に入る環境にある(鉱山労働者用だが、観光客ですら買えるぐらいに容易)。
デモがこれ以上、大きくなったら…と思った矢先に、メサ大統領が辞任を発表するモノの、議会が満場一致で否決でさらに混迷(これもボリビアらしいけれど)。
その混迷極めた隙に、現地の人の手を借りて、何とかラパスを脱出できたのですが、第1次ガス紛争の際は、日本大使館すら逃げ遅れたコトがあったとか。
今回も大きくならなければいいのですが(当時と違って、ミ・テレフェリコが出来ているから、脱出はしやすくなったかも知れないけれど)。
モラレス氏の功績は、なに?
ってか、今更、カルロス・メサ氏が出て来ると言う時点で、もうボリビアらしいと言う気はしますけれどもね。
だってもう10年以上前の元大統領ですから。
モラレス氏は、確かに功績のある大統領なのは、間違いない(もちろん、現地の人によっても異なるだろうが)。
FIFAが標高の高い所はサッカー会場に認めないと言うと、国会議員と一緒に最高峰でサッカーの試合をしたり、国連麻薬委員会で自らコカの葉を噛むなど、パフォーマンスが目立つのも事実だけれども、一応、先住民の権利確保と、富の再分配にチカラを入れていたりはする。
経済が好転しているかと言われると、以前よりはマシになった様には思うが(政府支出がかなり膨らんでいるのも事実だけれど)、何よりの功績は、少なくとも政治的な空白がなかったと言う所かな…と。
モラレス氏の前の大統領は、基本的に、ほとんど短命政権。
メサ氏の前任は亡命するに至るなど、政治的な混迷が続く中で、モラレス氏の長期政権と言うのは、ボリビアでは記録的な長さだったりする。
反米政権であり、とかく睨まれる位置にいるけれども、それだけは功績と言っても良いのだろう。
ただ…
やっぱり長期政権って、弊害は出るモノ。
今回は、どう収拾を見せるのだろう。
因みに、メサ氏が大統領辞任に追い込まれた第2次ガス紛争の際は、ラパスでも鉱山労働者がダイナマイトで警察による催涙弾に応酬したと言われるので、ホントに危険度が高かったりするんだよなぁ…
そして、この流れが、南米全土に広がらなければいいのですけれどね。
経済がドツボになっているアルゼンチンなんて、火種たくさんの様に思えるし。
そして…
ボリ、行きたい…
因みに、外務省情報は、スポット情報が出ています~。
少なくとも、
・ホテルレアルプラザ(けんちゃんの近くの学生広場から1ブロック先)
・ホテルプレジデンテ(ムリリョ広場近く)
・アバロア広場(ブルベリーズカフェの所)
は近づかないのが無難です。
って…
ラパス中心部のほとんどやん。
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