入国管理局が庁へ格上げするのは良いけれど、入管行政の見直しはないのか?

入国管理局を「庁」へ格上げ!

政府が外国人労働者の受け入れ拡大を進めているが、法務省は2019年4月から入国管理局を庁に格上げする方針を固め、入国審査官などを増員し、合計5,000人を超える組織に改編するコトを、秋の臨時国会へ関連法案を提出コトに。

「入国管理局」と言えば、普段はなかなか馴染みがないけれども、海外に出掛けて帰って来る時には、誰しもがお世話になっている行政機関である。

新たに新設される「庁」では、「出入国管理」と「在留管理」の2部署を設け、入管業務だけでなく、外国人の受け入れ環境の整備について、関係省庁や自治体との調整も担うとのコト。

2017年度末時点の在留外国人は約256万人。
訪日外国人旅行者数も過去最高の約2,869万人。

これからもしばらくは増加して行く傾向を見込んでいるコトと、政府が人手不足に対応する為に、一定の専門性などを持った外国人労働者をさらに受け入れる為の新たな在留資格を2019年4月にも設けるコトを決定していると言う点も「庁」への格上げの理由の1つだろう。

人手不足に悩む業界や中小企業には朗報にはなりそうだが、あくまでも移民政策はダメだけれども、外国人労働者は受け入れたいと言う話で、この「庁」への格上げで我々の海外旅行での出入国のストレスが緩和されるかどうかは怪しい所。

 

2017年12月末時点での日本人就業者数は、6,531万人。
外国人労働者数は同じころで127万人。

つまりは既に2%が外国人労働者になっており、業界を絞れば、さらにこの比率が既に高くなっているのだろう。

実態として外国人の就労が行われている。
今回の改変はその現状を追認すると言う動き方なのだろう。

ただ現行の技能実習制度が、一部では外国人労働者の不当な使い捨てに繋がっていたりするのも事実。
“人手不足”を隠れ蓑にしているだけで、抜本的な対策にはなっておらず、対処療法になっている様にも思える。

移民や難民を認めない。
働き手だけ欲しい。

それも人手不足の業界にだけ行って欲しい。

まぁ、自国民の労働市場を守る為に、どの国も同じ様に思っているコトではあるけれど、急激な人口減少社会を迎えている日本の将来に関わる話なのに、広く熟議された感じはしない。



外国人労働者の生活環境の整備も急務ではないか

2025年ごろまでに約50万人強の労働者が新たに来日する計算と言うので、来日する外国人労働者は激増する。

だけれども、それに伴う環境の整備などは、おざなりになっているのが、現状だ。

本来ならば、それは同時並行的に行っていかなければいけないのに、日本の行政の場合、そこが機能していない様にも思えるし、各地方自治体によっても差がある様に思う。

まずは生活環境。
多言語での相談はもとより、日本語教育の充実なども国が率先して行っていくべき流れにならなければ、日本の中で外国人と言う歪みが生まれるだけだ。

さらに最長5年の技能実習を終えた人が新たに在留資格へと切り替えると、最長で10年は日本に滞在できるのだが、これらの社会保障制度の整備もまだまだ未整備だ。

こうした中で、入国管理局の「庁」へ格上げが検討される。

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異なる文化圏の人をどう日本に馴染ませるのか

日本の入国管理局と言うのは、世界から見ればかなり特殊だ。

難民が押し寄せている訳でもないのに(しかも数少ない難民申請への対応もかなり厳格で、ほぼ難民申請が却下されると言う状態)、入国管理局の施設に強制収容される外国人の収容期間が長期化しているし、法務省も仮赦免制度を厳格に運用している。

仕事としては正しいのだろうが、「庁」へ格上げし、人を増やしたところで、それ以上の外国人労働者が来日する訳で、不法滞在者の摘発や強制送還などの治安維持のみに目を配っている現状の入管行政だと、あるタイミングで行き詰るのは、目に見えている。

どうやって訪日した外国人を日本に馴染ませられるのか。
育って来た文化が異なる外国人と、どうやったら共生出来るのか。

そうしたコトも新しく「庁」へと格上げされる入国管理局がどれだけ関与出来るのか。

そして日本人が、外国人をどう迎え入れるのか。

人口が減少する中で、外国人を迎えると言うのは、既定路線だし、逃げられない話。
だけれども、その話がすっぽり抜けている気がするのは、ボクだけなのだろうか…

まぁ…
空港のイミグレの混雑が緩和される可能性が高くなるのは、有り難い話なんですけれどもね(それでも諸外国に比べて、まだ列に並ぶ時間は少ない方だと思うけれど)。

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