ベトナム航空って…?
ANAホールディングスが、ベトナムのナショナルフラッグであるベトナム航空に、この夏を目途に出資をし、業務提携を開始するコトが基本合意に至った旨が、発表になりました。
そう言えば、ANAは2014年ごろにビルマ(ミャンマー)の中堅航空会社であるアジアン・ウィングス・エアウェイズへ49%、出資する予定がありましたが、収益力が低下しているコトで、出資を撤回していたコトがありました。
その際、“引き続き、ビルマ(ミャンマー)に限らず、アジアの成長を取り込んでいきたい”と言う発言があった様に思うのですが、それ以来、成田と羽田のデュアルハブでアジア~日本経由の北米需要を取り込んでいく姿勢を強めていましたが、ベトナム航空に出資と言うのは、ちょっと驚きも。
そもそもベトナム航空は、現在、日本とベトナムの間に、
- ハノイ~羽田(週7往復)
- ハノイ~成田(週7往復)
- ハノイ~関空(週7往復)
- ハノイ~中部(週7往復)
- ハノイ~福岡(週4往復)
- ホーチミン~成田(週14往復)
- ホーチミン~関空(週7往復)
- ホーチミン~中部(週4往復)
- ホーチミン~福岡(週2往復)
- ダナン~成田(週7往復)
で乗り入れをしていますが、一方のANAは
- 羽田~ハノイ(週7往復)
- 成田~ホーチミン(週7往復)
しか乗り入れをしていない状況。
しかも、ベトナム航空の加盟アライアンスは、スカイチームですが、ANAはスターアライアンスと、アライアンスを跨いでの提携になります。
そしてさらに、ベトナム航空の現状の提携先は、JAL。
この資本提携が実現すると、マイレージでの提携なども視野に入ってくるほか、ベトナム航空のコードシェア相手がJALからANAへと変わるコトも容易に考えられます。
出資金額は約130億円で、株式の8.8%程度とのコトなので、一気に資本を握ると言う割合ではないのですが、逆に言うと、少ない資本の投入で最大限の効果が出そうな提携になります。
なお、残りの株式はベトナム政府が75%を保有し、残りの最大20%を戦略的パートナーに売却する方針を打ち出していますが、ベトジェットと言うLCCも育ってきていますし、そもそも東南アジアの国からLCCの就航が続いているベトナム。ベトナム最大の航空会社であるのは、間違いがないですが、タイや中国、シンガポールと言った近隣諸国の航空会社と比べると、少し規模的にも見劣りがするベトナム航空でしたから、この戦略的な提携を軸に、一気に体制を整えていきたい所なのでしょう。
JALはどう対応するのか
さてここで気になるのが、JAL側。現状、JALの自社運航のベトナム路線は、
- 成田~ハノイ(週7往復)
- 成田~ホーチミン(週7往復)
- 羽田~ホーチミン(週7往復)
に限れれていてその他の便は、全てベトナム航空の機材で運行されているコードシェア便。
羽田便も、発着枠が貰えなかったので、強引に深夜便に食い込ませた形の路線なのに加え、ハノイ便もホーチミン便もJAL便は全て夕方以降の出発なので、午前便がなくなってしまいます。
別にJALだけを考えた出資ではないのでしょうが、正直な所、上手くやったなぁ…と言う気が否めなくもないです。
ベトナム航空と結びつくと、カンボジアやラオスなどへもコードシェアで結び付き易くなりますしね。
そして、スターアライアンスはタイ国際航空やシンガポール航空と言う航空会社が加盟しているだけあって、そもそもアジアには強いイメージがありますが、これでより盤石の体制近づく形になりますね。
逆に、JALは2017年3月末まで新規の投資に対しては政府の監視下にありますが、これを踏まえて、どう出てくるのかなぁ…と言う所でしょうか。
元々、あまりアジアでの広がりと言うのに対しては熱心じゃないイメージがあって、タイ国際航空とバンコクエアウェイズなどとは提携関係にありますが、もっと同じアライアンスにあるキャセイやマレーシア航空と提携を進化させても良いのになぁ…なんて思っていましたが、逆に言うと、それ位しか打つ手がない様な。
それにしても、ANAの事業拡大は急ピッチ。
この位のスピード感がないと、立ち行かなくなると言うコトなのかも知れませんね。
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