14線区合計で60億円の赤字!
「JR九州」が、2022年度の区間別収支を発表しました。
コロナ禍から利用客が回復途上にありますが、14路線20区間で1日の平均通過人員(輸送密度)が2,000人以下となり、営業赤字は合計すると約60億円。
2021年度と比較すると赤字額も約1億円程度、増加している(比較できる18区間のみ)。
コロナ禍以前から、沿線の人口が減っているコトもあり、利用者の減少には歯止めがかかっていない状態。
ひとまず区間別で営業赤字が2億円を超えている路線をピックアップしてみると、こんな感じ。
路線 | 区間 | 営業収益 | 営業損益 | 平均通過人員 |
日豊本線 | 佐伯〜延岡 | 325 | ▲476 | 604 |
都城〜国分 | 335 | ▲360 | 1,068 | |
日田彦山線 | 城野〜田川後藤寺 | 227 | ▲416 | 1,945 |
久大本線 | 由布院〜大分 | 439 | ▲483 | 1,793 |
唐津線 | 久保田〜唐津 | 238 | ▲341 | 1,818 |
唐津〜西唐津 | 33 | ▲259 | 765 | |
豊肥本線 | 肥後大津〜宮地 | 147 | ▲280 | 768 |
宮地〜豊後竹田 | 73 | ▲361 | 171 | |
肥薩線 | 吉松〜隼人 | 59 | ▲343 | 493 |
三角線 | 宇土〜三角 | 96 | ▲329 | 825 |
吉都線 | 都城〜吉松 | 69 | ▲373 | 394 |
指宿枕崎線 | 喜入〜指宿 | 171 | ▲254 | 1,862 |
指宿〜枕崎 | 29 | ▲337 | 220 | |
日南線 | 田吉〜油津 | 154 | ▲678 | 914 |
営業赤字が最大になったのは、日南線。
田吉〜油津で6億7,800万円の赤字。
続いて、久大本線の由布院〜大分が、4億8,300万円の赤字。
数値的には大きな赤字が恒常化していると言う感じで、下げ止まりもままなっていない状態であるコトが改めて明らかになった。
災害で不通になっていた日田彦山線の一部区間は、BRTとして再生したけれども、まだまだ災害で不通になっている区間がある。
その不通区間の復旧も気になるところだが、そもそも路線を維持しているだけで赤字になる路線・区間の動向も、今後、話題になってくる可能性が高そう。
JRがどれだけ持ち堪えられるのか
今回、発表になった線区で、当面、路線の存廃にまつわる話が出てこないのは、路線長が短く、赤字幅も大きくない宮崎空港線(赤字額は1,500万円)ぐらいか。
あとは久大本線の日田〜由布院も赤字額は1億円程度だし、営業収益が6億7,400万円と金額が高めなので、安泰なのかも知れない。
だが、その他の路線となると、やはり厳しい感じがある。
三角線も赤字額は3億2,900万円だが全線で営業収益が9,600万円と1億円に届いていないし、指宿枕崎線の指宿〜枕崎感は赤字額が3億3,700万円なのに対し、営業収益が2,900万円。
赤字額が最大になった日南線も厳しい情勢になっている。
どこまで「JR九州」が持ちこたえられるのか。
結局、そこに掛かってくるのかも知れないが、既に上場企業であるからして、赤字路線をこのまま放置し続けて株主の理解が得られるのか…と言う気もする。
地域の便益を考えるべきタイミング
鉄道の本分は、大量輸送にある。
その大量輸送を担えなくなっているのであれば、やはり地域の特性にあった方法も視野に入れるべきなのだろう。
ただ鉄道の特性として、波及効果が大きいのも、大きい。
その波及効果がどれだけあるのか…を、どう計算するのか。
結局、そこで公的な支援を入れられるのかが決まる感じがするのだが、今の日本の地方公共交通機関は、その辺りの計算が曖昧な感じがある。
鉄道が民間単独経営で出る赤字。
鉄道があるからこその波及効果額。
代替交通機関による時間的な損益。
そこをしっかりと計算せず廃線ありきで話を進めると、結局、元には戻せなくなる。
この機会に各地域が、どれだけ鉄道による便益を受けているのか。
それを受けるためには、どこまでの支援が許容されるのか。
それを考えるべきタイミングのように思えるかな…と。
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