四国新幹線の駅構想
四国4県の知事や各県の商工会会長らが構成する「四国新幹線整備促進期成会」が、2022年6月1日に『新幹線が都市を変える~新幹線と四国のまちづくり調査~』を公表し、四国新幹線の駅構想を明らかにしました(調査結果の本編はコチラから)。
四国新幹線。
「全国新幹線鉄道整備法」に基づき、岡山から四国に入り、高松~徳島・高知・松山を結び、四国の先としては、徳島から紀淡海峡を渡り新大阪へと向かう路線と、松山から豊予海峡を渡って大分へ向かう路線が構想に盛り込まれており、四国内に限れば、路線延長は302km。概算事業費は1.57兆円で、費用便益比は1.03。
一応、現時点では総便益が総費用より大きいと試算されているが、整備計画には入っておらず、
四国は全国の中で唯一新幹線の空白地帯となっており、このままでは整備された地域と四国との間で格差が広がってしまう恐れがある
として建設促進を唱えていて、今回、四国新幹線が建設された場合の、高松・徳島・松山・高知の各都市での駅設置構想を発表した形。
ひとまず順に見てみると、こんな場所が挙げられています。
都市名 | 場所 | メモ |
高松 | 高松駅 | 既存高松駅併設 |
栗林駅付近 | 高徳線栗林駅併設・琴電にも駅新設で総合駅化を想定 | |
ことでん伏石 | 高松自動車道併設 | |
高松空港 | 空港地下に設置 | |
松山 | 松山駅 | 既存松山駅併設 |
徳島 | 鳴門駅 | 鳴門駅近辺 |
阿波おどり空港付近 | 空港付近 | |
徳島駅 | 既存徳島駅併設 | |
高知 | 高知駅 | 既存高知駅併設 |
後免駅 | 既存後免駅併設 |
四国の場合、徳島以外の3県は中心部がJRの駅からは少し離れている形なので、どうなるかな?と思ったけれど…
高松空港地下とか阿波おどり空港付近だとか、まずありえないでしょ。
そもそも空港に設けるコトで交通の接点としたいのだろうけれど、そもそも両空港とも、羽田便以外の需要がほとんどない空港状態。
そこにわざわざ新幹線の駅を設ける理由がどこにある?と言うのは素人でも分かりそうなのに、そんな構想を金と時間を使って作ったの?と言う感じ。
まぁ、別に事業主体が造った訳じゃないから、あくまでも夢物語なだし、それは自由な話ではあるけれど。
3路線が必要か?デメリットも試算するべき
そろそろ…
新幹線に夢を求めるのも、どうかと思う。
もちろん、上手く行っている場所もある。
そうでもない場所だって、新幹線の駅があるから何とか下げ止まっていると言えるのかも知れないけれど。
四国の場合、本来ならば明石海峡を渡ると言うルートがベストのような気もするけれど、費用を考えると新幹線が造れる瀬戸大橋ルートになる訳だけれども、そうなると坂出・宇多津近辺で3方向に路線を振らなければならなくなる。
3路線を四国に設けるのが、果たして妥当か?と言われると、正直、それだけの需要があるかは謎。
岡山~高松か岡山~松山の2路線が妥当な所なのかな…と。
そうなると四国4県も一枚岩でいられるかな?と。
そして既存在来線の話ももちろん、セットで出てくる。
ただでさえ現時点でも赤字。
コロナ禍以前でも各線が赤字。
そこに新幹線ができると、より赤字幅が広がるのは確実。
仮に新幹線を設けて、既存の在来線をJRから分離して何とか経営が続けられるのは各都市圏近郊部分と、予讃線ぐらいなのかな?と。
こうしたデメリットに対する試算。
「四国新幹線整備促進期成会」には各県の知事もメンバーに入っているのに、そうしたコトが一切、語られていないのは、やっぱりちょっとな…と。
やはりまだミニ新幹線方式で建設する方が、既存在来線も残すコトができるし、妥当な感じがしてしまう。
線路容量に余裕がない状態の岡山側の瀬戸大橋線は、瀬戸大橋部分を含めてフル規格にするべきかも知れないけれど。
東京までもフル規格なら3時間を切れるけれど、ミニ新幹線方式だとそこまでの時短効果はないけれども、少なくとも、大阪までの直通は可能だろうし、一番現実的だと思うのだけれど。
ってか、仮に建設を目指すのであれば、どちらがいいか?の方が駅をどこに…よりも先の話では?と。
全国新幹線鉄道整備法が、時代錯誤
新幹線。
まぁ、そりゃ、あるに越したコトはない。
地方が元気がない状態になっている現状で、最後の起爆剤になり得るプロジェクトなのも確かだと思う。
でも、その根本になっている「全国新幹線鉄道整備法」は、1970年(昭和45年)に公布された法律である。
当時はまだ国営である国鉄だったし、各地の道路事情も今とは大きく異なっていたけれども、もう2022年である。
高速道路の整備も各地で進んだし、JRになっているし、そろそろこの法律を根拠とした新幹線整備は改めるべきなのでは?
もう当時とは、状況が変わりすぎているでしょ…と。
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