ANA、中間期は988億円の赤字!
ANAホールディングスが、2022年3月期の第2四半期決算を発表しました。
コロナ禍後、赤字計上が続いているANAですが、今期は黒字転換を目標としている中での中間決算。
ひとまず発表になった数値から追ってみると、こんな感じで着地しています。
項目 | 今期 | 前年同期 | 対前年同期比 |
売上高 | 4,311億円 | 2,918億円 | +1,392億円 |
営業費用 | 5,471億円 | 5,727億円 | ▲256億円 |
経常損益 | ▲1,155億円 | ▲2,686億円 | +1,531億円 |
当期純損益 | ▲988億円 | ▲1,884億円 | +896億円 |
コロナ禍以後としては、損失額は最も少なくなり、構造改革による固定費削減などの効果は出ている形。
セグメント別で見てみると、こんな感じの状態。
項目 | 今期 | 前年同期 | 対前年同期比 |
国際線|売上高 | 304億円 | 196億円 | +54.9% |
国際線|利用率 | 23.8% | 24.2% | ▲0.3pt |
国内線|売上高 | 1,118億円 | 789億円 | +41.7% |
国内線|利用率 | 43.8% | 36.3% | +7.4pt |
本来であれば、東京オリンピック・パラリンピックが開催された期間に当たるので、賑わうはずだった国際線ですが、引き続き、各国による渡航規制や日本での隔離などもあるので、大きく低迷したまま。
確かに前年同期比で見ると大きく伸びているようには見えますが、これは大会関係者の渡航需要を取り込めたと言う感じなのでしょうが、焼け石に水状態。
国内線は、引き続き緊急事態宣言が出ている状況下でしたが、前年同期比よりも伸ばした形。
ただこちらも低い水準のままだった…と言える状態ですが、最悪期は脱したのかな?と言えるような水準にはなっているのかな…とも。
貨物事業に関しては、国際線の貨物収入は、前年同期の508億円から1,383億円に大きく伸ばすなど、引き続き絶好調で、貨物専用機をフル活用している状態が分かる。
通期予想は黒字から1,000億の赤字に下方修正!
営業損益が、売上高を上回るペースで改善しているので、第4四半期には黒字化が見通せるレベルにはなった形だが、通期の最終利益を35億円の黒字と見込んでいた計画は、さすがに難しく、1,000億程度の赤字へと通期の業績予測を引き下げるコトに(前期は4,046億円の赤字)。
さらに2025年度末には今年の3月末よりも9,000人少ない29,000人とする従業員の削減策も発表(但し、定年退職と採用抑制で対応し、現在の雇用は維持するとの考え)。
まぁ、さすがに通期の黒字化と言うのは、元から困難だったように思える。
どうしてそう言う計画にしたのか…とすら思うレベルで、全てが“コロナ”でした…と言う話でもないように思う訳だけれども、赤字がさらに積みあがる結果になった。
ってか、35億円の黒字予想が、1,000億の赤字になったらアカンでしょ。
下方修正は別に悪くないけれど、その度合いが過ぎる。
ただ自己資本比率は、2021年9月末時点で26.0%。
まだまだスグに資本増強が必要なレベルでもないのかな…と言う感じ。
足元では感染が急減しているけれども、まだ海外旅行へ…と言う段階でもない。
そして原油価格が高騰しているコトも、経営にはマイナス要素になる訳だけれども、ANAが掲げた“非航空分野”での収益が、どれだけ確保して行けるか…と言うのが、当面、必要になって行くのかな…とも。
ピーチは単価が下げて需要喚起を鮮明に
LCCの「Peach」に関しては、次のような状態。
項目 | 今期 | 前年同期 | 増減率 |
旅客収入 | 130億円 | 84億円 | +54.6% |
利用率 | 54.6% | 44.1% | +10.5pt |
引き続き国際線は4月中旬から全路線で運休している状態ですが、7月には関空~女満別線を開設するなど、積極策を取っている状態。
ただ旅客数は90.2%と伸びているけれど、売上で見ると54.6%しか伸びていないのを見ると、単価が大きく下がっている状態とも言えそう。
まぁ、価格面を強調して需要を喚起している状態とも言えますが。
利用率としては、50%台にようやく乗せて来ていますが、夏の最繁忙期でこの数値と言うのを、どう捉えるか…と言う話にはなりそう。
光はうっすらと見えて来たと言えば良いのか?
まぁ、ANAの通期での赤字と言うのは、想像できた話なので、驚きはないかな…と言うのが正直なところ。
1,000億の赤字となれば、確かに大きな金額ではありますが、売り上げ規模からすれば、充分に挽回が可能な水準と言えるのでは?とも。
要するにキャッシュがあれば、維持できると言う状態にまで戻って来た…と言う感じでしょうか。
去年の今頃は、先行きすら全く見えない状態でしたからね。
第3のブランドの展開も控えていますが、その頃にどう反転攻勢を描けるのか。
そう言う感じになるのかな…とも。
ただ…
そのためには今後、感染拡大がぶり返さないコトが大事にはなりますけれどね。
さすがにそれはANAではどうしようもできない話ですが…
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