『旅のオチが見つからないおひとりさまのズタボロ世界一周!』

『旅のオチが見つからないおひとりさまのズタボロ世界一周!』

著:低橋
刊:KADOKAWA(MF comic essay)

オチ、しかないやん。

世界一周モノのコミックエッセイで、twitterなどで人気のある著者の初めての単行本。

『旅のオチが見つからないおひとりさまのズタボロ世界一周』。

最初に書いておきます。
タイトル、偽りアリです。

旅のオチが見つからない?

いや、オチだらけです。

寧ろ、オチしかないぐらい。

クスッと笑えるモノ、じんわりと後から来るモノ、声を出して笑っちゃうようなモノ。

それがギュッと詰まっているんだけれども、1人旅に何度か出たコトがある人ならば、何となく頷いてしまう話ばかり。

でも、その場にいる本人は、全然、笑えないし、面白くもなくて、時間が過ぎてようやく笑える話。

一人旅って、別に楽しいだけじゃない。

最近、SNSなども盛んになり、どうも“一人旅は楽しすぎて、ハッピー”みたいな感じの流れがある様に思う。

確かに旅は楽しい。

異なる文化・考え方・人。
勝手に向こうから面白いコト・楽しいコトがやって来る。

そうしたコトに出会えるのは、旅の醍醐味。

でも、年がら年中、楽しいコトばかりじゃない。
いや、寧ろ、期間が長くなればなるほど、面倒に思うコトもある。

だけど…

楽しい。

どこかそんな形の旅の作品。

コミックエッセイ・マンガ形式の作品だと、そう言う作風の人も少ない気がするけれど、本書では、それがちらちらと出てくる。

仕事を止めて旅に出るコト。

世間的には、ドロップアウトなのだろうし、“住所不定無職”になる訳だけれども、それに対して、漠然とした不安は、ずっと募るのだけれども、やっぱり旅は止められない。

そんな思いが、最後に収められた『砂漠の星空』の1編に詰まっていて、“そうなんだよねぇ…”なんて。

もっとページ数が欲しかった…

難点と言えば、“世界一周”の旅の様子が収められているのだけれども、ページ数が、圧倒的に足りないと言うコトでしょうか。

東南アジアに関しては、ほとんどはしょられている状態だし、中国に関しては、ほぼスルーと言うページ配分。

元々の価格が製本版で1,200円と安価に抑えられているので、もうちょっと高くてもいいので、ページ数を増やしても良かったのでは?とは。欲を言えば、前後編でも良かった様に思う(ただページ数的には、200ページ弱と、別に少ない訳でもないんだけれど)。

南米のチャリダー話で1章になっているのですが、そもそものページ配分がおかしいのかな?みたいにも思う(だけれども、きっとこのチャリダー話だけで1冊出来るぐらいのエピソードではありますが)。

まぁ、著者的に初めての本と言うコトで、出版元的に冒険出来ないと言うコトなのかも知れないけれど。

恐らく、もっとボリュームがあっても、それだけの話の引き出しはありそうなだけに、もう少しページ数があっても…と。

それだけあっと言う間に読めると言うのは、読みやすいマンガならではですし、著者の力量なのだと思うけれども。

 

でも、久しぶりに当たりな1冊。

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