エクアドル、抗争激化!ところで海外安全情報って、どう言う基準なの?

対立続くエクアドル

2019年10月3日に30日間の非常事態宣言が出されたエクアドル(元々の期限は60日間)。

10月8日には夜間外出禁止令が出されましたが、未だに政府と国民の対立が続き、寧ろ、悪化している様な状況が続いている。

発端は、政府が、国際通貨基金(IMF)から42億ドル(約4,500億円)の財政支援を受ける為に、条件となっていた燃料補助金を廃止したと言うコト。

ガソリン料金などは120%の値上げを余儀なくされ(ガソリンは1ガロン当たり1.85ドル→2.30ドルに値上がり)、デモ・道路封鎖が起きた。

レニン・モレノ大統領は、デモを主導している先住民族連盟(CONAIE)との対話を求めたが、CONAIE側は、大統領が求めている対話は信用出来ないと主張し、補助金廃止の特別法を政府側が撤廃するまでは交渉に応じないとデモを続行し、そこに、CONAIEだけでなく、タクシーや運送業者の組合が加わり、さらにそこに学生運動なども加わり、デモが大規模化。

大統領側も辞任や補助金廃止の撤回は断固として否定しており、7日には暫定的に政府機能をキトから南部のグアヤキルへと移転すると、8日にはキトの国会議事堂にデモ隊が侵入する事態になり、これまでに5人が死亡し、2,000人以上が負傷、逮捕者は全土で延べ700人を超えると言う異常事態に陥っている(対話自体は、12日になってCONAIEが受け入れるコトを表明しているが、)。

この補助金制度自体、近年に出来た制度ではなく、40年間に続いて脈々と行われていたと言うシロモノ。

2017年には430億ドル(5兆700億円)にまで負債が広がっているのにも関わらず、米ドルを採用しているが故に、通貨の切り下げも出来ないエクアドル。

結局の所、補助金は廃止するしか術がない様な気はしなくもないけれど、やっぱりそれはエクアドルに住んでいない人が思う感覚なんだろうな。
現地に住んでいる人からすれば、40年間も続いて来たモノは、最早、既得権益みたいな話だし、増税に近い感覚に陥るのは、無理もないだろうし。

海外安全情報は、レベル1のままだけれど…

因みに、現在の外務省の「海外安全情報」は、スポット情報に留まっていて、“十分注意してください”と言う最低ランクのレベル1。

キトの記述を見てみると、こんな感じ。

エクアドルにおける犯罪の大半(全半罪数の半数以上)は首都であるキト市と最大都市であるグアヤキル市で発生しています。近年は銃の使用が多くなるとともに、凶悪化の傾向にあり、これらの被害は日本人を含む外国人にも及んでいます。…(中略)…主要幹線道路は、政治情勢によってデモを行う先住民組織等により封鎖されることがありますので、現地の道路事情等の情報収集に努めてください。また、デモが暴徒化し警察部隊と衝突することもあるため、デモ実施情報を把握した場合やデモの現場に遭遇した場合は近づかず、速やかにその場を離れてください。

だそうです(『エクアドルの危険情報』(2019/10/14有効))。

元々、エクアドル自体、そこまで犯罪がナイと言う街ではナイ。

特にスリだとか強盗だとかは有り得る話で、パネシージョの丘とかは、今も昔も、危険度が高かったりします(南米の丘って、大体、アウトな場所ばかりだけれど)。

でも、映像を見る限りの話だけれども、既にレベル1と言う様な、そんな悠長な情勢でもない様に思うのは、気のせいなのだろうか(どうでも良いけれど、未だに騎馬隊がいるんですね、エクアドルには)。

デモ活動鎮圧の為に、大統領側は各地に軍を派兵している状態で、首都キトでも戦車が出動している姿が、映像からも確認出来る状態。

メインは催涙弾の類なのだろうが、一部では実弾が使われたと言うコトが既に明らかになっているレベルなのだが。

それなのに、未だにスポット情報扱いで、安全情報はレベル1のまま。
個人的な感覚では、レベル1の状態じゃないと思うのだけれど…

恒久的にデモが続く訳じゃないからなのかも知れないけれど、それでも既に今回の騒動が始まってから10日間は過ぎ去っている訳で、つい“やっぱりアテに出来ないなぁ”なんて思ってしまうけれど。

この安全情報って、一体、どう言う基準で設定されているんだろう…とすら、つい思ってしまう自分がいたりします。

まぁ、同じくデモ活動が行われ、長期化している香港も、危険度のレベルと言う意味では、レベル1のままなんですけれどもね(それでも香港の場合は、レベル1に引き上げられたと言う形ではありますが)。

それでも現時点で、日本語で入手出来る全ての世界を網羅している様な情報源は、これぐらいしかない訳で、参考にはするんだけれども(英語ならばもっとある訳だけれども)。



それにしても…

どう言う形で決着が付くのだろう。
さすがにこれ以上の混乱は、政府と国民との間での亀裂しか生まない様にも思う。
だからと言って、補助金をこれ以上ばら撒く訳にも行かないのは、事実だろう。

急速に改革を進めようとしすぎたと言えば、そう言う話なのだろうけれど。

個人的に、キトって、南米の旧市街の中では一番、お気に入りなので、その街が揺れているコトに衝撃でしかないのですが…

[追記]補助金撤廃を断念!

レニン・モレノ大統領と、CONAIEのバルガス会長との間を国連とカトリック教会が仲介して、国営テレビの生中継を入れた会談が行われ、デモの終結で合意しました。

合意では、IMFから財政支援を受ける為の緊縮政策の一環として条件にされていた燃料補助金について、廃止命令を撤回するコトが明らかになり、デモ隊の要望が通った形での決着になりました。

…となると、IMFからの支援はどうなるのだろう。
緊縮政策は、補助金以外の政策もあり、公務員改革などもあった訳ですが、それだけで支援が受けられるのかどうかは、現時点では判断が付きませんし、痛みを伴った改革と言うのが、全て悪いとも言い切れないので、これがどう言う形でエクアドルの将来に影を落とすのかも分からない所ですが、ひとまずこれからは治安維持に全力が尽くされるコトにはなるかと。

そして、大統領陣営が死に体にならないコトは願いたいモノ。

今までのエクアドルの政府では、手を付けてこなかった聖域に切り込もうとしたコトは、やっぱり特筆に値するとは思うので。
逆に、それだけ経済と財政が悪化しているとも言えるのでしょうが。

Sponsored Link



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください