キャセイ、CEOが辞任へ!
2ヶ月に渡って反政府のデモ活動が広がっている香港。
先日は、空港でデモ活動が行われ、香港国際空港を発着する全ての航空便の運航が停止すると言う事態も起きたほか、現在も、空港のターミナルビルに入るのは、出発便利用者に限定され、入館時にチェックが行われる様になるに至っているなど、混乱の余波が続いている現状。
香港国際空港、ターミナル立ち入りは利用者限定に!危険情報も発出!
空港内でデモ活動が繰り広げられ、全ての運航便が欠航になるなど、混乱が起きた香港国際空港。 現状は、ようやく欠航や遅れがなくなり、通常通りのオペレーションに戻っている様です。 個人的に夏に入ると出張が多くなるのですが、今年は8月に入ってから怒涛の様に自宅にいない状態が続いていたりします。 …
そうした中で、香港をベースにしているキャセイパシフィック航空は、2019年8月16日付で、Rupert Hogg(ルパート・ホッグ)最高経営責任者(CEO)が辞任したコトを発表しました。
ここ数日のキャセイは、香港で発生している香港政府に対するデモを27,000人いる従業員のうちの一部が支持・参加をしたと言うコトで、中国政府から厳しい批判を受けていた矢先のコトです。
デモに参加した従業員がいたコトで、中国民用航空局(CAAC)は、キャセイに対して、当該の従業員らが中国本土行きの便や、中国の領空を通過する便に乗務するコトを禁じるように求めていた他、国営企業に対してキャセイのフライトを利用しない様にアナウンスを出していた。
そうしたCAACに対応して、中国華融国債や、中国華潤、中信銀行国際と言った国有企業が、キャセイグループの運航便の利用を禁止するメッセージを、従業員に送っていた。
これを受けて、キャセイは直ちにデモに関わった操縦士2人を含む従業員4人を解雇。
新規制に従うコトを明らかにし、香港政府への支持を強調していた訳だが、株価は年初来最安値を更新するどころか、10年ぶりの安値と言う水準にまで売られ、不透明感の残る状態になっていた。
黒字転換を果たしたばかりなのに…
今回のCEO辞任に対し、ホッグ氏が
「現況に鑑み、弊社代表として責任を取る為、辞任をした」
とキャセイ側は声明を出していますが、最高顧客・商務責任者であるPaul Loo(ポール・ルー)氏も同じ理由を挙げて辞任を表明。
ホッグ氏の後任は、キャセイの親会社に当たるスワイヤーグループのオーガスタス・タン氏が務めるコトが発表されました。
この2年間、赤字が続いていたキャセイ。
ようやく黒字に転換し、さらにLCCの香港エクスプレスを傘下に収めるコトに成功し、フルサービス型キャリアとLCCのハイブリット経営で反転攻勢に出ようとしていたタイミングだけに、キャセイとしては痛い形ですが、これでキャセイの政治的なスタンスは、より一層はっきりすると言うコトにもなります(黒字転換の決算については、また別の記事で紹介しますね…)。
まぁ、そもそも中国国際航空と戦略的資本提携を行っているキャセイ。
株式的に見ても、中国本土の影響は小さくはない訳ですが、許認可権を持っている政府と、一企業が喧嘩出来るハズもナイのですけれどもね。
ただあまりにも露骨に政府側の企業と言う印象を植え付けてしまうのも、得策なんだろうか…と、ちょっと思ったりします。
そして何よりも、一企業に対して露骨な介入なのでは…と。
中国の対応は、間違っているのか?
今回の中国側の対応は、決して間違っていないとは思う。
反政府的な思想を持っている操縦士が領空を飛行するのを禁止すると言うのは、テロ活動などを考えると、そこまで過敏な対応だとも言えないと思う。
だけれども…である。
それに対して、CEOまでもが辞任する話なんだろうか…と。
少なくともデモ活動への参加は、企業側の話ではなく、あくまでも個人の話。
そう言い切れなかったのだろうか。
いや、そう言い切れないのが、中国なのだろう。
そもそも我々とは社会の体制が異なる国なのが、中国。
日本人の常識で考えたり、批判をすると言うのも、ちょっと筋が違うのかも知れない。
でも、折角、経営が好転していた矢先なだけに、企業側の損失は計り知れない感じがしますね、今回の辞任劇は。
それにしても…
どんどん泥沼化して行く様な気がしてしまうのですが…
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