ハイパーインフレを経験した国・ジンバブエ
かつて旅をしたジンバブエ。
“ハイパー”を越える程のインフレを起こした「ジンバブエドル」を通貨に持っていた国である。
どれぐらいのハイパーインフレかと言えば、何と言っても世界最高数字紙幣と言えるであろう「One Hundred Trillion」ドル紙幣と言うモノすら刷られていたぐらい。
100万がOne Million。
10億がOne Billion。
1兆がOne Trillion。
100万以上の英語での単位を学んだのは、その時でした。
だってボクにはご縁がなく、多分、これからもご縁がナイ単位ですから。
もうゼロが幾つあるのあるのかすら分からんぜよ。
ギャグを通り越して、最早、失笑レベル。
この100兆ドル。
2009年の1月に発行され始めたのですが、2009年の6月末ぐらいには通用が廃止になるぐらいに、インフレが爆裂していたと言うお国。
だって、24.7時間後には物価が2倍になっていたと言うぐらいの悪夢の様なインフレですから、ジンバブエドルなんてモノを手にしたら、スグに使うか、スグに米ドルか南アランドに交換しておかなければ、1日後には価値が半減しているんだから、凄まじい訳です(でもお陰でパスポートの更新や増補などは1円程度で出来る状態だったり…)。
長年に渡り、政権中枢にいるロバート・ムガベ氏
そんなジンバブエ。
そのハイパーインフレ当時も、ボクがその後に旅をした時も、大統領は、ロバート・ムガベ氏。
首相就任が1980年。
大統領への就任が1987年。
長きに渡ってジンバブエを率いているボスです。
ってか、今の旅人の多くは、ムガベ氏が大統領に就任した後に生まれたぐらいでしょうね。
残念ながら、ボクは…
生まれてます(笑)。
反植民地闘争の最中には10年間、獄中生活を送ったコトもある訳ですが、首相就任後は、白人社会との融和政策を打ち出し、教育や医療にも資金をつぎ込み、乳児での死亡率は下がり、アフリカでも最高の識字率を誇る政治を行っていた訳ですが、白人に対して不寛容な政策に転じてからは、安定していた経済が崩壊。
ハイパーインフレと80%にも上る失業率と言う国に。
ボクが行った時も、
「日没後は、この通りから北と、この通りから南には行かない」
「日没後は、1ブロック先のスーパーに行くのにもタクシーを使う」
などが旅行者以外でも、徹底されていたぐらい。
それでも、ムガベ氏は大統領職に留まっており、「100歳まで大統領職に留まる」コトに意欲を示していたぐらいだとか。
そのムガベ氏が失脚しそうだ。
[amazonjs asin=”4409530496″ locale=”JP” title=”ハイパー・インフレの人類学: ジンバブエ「危機」下の多元的貨幣経済”]後継レースがその背景なのか!?
軍部が国営放送局を占拠し、ムガベ氏とその家族の身柄も確保している模様で、与党のジンバブエ・アフリカ民族同盟愛国戦線(ZANU-PF)も
Zimbabwe has not had a coup. There has been a decision to intervene because our constitution had been undermined, in the interim Comrade E Mnagngawa will be president of ZANU PF as per the constitution of our revolutionary organisation.
— ZANU PF (@zanu_pf) 2017年11月15日
「エマンソン・ムナンガグワ前副大統領が暫定党首となる」
と発表。更にその上で、
Last night the first family was detained and are safe, both for the constitution and the sanity of the nation this was necessary. Neither Zimbabwe nor ZANU are owned by Mugabe and his wife. Today begins a fresh new era and comrade Mnangagwa will help us achieve a better Zimbabwe.
— ZANU PF (@zanu_pf) 2017年11月15日
「ムガベ大統領一家が拘束されたが、安全は保障された。ジンバブエもZANU-PFも、ムガベ大統領とその家族によって所有されるものではない。」
とTwitterで明らかに(但し、何処まで公式の声明なのかは不明だが、一応、それに対してのコメントもTweetされています)。
ムナンガグワ前副大統領は、11月初めにムガベ大統領によって罷免されていたが、それもムガベ氏の妻であるグレース氏を大統領に据える為のモノであったとされ、その後継者レースが今回の背景にあったとも。
ハイパーインフレの経済危機も、その後の一向に立ち直らない経済の低迷も、やり過ごして来たムガベ氏。
ってか、どうしてハイパーインフレ後にこうした動きにならなかったのやら(もちろん、軍部を含めて腐敗の恩恵に預かっていたのだろう)。
変わって安定するのか、ジンバブエ!?
これでジンバブエも一気に変わるのかどうか。
少なくとも、昨今、独裁者がいなくなると途端に治安が悪くなる国が多い中、今後の治安状況を含めて注視しておきたい所です(因みに、ボクが行った時も昼間であれば、全然、問題なく1人で出歩けるぐらいに治安は良かった)。
南部アフリカでは珍しく、“グレートジンバブエ”と言う遺跡もあるのに、観光客は皆無(2泊も遺跡の中で泊まったのに誰にも会いませんでした)。
ビクトリアフォールズも安宿にはほとんど客がいないと言う有り様でしたが(ツアーで訪れる様な宿はそこそこ儲かっていそうでしたが)、観光資源はある国なんで、旅しやすくなると良いのですが。
ってか…
オレ、若っ↓。
余談ですが、ムガベ氏の妻であり、大統領後継レースに立っていたとされるグレース氏。
ムガベ氏の最初の妻は死別しているのですが、再婚になったこの結婚の歳の差は、なんと41歳差!!
どんだけ~っ!!!!
そして、アマゾンで100兆ジンバブエドルが出品されていましたが、どんだけ値が付いてんだよ(もちろん、ボクも持ってますが、つい売りたくなるレベルやんけっ)。記事執筆時点で7,800円だなんてっ!!
[amazonjs asin=”B00JL43774″ locale=”JP” title=”100兆ジンバブエドル 100000000000000ドル ハイパーインフレ ジンバブエドル 紙幣”]追記:2017/11/22
ムガベ氏は国軍によって自宅軟禁下に置かれてから1週間が過ぎた2017年11月21日未明、大統領職の辞任を議会に提出した書簡で表明しました。
ムガベ氏は後継者を指名するコトなく辞任を表明しましたが、ムナンガグワ前第1副大統領を中心とした暫定政権になる模様。
まぁ、このムナンガグワ氏も、決して、クリーンなイメージではないハズなんですが…ね。
ひとまずこれ以上の治安悪化だけは避けて貰いたいモノ。
そして、願わくば、経済の再生に取り組んで欲しい所です。
コメントを残す