中間審査で欧州では、異議!
韓国の航空業界最大手の「大韓航空」が進めている業界2位の「アシアナ航空」の買収。
EU(欧州連合)のぎょうせいしっこうきかんであるEC(欧州委員会)が、2023年5月17日、買収に当たっての中間審査結果を公開しました。
それによると、
大韓航空によるアシアナ航空買収によって、EEA(欧州経済領域)と韓国を結ぶ旅客・貨物航空運送サービス市場における競争が制限されうる
とのコト。
この中間審査結果に基づいて、大韓航空に対して、意義告知書を送付したとも発表。
「EEA~韓国間の旅客・貨物の輸送で真っ向から競争している。合併により圧倒的に大きな航空会社となる」として、合併によって利用者に対して、価格上昇や質の低下に繋がる可能性があると指摘。
旅客輸送では、仁川~フランクフルト・パリ・バルセロナ・ローマの4路線で競争が制限されるコトが懸念されるとし、貨物輸送では、韓国~欧州全域が同様に競争が制限される可能性があるとしています。
あくまでも今回の発表は、中間発表に過ぎず、今後、大韓航空による意義告知書への回答・口頭審査が行われた後、8月3日までには最終決定を下すとしています。
大韓航空、経営再建迷走中のアシアナ航空を買収へ!
大韓航空によるアシアナ航空の買収に当たっては、14の当局へと申請が行われており、順調に各国での承認が終わっていました。
英国当局は、条件付きでの承認となり、スカイチーム入りしたヴァージン・アトランティック航空による仁川線の開設が見込まれますが、これは同じスカイチームメンバーの大韓航空としては、そこまで痛くはない話でした。
そして残るは、EU・米国・日本の3つの当局による承認手続き待ちと言う段階でしたが、まずEUによる中間報告がなされ、異議が提示されたと言う話で、今後、大韓航空がどういう形で出て来るのかが待たれるところ。
アメリカ・日本の当局は、どう出る?
まずEUでの中間報告。
ただそれ以上に米国での審査は厳しそう。
同じスカイチームメンバーのデルタ航空は歓迎なのでしょうが、韓国からスタアラメンバーがなくなるので、提携相手がいなくなるユナイテッド航空としては承認しがたい事案でしょうし。
で、日本。
こちらも米国と同じ状況。
いや、米国よりも悪い状況になる。
現状、日本にはスカイチーム加盟航空会社はゼロ。
大韓航空とJALは個別で提携関係にありますが、スターアライアンス加盟航空会社であるアシアナ航空が買収されると、ANAの提携先がなくなる状況。
さらに傘下のLCC。
日韓路線に限定するとチェジュ航空がシェア1位だが、大韓航空傘下のジンエアーと、アシアナ航空傘下のエアプサン・エアソウルとを合わせると、かなりのシェアになってしまう。
これを日本当局が認めるかどうか。
どうなんでしょう。
あり得そうなのは、羽田~金浦間の発着枠を、JAL/ANAに一部、移すぐらいなコトはあり得そうですけれどもね(逆に、それぐらいはしないと…と言う感じもする)。
韓国国内からの反対はないのか?
それにしても…
買収が発表になったのが、2020年11月。
時間が掛かっている感じがしなくもないですね。
どこか1ヶ所でも当局が却下した場合、買収も破談になる訳で、どうなるコトやら…と。
ただ1つの航空会社になった場合、やはり競争原理が働かなくなるとは思うのですが、LCCの航空会社数も多いですし、長距離路線へも進出してきているので、韓国としては反対意見はないのかな?と。
それよりも財閥解体したアシアナ航空の救済の方が、強い意向なのだろうか…
仮に日本でJALとANAが一緒になると、もう独占になっちゃう訳ですから、強い航空会社が出て来るのは嬉しい話だけれど、競争原理がない業態と言うのは、魅力もないかなぁ…と。
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