7月15日、7年ぶりの全線運転再開!
熊本県を走る第3セクターの「南阿蘇鉄道」が、2023年7月15日から立野~中松間の運転を再開し、全線で復旧を果たすと同時に、JR九州の豊肥本線立野~肥後大津間への乗り入れを開始するコトも発表しました。
「南阿蘇鉄道」は、立野~高森間の高森線17.7kmを運営している第3セクター。
2016年4月に発生した熊本地震の影響で、立野~長陽間の2つのトンネル内壁にひび割れや崩落が見つかったほか、鉄橋の橋げたも損傷。
線路が250mに渡って流出するなどの大きな被害が出ていました。
同年7月31日からは比較的被害が浅かった中松~高森間で運転が再開され、2018年から復旧工事が開始されましたが、被害があった犀角山トンネルをなくすなどの大きな工事となり、現在まで中松~高森間での部分運転に留まっており、これで7年ぶりの全線復旧と言うコトに。
7月15日ダイヤ改正(全線運転再開)について
2023年4月からは上下分離方式に経営も移行。
さらには新車両のMT4000形も導入されるなど、着々と、全線再開に向けた動きがありましたが、今回、発表された新ダイヤでは、豊肥本線の肥後大津まで、朝時間帯に1日2往復、直通運転が行われるコトになり、より利便性を確保した上での全線運転再開と言うコトになりそうです。
東京・大阪からも1回乗り換えで高森まで!
具体的に豊肥本線の肥後大津までの乗り入れ列車のダイヤを見てみると、こんな感じ。
- 高森 06:29→立野 06:57/06:59→肥後大津 07:12
高森 08:26→立野 08:54/08:56→肥後大津 09:09 - 肥後大津 07:28→立野 07:45/07:47→高森 08:17
肥後大津 09:26→立野 09:42/09:44→高森 10:14
まだJR側のダイヤが分かりませんが(そもそもこれに合わせてダイヤ改正があるのかも不明ですが)、現行通りとするならば、肥後大津→熊本行き07:15発(熊本着07:57)・09:27発(熊本着10:06)に接続する形。
一便に乗れば、熊本発08:19のみずほ602号新大阪行(08:51博多・11:21新大阪着)に接続できるので、博多までもかなり便利になる列車と言えそう。
逆の熊本発で見てみると、熊本発06:39(玉名始発)と08:48の列車に接続する形になりそうですね。
08:48なら広島発06:43のさくら401号からの接続が可能だったりしますが、さすがに新大阪発だと06:00のみずほ601号でも熊本着が09:03なので、ちょっと間に合わないですね。
肥後大津からは熊本空港までのバスも出ているので、高森06:29発に乗れば、肥後大津07:30発のバスに乗れるので、08:45発のJAL624便(羽田行)や09:00発のANA524便(伊丹行)以降の搭乗が可能だったりします。
さすがに肥後大津発07:28の高森行きに間に合う航空便はないですが、09:26発に乗るとすれば、羽田発のJAL623便と伊丹発のANA521便から接続が可能なので、東京・大阪から1回乗り換えで高森まで行けると言うコトに(しかも、この空港からのバスは運賃無料!)。
何気に一気に東京や大阪からも近さを感じるようになりますね(どこまで需要があるかどうかは別にして)。
地方ローカル線維持のモデルになるか?
正直、個人的には、「南阿蘇鉄道」の復旧は無理だと思っていました。
被害が大きいと言うのもありますが、そもそも経営規模が小さすぎると言うのもあるし、沿線人口だって、そこまで多くはないですからね。
高森線が繋がる予定だった宮崎側の高千穂鉄道も自然災害による被害で、運休→全線廃止になっていますし、同じ道を辿るかな?と。
それが全線での復旧。
全国各地からの応援・募金などもありますが、やはり大きいのは第一に、地元の人が「南阿蘇鉄道」を、必要としていると言うコト。
上下分離を行なってでも、必要としていると言うコト。
それに尽きますね。
全国各地で不採算路線の問題が出ています。
特に経営が厳しいJR北海道では、廃線が控えている路線もある。
JR北海道、根室線富良野~新得間、バス転換に向けて動き出す
JR西日本管内でも、一部区間の芸備線・福塩線などが特に厳しいとされていますが、こうした地元の熱意がどれだけあるのか…と言うのも、それぞれの地域で問われるところなのかな…と。
“あるに越したコトはナイ”程度の話ではなく、残すのであれば、しっかりとお金を費やしてでも残すと言う熱意と覚悟。
それがどれだけあるのか…と言う話。
もちろん、「阿蘇」と言う観光地を持つ場所と比べるのは、正しくはないのかも知れないけれど、地方ローカル線の存続に一石を投じる全線復旧だとは思うかな。
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