観光関連予算の2023年度が決定!
政府が、2023年度の観光庁関連予算案を決定しました。
これによると、総額で314億7,200万円。
前年度から比べると、約4割増と言う形になっています。
インバウンドの増加を見越して、国際観光旅客税(いわゆる出国税)からの財源として197億3,100万円を充当。
2022年度第2次補正予算の1,500億2,000万円を合わせると、予算総額としては、1,814億9,200万円。
予算の柱は、2つ。
- 観光立国復活に向けた基盤の強化
- インバウンド回復に向けた戦略的取り組み
この内、基盤の強化としては、
- 文化資源を活用したインバウンドのための環境整備
- 国立公園のインバウンドに向けた環境整備
- ポストコロナを見据えた受入環境整備促進
この辺りが予算規模としては大きい。
2025年に大阪で開催される大阪・関西万博に向けて、文化資源を活用したコンテンツの磨き上げと言うのが、主眼で、具体的には、伝統的な家屋の宿泊施設転用・体験プログラムの開発などが挙げられている形。
インバウンド回復に向けては、
- 訪日プロモーションの実施
- 円滑な出入国の環境整備
に多くの予算が割かれている形で、特に前者は前年度比1.9倍で計上。
インバウンド回復に向けた広告展開・デジタルマーケティング・地方誘客促進などのプロモーションが行われる見込み。
この他で特徴的な部分としては、「第2のふるさとづくり」の普及ならびに定着、ワーケーション促進なんかも挙げられていて、それぞれで予算が計上されていたりします。
インバウンドのターゲットは、どこ?
コロナによって大きく減ったインバウンド。
それを取り戻す動き。
そしてまだまだ感染は続いているので、コロナ禍ならではの動き。
その辺りがまだ混在しているけれども、予算としては、確実にポストコロナに向けて動き出した形の内容になっていますね。
ちょっと気になったのは、どのエリアに焦点を当てるつもりなのかな?と言う部分。
コロナ禍以前は、空前のインバウンド需要が生まれていた日本でしたが、それでもやっぱり韓国・中国(香港)・台湾が圧倒的な人数。
東南アジアもかなり増えてはいたけれども、欧米となるとやっぱりまだまだ…と言う感じ。
もちろん、人数としては、距離を考えるとそうなるのは致し方ない。
ただ地勢リスクなどを考えると、ある程度、エリアが偏らない方が、無難なのは間違いない。
今回の予算配分を見ると、当面、どのエリアに焦点を当てるつもりなのかな?と言うのが、今ひとつ、分からない感じ。
東アジア圏からのインバウンドに対しては、やはり2回目・3回目の来日に向けた活動になるでしょうから、やはり地方圏をどう盛り上げていくのか…と言うコトになる。
東南アジア圏からのインバウンドに対しては、まだまだ絶対的に初来日を促す層の方が多いと思う。
で、欧米となると、どちらかと言うと、文化的な資源をもっとブラッシュアップするべきになると思うのだけれど。
日韓関係は、政治的にあまり良くない状況が続いている。
中国は、ようやくゼロコロナから動こうと言う動きが見え始めたレベルで、まだまだ予断を許さない。
そうなるとやはり東アジアが焦点となるエリアじゃない。
ヨーロッパからはロシア情勢が絡んでくるし、空前のサーチャージ高を考えると、なかなか訪日がうまくいくとも思えない。
なら東南アジアか北米・オセアニアになるのだと思うが、そうしたエリアに焦点を絞った内容になっているのか?と言われると、どうなのだろう…と、つい思ってしまうのだけれど。
観光立国と言う考え自体は、大した資源を持たない日本にとって、必要なコト。
だけれども、今までのように千客万来スタイルで行くと、デメリットも大きくなるのは事実。
観光で稼ぎながら、デメリットをなるべく出さないようにするには、やっぱり単価を上げる・高付加価値を付けると言うのが、一番のようには思うけれど、今の日本にそれができるのかどうか。
個人的には、“おもてなし〜”とか言っている次元ではダメなんじゃないかなぁ…と言うのが、正直なところだけれど、どうなんでしょうね。
別に“おもてなし”が悪いと言う訳じゃない。
あった方が良いに決まっているけれども、“おもてなし”は別に金を生む訳じゃないし、決め手になる訳でもないと思う。
そしてコロナ禍で観光産業から人が離れてしまった部分もあるので、“おもてなし”ができる人も少なくなっていますしね。
客単価を上げて行くと共に、観光産業に従事する人の賃金・労働環境を変えていくと言うのも急務だと思うのだけれど、一応、そうした関係の予算も上げられてはいるけれど、果たしてどこまで本腰を入れるのやら…とも。
ポストコロナに向けた初動として、どうよ?
観光産業。
裾野の広い産業だからこそ、これからの日本の活力になる産業の1つ。
それは今でもそう思っている。
せっかく、“観光庁”が発足したけれども、トータルの視野がなかなか伝わってこない感じ。
その辺りは、独自財源の乏しさもあって、元から言われていたコトの1つなのだろうけれど、コロナ禍で特にそれが顕著になった気がする。
ポストコロナに向けて、水際対策を緩和して、恐らく、インバウンドは何もしなくても増えていくだろうし、元の水準にまで近付いていくとは思う。
だけれども、コロナ禍以前の状態からデメリットを取り除いて、次のステージに…となると、やはりこの2・3年の動きは肝要になってくると思う。
どう言った形で日本を見せていくのか。
どう言ったスタイルを日本の観光産業は求めていくのか。
そう言う点では、あまり斬新さはなく、新しい基軸を打ち出してきたとは思えない予算案のように思えるけれどなぁ…
いや、別に足りない部分はないんだろうけれど、ポストコロナに向けた…と言う点で。
コメントを残す