九州新幹線西九州ルート、2023年度中着工が困難な情勢に!

佐賀にメリットが薄いのは、分かる

着工までの手続きが難航している九州新幹線西九州ルート。

佐賀県が改めて7月末に、環境アセスの手続き入りを拒否していたコトが、赤羽国土交通大臣の会見で明らかに。

国交省としては、佐賀県が協議入りを了解したコトを受けて、6月16日に環境アセスの手続き入りを提案。
この際の提案は、佐賀県が求めている「フル規格」ありきではない幅広い協議に基づいたモノ。

ただ佐賀県は、即日で拒否。
7月15日にも再度、回答を求めたが、拒否。
期限を7月末までに延長して、再考を求めていたが、3回連続での拒否。

これによって、新鳥栖~武雄温泉間の2023年度内の着工が厳しい情勢になった。

調整が難航を極めている訳だけれども、ここまで佐賀県の立場からすれば、現状でも福岡へ行くとしても新幹線ができても大した時間の短縮にはならない。

そればかりか、フル規格の新幹線ともなれば、特急料金が値上がりするだけ。

さらに現状よりも運転本数が減る可能性もある。

そして、並行する在来線の経営問題も生じる訳で、メリットがほぼナイに等しいのに、負担だけが課せられると言う話になる。

さらに言ってしまえば、元々の話では、新鳥栖~武雄温泉間はフル規格ではなく、在来線に乗り入れる想定で建設を始めたのに、フル規格に変更になったと言うこれまでの経緯もある。

おいそれと認める訳にはいかないと言うのは、良く分かるし、税金の使い方として、疑義を唱えるのは、間違いじゃないと思う。

フル規格以外でも、一長一短

解決方法としては、そもそもフル規格ありきではなく、どう言った規格で建設するかと言う幅広い議論と言うコトになる。

・対面乗換(武雄温泉以西のみフル規格)
・スーパー特急方式
・フリーゲージトレイン
・ミニ新幹線
・全線フル規格

具体的な規格としては、このぐらいが方法になるのかとは思う。

この内、最も有望だったフリーゲージトレインは(軌間が変えられる車両)、車重が重く整備にコストが掛かるのに加え、速度が遅くなるコトもあり、大阪までの乗り入れの見通しが立たない状況だったが、それに加え、製造コストも跳ね上がり、損益に乗ってこないと言うコトで、開発が断念。

これが何よりも痛い気がするけれども。

他のプランを見てみると、整備新幹線の規格で建設して狭軌(新幹線は広軌)の車両を走らせるスーパー特急方式は、在来線との直通が可能で、現状の施設を活かせるし、並行在来線の存廃も発生しないが、費用の割に時間短縮の効果が薄く、山形・秋田新幹線と同様のミニ新幹線方式であるならば、武雄温泉以西も同様の方式であるべきだったし、その場合、長崎本線の容量不足などの兼ね合いもある。

対面乗換方式だと、現状でも博多~長崎間の特急は直通運転なのに対して、乗り換えの不便さは付きまとう訳だし、フル規格の場合は、前述の通り、佐賀県はさほど受益がない。

どの案も一長一短だったりする。

これ以上、新幹線は必要なの?

そして何より、そもそも「九州新幹線西九州ルート」が必要かと言う話にはなって来るように思う。

はっきり言ってしまえば、これから地方はどんどん人口が減少する時代でもある訳だし、いくら現状、高頻度で特急が走っている博多~長崎間ではあるが、新幹線が必要になるほどの経済・人口基盤が長崎にあるかと言われると、疑問符でしかない。

そして新幹線ができれば町が発展すると言う考えは、半分は正しく、半分は間違っているとも思う。

特に長崎の場合、時短効果で福岡に経済活動が吸い取られる分が大きく、県外からの流入より経済活動の流出の方が、もしかしたら大きいのでは?と思いたくなるぐらい。

確かにフル規格で建設するコトで、関西圏と繋がると言うのは大きい様に思うけれど、それでも3時間の壁は破れない(約3時間15分を想定)訳で、どこまで利用が広がるのだろう…と言う感じもする。

 

ひとまず、この件で分かるのは、今の国交省に調整能力はナイと言うコト。

ってか、既に武雄温泉~長崎間は着工している訳で、どうして未だに揉めているんだろう…レベル。

中央からすれば、どうにでもなると思っていたのだろうが、個人的には、地方自治体の税金の使い道として、受益が薄いのであれば、当然、支出すべきではないと思うので、佐賀県の言い分を応援したい感じもある。

そして、それがそろそろ新幹線や高速道路を増やすの、止めません?と言う感じ。
もう充分だろう…と言う気しかしない。

それよりも、大都市圏の交通行政をどうにかしてよ…と。
それよりも、既にある施設の補修や改修を進めた方がいい。
対効果で見ると、かなり大きいと思うのだが…

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