保線作業員の待遇改善が理由
JR西日本が、かねてから検討を進めていた近畿エリアの在来線主要区間での深夜帯ダイヤの見直しを行なうコトを、正式に社長会見で発表しました。
2021年春のダイヤ改正で、最終列車の時間を、10~30分程度、繰り上げるとのコトで、午前0時以降の列車を中心に、約50本近い列車の削減となる模様。
8月 社長会見:営業・輸送概況、鉄道施設の浸水対策、「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」新しいサービスと運行再開、深夜帯ダイヤ見直しの実施:JR西日本
これは、同社内での「働き方改革」の一環で、線路のメンテナンスを行う保守作業員の労働環境を改善するのが目的。
現状、保守作業は終電~始発までの限定された時間で行っている訳ですが、保守作業員は急速に減少している状態。
ここ10年で23%も働き手が減っているとのコトで、土休日の休みが取りにくくなっているのが現状。
さらに主要駅の利用状況も、帰宅時間が早まり、そもそも深夜帯の利用がさらに減少している状態で、終電を繰り上げるコトで、夜間の作業時間が拡大し、一晩あたりの作業量が増え、より効率的な作業を増やすコトが可能になり、夜間作業日数の低減が可能になると言う流れ。
線区ごとの具体的な時刻に関しては、9月に発表と言うコトで、今回は、未発表ですが、東京発の最終新幹線(新大阪着23:45)との接続を可能な限り確保すると言う話なので、私鉄各社の終電に近くなるのかな?と言うのが、率直な感想です。
働き方改革には、繋がらない
JR東日本も同様の検討を行っている模様ですが、これはどちらかと言うと、コロナ禍がきっかけになった話。
今回、発表になったJR西日本の話に関しては、コロナ禍が出て来る前から検討されていた話で、ホントに作業員の確保が至上命題なのだと思う。
安全運行のキーになる訳で、しっかりとした保線作業と言うのは、必要不可欠。
ヤフーなどのコメント欄を見ても、JRが行ったWEBアンケートを見ても、世間的には賛成意見が多いようですが、個人的には「働き方改革」と言う名目のもとに、企業の費用削減に使われているような感じにしか思えない(JR的には「働き方改革」とは銘打っておらず、「働きやすい労働環境の整備」と謳っていますが)。
フツーに利用が少なくなっているから、終電の繰り上げと言うのであれば、納得なのですが。

そもそも終電の繰り上げをしても、根本的な作業員の確保には繋がらない。
これまでどう言った作業員の環境改善を行ってきたのだろう…とすら思うし、その流れを汲んだ不人気なのでは…と思わざるを得ない。
今まで以下の人数で、全ての作業ができるようにする…
結局のところ、本音がココにあるようにしか思えない。
世間的な賛成意見としては、同社の話ではなく、結局、自分にまつわる不必要な残業が減ると言う意見。
ま、もっともなのかも知れないけれど、こんな自社の残業を、他の要因に絡ませるような意見が主流を占めるようじゃ、日本もオワコンだな…とは思う。
確かに長時間労働の削減は、「働き方改革」の一環だけれども、公共交通機関によってそれを実現すると言うのは、筋も違う。
さらに“柔軟な働き方ができる”と言うのも、「働き方改革」の1つの柱。
平日の午前9時から17時まで働くと言うスタイル以外に、柔軟な働き方を実現すると言うのが、その内容ですが、コロナ禍にあって、テレワークは脚光を浴びていますが、場所だけでなく雇用スタイルや時間にも捉われないのが、「働き方改革」であるのだけれどな…と。
魅力のある職場にはならない
で、結局、これでどれだけの待遇改善になり、待遇が改善するコトで、果たして人が集まるようになるのか。
個人的な意見としては、待遇改善にもならなければ、人も集まるようにならない感じにしか思えない。
単に、全体的な作業員を減らすきっかけになるだけで、新規の人はそう増えないのではないか。
そもそも鉄道作業員の魅力って、何だろう…と言うところから、ちゃんとスタートするべきなんだと思うのだけれど。
これは全鉄道事業者に言える話だけれど。
運転士や駅員のように、日の光を浴びるような職場じゃない。
でも、絶対に必要な職場。
そこにどう魅力を感じて貰うのか。
それをもっと考えないと、結局、人は集まらないように思う。

ま、でもやってみないコトには話は進まないでしょうし、そもそも作業員不足は、実態としてあるのでしょうし、利用も減少傾向なのは、事実でしょうから。
ただ個人的には、終電や深夜帯は、(通常の快速や急行よりももっとこまめに停車する形の)準主要駅のみ停車にするだとかにしても良さそうな気はするし(これだと保線の時間が新たに生まれると言う訳ではないけれど)、まずは複々線区間で、快速線を早めに止めて保線に充てるなどのやり方からスタートするべきじゃないかな…なんて思ったりはしますけれどね。
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