競争激化で単価下落にコロナが追い打ち!
帝国データバンクによると、カプセルホテルの「ファーストキャビン」を運営しているファーストキャビン社とその関連会社4社(ファーストキャビン開発・ファーストキャビン京都三条・ファーストキャビン京都嵐山・ファーストキャビン柏の葉)が、2020年4月24日に、東京地裁へ自己破産を申請しました。
負債総額は、5社合わせて約37億円に上る見込み。
「ファーストキャビン」と言えば、羽田空港や関西空港にも展開されているカプセルホテル。
従来のカプセルホテルは男性を主要なターゲットとしていましたが、旅客機のファーストクラスをイメージしていて、女性客にも支持を集めそうなスタイルで2009年4月に大阪・御堂筋難波店を開業(創業自体は2006年)。
その後は、日本人観光客の他、訪日外国人の増加もあって順調に利用を伸ばし、2019年末時点で全国に26店舗を展開するまでに至っており、2019年3月期の売上高は16億8,645万円にまで伸ばしていた。
が、近年は民泊の普及やゲストハウス・ビジネスホテルなどが多く出揃い、競争が激化し、稼働率が低下し、2019年3月期は減損などの特別損失が発生していて、2期連続の赤字を計上する状態になっていた。
そこに今回の新型コロナウイルスの感染拡大で、利用が激減し、稼働率は3月下旬~4月上旬に掛けては10%程度にまで落ち込む水準にまでなっているなど、急速に業績が悪化。
さらに緊急事態宣言発出後には、休業するホテルも増加し、今回の破綻となった模様。
今回、破産を申請したのは、ファーストキャビン社とその子会社で、この直営5店舗に関しては、営業が終了するコトになる。
具体的に言えば、
・築地
・京橋
・京都河原町三条
・京都嵐山
・柏の葉
の各店舗で、それ以外のFCの店舗については、新型コロナウイルスの影響で現在、多くが休業をしている段階だが、オーナーの意向次第で営業が再開される見込み(因みに、現在も営業が継続されているのは、「ファーストキャビン赤坂」1店舗のみ)。
JR西日本との合弁も解消に!
ファーストキャビンと言えば、JR西日本との合弁会社である「JR西日本ファーストキャビン」も少し前に店舗を閉鎖して解散するコトが発表になっていました。
あべの荘・京都梅小路RYOKAN店は、4月5日と3月末でそれぞれ営業を終了していて、和歌山駅店はリブランドして営業を継続する形と発表がなされていた訳ですが、今回の破産申請と関係があったのだろうか…と。
このニュースを聞いた時は、まだそこまで財務が悪化しているとは思っていなかったのだけれど…
解散の理由としては、ビジネスホテルなどの供給増による宿泊単価が低下して、計画未達が継続しているコトを挙げていたけれども、合弁開始約3年で早々と…と言う感じ。
ビジネスモデルが限界だった?
実際にかつて利用したコトがあるチェーン店。
いや、利用した時はまだまだそこまで全国に展開されている訳ではなかったけれども。
半個室状態で、荷物を置いても充分にスペースが余る部屋もあり、キレイで快適だった記憶しかなく、間違いなく、“カプセルホテル”の潮流を変えた会社であるのは、間違いがないと思う。
ただ訪日外国人の増加などに伴うビジネスホテル・ゲストハウス・民泊の誕生は、カプセルホテルだけれども付加価値を付けて、やや高値圏を狙うと言う「ファーストキャビン」のビジネスモデルを直撃したのは、間違いがナイ。
より安いゲストハウスが広まり、ビジネスホテルの宿泊料金も大きく下がってくる。
プランによってはビジネスホテルの方が「ファーストキャビン」よりも安くなるコトもちらほらで、“ゲストハウス”よりは高く、“ビジネスホテル”よりも安く…と言う感じではなくなっていたのも事実。
そうした安値で集客しているゲストハウスとビジネスホテルを見てしまうと、どうしても「ファーストキャビン」がカプセルホテルなんだけれども、割高に感じられてしまう訳ですから。
そうなると客単価を下げざるを得ないですが、それでも割高感を拭い去るコトが出来なかった感じで、新型コロナウイルスがなくても、遅かれ早かれ、行き詰まる可能性は高かったのかも。
それにしても、ホントに観光業界が悲鳴を上げている。
航空も鉄道もバスも、そしてホテルも。
土産物屋などを併せると、どれだけ影響が広がるのか、全然、予想もつかない状態にある。
今は家にいるべき。
確かにそうだけれども、家にいながら何とかして観光の火を絶やさない様にする術はないのだろうか…
[追記] TKPは市ヶ谷継続を決定!
ファーストキャビンのフランチャイズとして、「ファーストキャビンTKP名古屋駅前」と「ファーストキャビンTKP市ヶ谷」を展開しているTKPは、名古屋については現在、売却手続き中だが、市ヶ谷については稼働率も高く、安定して利益が出せる状態にあるとのコトで、新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着けば、運営を再開する予定であるコトを明らかにしました。
2020/04/28追記
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