『野宿入門』
著:かとうちあき
刊:草思社文庫
野宿で始まったボクの海外旅行暦
なぜ、この本が我が家にあるのだろう…
ふと、そう思える1冊。
確かに旅に出て野宿、したコトあります。
特に若かった頃は、海外でもよく野宿をしていました。
1ヶ月いたイランなんて、宿に泊まった日数と夜行バス移動+野宿の日数が同じぐらいと言うぐらいで、例えばエスファハーンの観光名所にもなっているスィー・オ・セ(アッラーヴェルディ・ハーン)橋でも野宿したりしていて、今でも写真を見ると、“ここで、野宿したなぁ~”みたいな感想しか出なかったりします。
日本で江戸幕府が開かれる頃の1602年あたりに完成したと言う古い橋ながら、アーチが美しい橋なんですけれどもね。
ってか、初めての海外1人旅の最初の宿泊地は、タイ・バンコクの王宮前広場で野宿でしたからね、ボクの場合。
カオサンから目と鼻の距離の王宮前広場。
今ならば、絶対、夜でも入れる安宿を見付けるのでしょうが、当時は、そもそもカオサン自体、宿が今ほど多くはなかったですし、情報もなく、経験もなく…で、とりあえず夜が明けるまで広場で野宿をした訳です。
もう最初の旅がそんなんだから、それ以降のボクの旅でも、野宿に人並みの抵抗がなくなっていたのは、事実なんだと思う。
治安面で大きく不安が残るアフリカでも、ナミビアのウィントフックでやっているし、マリとかでも野宿した記憶がある訳ですが、さすがに歳を重ねると、野宿する回数も減って来るモノ。
直近の野宿は、いつだっけ?
最後に野宿したのって、いつだろう…
空港泊だって最近は避けているのだけれど、野宿と言えるかどうかビミョーな所だと、ブラジルのアマゾン川を進む船が日没後に最終目的地に到着した後、船でそのまま寝かせて貰ったのが最後かな。
アマゾンを船で下る #9 下船:乗船135~140時間目 | now here,no where
ポルトベーリョの港に船が到着。 ここから先は、バスで移動になるので、深夜1時で仕方が無いけれど、バスターミナルまで向かってしまおうと思った。 これから宿に移動して…なんて言うのが、ちょっと億劫だったし。 午前1時発の便があり、次は朝の6時半(ロンプラ的に)。 ならば、もしかしたらバスターミナルは24時間、開いている様な気がしたからだ。 …
その前になると、もうしばらく野宿をしていないなぁ…と思う。
いや、そもそも“当たり前やろっ!”と言う突っ込みが飛んで来そうですし、自分がイランを旅していた頃、アラフォーになる頃でも“野宿をする旅”をするハメになっているとは、想像もしていませんでしたけれどもね。
ってか、その前にこんな歳になるまで、海外をフラーッと旅しているとも思っていませんでしたけれど(笑)。
何かを得られる訳じゃないかも知れないけれど、何かイイ
最近、していない野宿。
でも、決して嫌いじゃなかったりはします。
ただやっぱり安全性が著しく欠けるので、気軽に海外でしたいとは思いませんが。
さて、そんな“野宿”を扱った本。
よくこの本が出版されたなぁ…と、まずは思う。
この企画が通ったコト自体が、スゴイ。
そしてさらに驚くコトに、この本が文庫になったのにも驚く訳です。
誰が買うのよ…と。
いや、買ったから我が家の本棚にある訳ですが…
失礼な書き方だけれども、ほとんどどうでもいい様な内容(笑)。
でも、不思議と読後感が良いのは、著者の野宿に掛ける気持ちが随所に出ているからなのでしょうか。
逆にハウトゥーと言う感じじゃない。
マニュアルと言う感じでもナイ。
前半は、“野宿”を真剣に語っているけれども、どこかボケている様にしか思えず、それでいて勝手に正当化されている様な流れだし、後半はちょっとハウトゥー的な要素が出て来るけれど、個人的になるほど…と思ったのは、「困った時は、トイレ」と言う所ぐらいで、そもそも“野宿”の知識を得た所で…と言う読み手の思いは変わらない訳で(笑)。
いや、そもそもマニュアルなんて必要ないんだよね、野宿には。
だって帯にも“人生、いろいろあるけれど、寝袋ひとつあれば、生きられます”とあるし、サブタイトルだって“ちょっと自由になる生き方”なんだから。
“入門”と謳っているけれど、実際は、野宿経験者で久しく野宿をしていない人向けの様な気がしてならない。
この本を読んで、“さぁ、野宿するぞ~!”だとか、“野宿をする予定だから、この本を読んで勉強しよう~”だとか
とりあえず、“何かを得られる”と言う本と思って読まなければ、面白く読める1冊なのは、間違いがないかと。“世の中には、色んな人がいるなぁ”ぐらいな感じで読むのが一番なんだと。
あ、そう言えば、読んだ後に思い出したのは、高校の先生が、
「酔っ払って終電を逃して野宿をするなら、溝の中がイイ」
と言っていたなぁ…と。
なんでも風に吹かれないから、身体に優しいんだとか(雨が降りそうな時を除く)。
そんな話を授業中にしていた高校って、そもそもどうよ…と、一緒に思い出したけれど(笑)。
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