吾妻線の存続維持に向け、まずは利用促進へ!
群馬県の嬬恋村が、2024年6月1日から、嬬恋村の村民が村内にあるJR吾妻線の駅で乗降した場合に限り、運賃を全額、補助するコトを発表しました。
これは吾妻線の末端区間である長野原草津口~大前間で不採算が続いており、JR東日本側と沿線自治体が存廃の前提を置かない交通体系のあり方について協議を行なう時期に来ており、村としては吾妻線の維持を狙うために、村民の鉄道利用を促したいと言うモノ。
ひとまず、概要はこんな感じ。
- 対象期間|2024年6月1日~
- 対象者|群馬県嬬恋村の村民
- 対象駅|嬬恋村にある吾妻線の駅(袋倉、万座・鹿沢口、大前駅)
- 内容|嬬恋村の村民が、対象駅のいずれかで乗降した際に、吾妻線区間の片道もしくは往復の普通運賃を補助する
JRの運賃割引などが適用されている場合は、適用後の運賃を全額補助し、通学および通勤は対象外。
鉄道を利用後、30日以内に、役場未来創造課あてに所定書類を郵送もしくは窓口に提出すると、後日、指定口座に振り込まれるとのコトで、メールでの申請は不可。
対象駅は全駅無人駅ですが、車掌から切符を購入した場合でも、車掌から乗車記念として使用済みの普通乗車券の切符を持ち帰る必要があり、SuicaなどのICカードで乗車する場合は、降車駅(無人駅の場合は、車内で車掌)で領収書を貰う必要があるなど、やや面倒な感じはします。
ただ渋川から先、高崎方面まで利用しても、吾妻線区間分は補助が出るとのコトで、村民からすれば間口は広そう。
メールでの申請が不可なのもネックになりそうですが、しっかり地元自治体がお金を出して、鉄道を維持して行こうと言う表れなのは、評価したいところですね。
この程度の予算だけなの?
現状、吾妻線は特急「草津・四万」が上野~長野原草津口間で走っているが、それ以外は普通列車。
線内で完結する列車はなく、全列車が高崎方面へと直通運転しているが、万座・鹿沢口まで来るのは、下り11本・上り10本。
さらに終点の大前まで来る列車は減り、下り4本・上り5本のみ。
末端区間では、5~6時間、列車の運行がない時間帯があり、果たしてどれだけ実効性があるのだろう…と言う気はする。
大前までで考えると、やはりもう日常で使うレベルの運転頻度にすらなっていない訳ですし。
ただ片道や半額補助ではなく、往復全額補助と言うかなりの大盤振る舞い。
しかも村内区間だけでなく、吾妻線全区間が対象と言うのも大きいので、それなりに効果や利用があってもいい気はしますね。
とは言っても、予算額は228,000円程度しかないのを見る限り、そもそもそこまで村民の利用は増えないと見ているのかな…とも。
逆にこの予算額で吾妻線の末端区間の廃線論議が吹き飛ぶのであれば、安いモノではあるけれど。
さすがにそれはナイか…
今回の予算が全額、使われた場合、終了してしまうのか。
それとも追加の予算措置があるのか。
仮に終わってしまうのであれば、単なる自治体の“やってますアピール”にしかならず、そのぐらいならば、もうやらない方が良いようにも思うけれど。
村民向けだけでは、もう維持できない…
嬬恋村の人口自体、10,000人にも満たない。
それだけしか元々の人口がいない中で、村民の利用を増やしたところで限りがある。
いや、もちろん、村民の日常的な利用を増やすのは前提条件としてあるけれども、その前提となるパイが少なすぎると言う話。
盲腸線だから、乗り継ぎの需要がある訳でもないし(バスを使えば、軽井沢方面には行けるけれど、限りなくゼロに近いでしょうし)。
村民利用に加え、観光需要を増やさないコトには、もうこの盲腸線が生き残れる可能性は高くないのかな…と。
幸い、万座温泉に鹿沢温泉と、著名な観光スポットはある。
ただ、この辺り、車がないとやはり不便なんですよね、観光でも(草津でもそうだけれど)。
観光需要を含めて、利用をどう促していくか。
運賃助成だけではもうこの区間は、なかなか難しそうな気もするけれど、まずは1歩なのかな…と。
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