広島・スカイレール、運行終了しバス転換を検討へ?

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特徴の多い新交通システムだったが…

広島のJR山陽線の瀬野駅と住宅地のスカイレールタウンみどり坂を結ぶ「スカイレールサービス広島短距離交通瀬野線」(以後、「瀬野線」)について、運営している「スカイレースサービス」が2023年末を目途に運行を終了する方針を固めたコトが報道に出ました。

「スカイレール」の運行終了後は、電気自動車の路線バスへ切り替えを検討しているとのコト。

「スカイレール」は、団地の名称にもなっているが、開発に合わせて1998年8月から運行を開始した交通システム。

モノレールとロープウェイを一体化したシステムになっていて、駅間はワイヤロープで、駅の構内はリニアモーターを利用していて、神戸製鋼所・三菱重工業などによって開発が行われたモノ。
既存のロープウェイやゴンドラと異なり、強風に強く、建設費もモノレールや新交通システムと比べると格段に安く、運営のコストも低く、工期も短いと言う特徴がある。

また「瀬野線」で見れば、最短75秒間隔での運転が可能になっていたりする。

実際に、「瀬野線」は延長約1.3kmで、標高差約200メートルを駆け上る路線で、総工費約62億円で整備がなされた。

1日当たりの便数は平日が90便、土休日は70便。
運賃は大人が170円。
JRの瀬野駅に隣接するみどり口駅と終点のみどり中央の他に、中間駅としてみどり中街駅が設けられていて、所要時間は全線で約5分。

運行終了の理由としては、維持費用を含めた採算面から判断したとされているが、まだ公式の発表は特になく、今後、12日以降に団地内で住民説明会が開催される見込み。

だがあくまでも「スカイレール」ありきで住宅が開発された訳ですし、すんなり事が運ぶのかどうかは不明ですが。

運行終了理由は、採算性?

採算面が厳しい。

「スカイレールサービス」の2022年3月期決算を見ると、確かに純利益は1億4,665万円の赤字(それでも赤字幅は縮小)。
利益剰余金は9億2,135万円の赤字。

純資産が3,089万円。

数値だけ見ると、確かに厳しい。

 

そもそも「スカイレールタウンみどり坂」の人口は7,000人程度。

しかも日本のニュータウンは一部を除いて、開発したらその後はあまり人口が伸びないと言うスタイルになっている訳で、「スカイレールタウンみどり坂」の場合も、入居から時間が過ぎているコトもあり、これから人口が大きく増える要素もない。

10,000人位の人口がいれば、もう少し違う展開があるのかも知れないけれど。

また起点になる瀬野駅自体、商業の集積地と言う訳でもないですしね。

さらに「スカイレール」は、「瀬野線」以外に導入が進まなかった。

建設から時間も経過しており、そろそろ大規模な更新が行われるべきタイミングなのだろうが、他に導入事例が無いのだから、更新のための経費を考えても、スケールメリットは皆無なので、跳ね上がる形にもなる。

都市間の輸送や通勤・通学以外の定期外輸送が見込めるならばまだしも、それもナイし、逆方向への需要もない。

そうなると、やはり今後の展開が見えてこないと言うのは、事実なのだろう。

画期的なスタイルだとは思うけれど、そもそも斜行エレベーターの方がランニングコストも安いので、トータルコストは低く済みそうですしね。

いや、そもそもニュータウンの開発が、最初に造成したら最後…になっているのが、痛い。
「山万」のように計画的な都市の造成を行なっていない限り、持続的な発展が見込めないのであれば、作ったらあとは緩やかに消滅に向かっていくだけですからね。

技術やスタイルは良いモノがあると思う。
せめてもう数例、導入事例があれば…と言う感じはする。
そうすれば更新コストも下がっていたでしょうに。

それこそ坂の多い東京都心部とか横浜・長崎などの坂のある街でも生きるシステムだとは思うんですがね(さすがに東京都心部で導入するとなると、建設コストが嵩むので現実的ではないでしょうが)。

もう少し都市部なら成功したのかも?

時代的にも、もう山の上のニュータウンが流行る時代じゃない。

だけれども、ちょっと失うには惜しい気がする交通システムのようには思う。

1つのニュータウンと麓も駅を結ぶだけだと採算は取れないだろうが、複数の隣接するニュータウンと駅を結ぶと言うスタイルであれば、機能するのでは?とも。

もしくはもっと都市型と言うのも、アリだと。

ただ導入事例が他にないと言うのは、適正に合った交通システムではないと判断されたと言うコトでもあるのだろうが。

それにしても…
モノレールを含む新交通システムは、輸送と供給を見極めるのが難しいですね。

需要過多だと日暮里舎人ライナーやポートライナーのようになるし、需要が少ないと桃花台新交通(ピーチライナー)になってしまうし。

まぁ…
バスの方がこまめに停留所が造れるので、自宅の最寄にバス停ができる方が便利と言う人も良そうな気はしますけれどね。

ただそのバスもいつまである程度の本数を維持できるのか…

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