ノーマスク客を降車させたら…
国土交通省中部運極が、2022年9月1日付で、静岡県東部を地盤にする「伊豆箱根バス」に対して、道路運送法第40条に基づいて、行政処分を行なったコトを明らかにしました。
処分の内容は、バス2台の各25日間使用停止。
処分の発端としては、4月7日の午前、静岡県伊豆の国市を走行中の伊豆・三津シーパラダイス線において、マスクの着用を承諾頂けなかった乗客を、バス停以外の場所で降車させたと言うコト。
この事案に対して、「伊豆箱根バス」としては、
今般の処分を厳粛かつ真摯に受け止め、再発防止に向けて全力で取り組んでまいります
と発表している。
具体的に処分理由を見てみると、こんな感じ。
- 正当な事由がなく、運送の継続を拒絶した
- 事業計画及び運行計画に定めるところに従い、その業務を行なっていなかった
- 主として運行する路線の状態およびこれに対処することができる運転技術ならびに自動車の運転に関する事項について、運転者に対する指導監督が不適切であった
この3点な訳ですが、要するに、正当な理由がなく乗客の運送を拒絶したコトと、バス停以外の場所で乗降させたと言うコトなのでしょう。
航空機の場合、航空会社の約款を事由にして搭乗を拒否するコトが可能だが、今回の事案では、泥酔者など公序良俗に反する人の乗車を拒否するコトは可能だが、道路運送法上、マスクに関しての規定はナイ。
これは市民の足として公平なサービスの維持が求められると言う観点からだと思われ、恣意的に事業会社側が乗客を選別できないようにする必要があるからに他ならない。
が…
マスクは約款・法令上、規定がナイ。
なので、乗車拒否ができないと言うコトを、改めて知らしめた形になる。
行政処分を受けた側の「伊豆箱根バス」としては、
運転手が他の乗客に迷惑が掛かると判断して後者を求めたが、不適切だった。
マスクの着用のお願いは継続する
としていますが、果たしてこれで良かったのか?と言う気持ちだけが残る処分かな…とも。
お願いはするけれど、強制はせず
マスクがどれだけ感染防止に役立っているのか。
その議論は、今後も継続して行われるべきでしょうし、科学的・医学的な根拠も求められて然るべき話だと思う。
そもそも日本はまだまだマスク着用率が高いのに、感染拡大が止まっていない訳ですしね。
一定の効果はあるのかも知れませんけれど、どこまで効果があるのか…と言う感じもある。
ただ国土交通省としては、事案のあった4月時点だけでなく、現状でも
と言うコトを謳っています(『新型コロナウイルス感染症に関する国土交通省の対応』より)。
で、事業者側が、マスクの着用を求めたら、行政処分…
なんかおかしすぎる感じしかしない。
まるで後ろから弓矢を放つような行為にしか思えないのだが…
政府としては、あくまでも国民に対して、マスクの着用は、「要請」。
つまりはお願いに過ぎず、強制ではないと言うコトなのだろう。
それはそれでアリだとは思う。
別に強制する話じゃないし、シーンによってはマスクをしにくい場面もあれば、身体的に合わない人もいますし、拡大解釈をされる可能性もあるので。
ただお願いをした事業者側が処分を受けると言うのは、異例のように思うし、結局のところ、“要請”と言うあいまいな表現で終始して、抜本的な法律上の裏付けを与えず、責任の所在だけを不明確している感じにしか思えない。
ましてやこれでは事業者側も、どうやって今後も乗客に対して、マスクの着用を求めていけるのだ?と言う感じ。
結局、現場に皺寄せがくるだけ
今回の行政処分。
結局、皺寄せが来るのは、現場の方々。
現場ではお願いはするけれど、徹底はできない訳で、今後、板挟みに合うのは確実。
マスク着用を求めるが、法的な根拠は皆無。
それが改めて晒された訳ですから。
都市部の鉄道車内であれば、まだマスク未着用の方が近くにいても、車両を移動できる。
ただバスはそう言う訳には行かない。
せめてできるのは、近くにいないコトと風上に移ると言うコトぐらいでしょう。
政府による曖昧さ。
まぁ、今に始まったコトではないし、良心に任せる日本らしいやり方ではあるけれども、改めて分かるのは、無策さってコトですかね。
いや、感染症を前にすると、そこまで策なんかナイのかも知れないけれど、それにしても国民にお願いするだけって言う法治国家も、日本ぐらいなモノで、異常なのでは?とすら。
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