ブラジル国内線にエアヨーロッパ参入?
ブラジルの民間航空庁が、スペインに本拠を構えるエア・ヨーロッパに対して、ブラジル国内線の定期便の運航を許可するコトを決定しました。
これはこれまで20%を上限と定めていた外国資本の航空会社に対する出資比率規制を撤廃して、100%外国資本の航空会社によるブラジル国内線市場への参入を認める法令が連邦下院議会で可決されたコトに対する動きで、既に連邦上院議会に置いても可決され、採否の最終判断の為にジャイル・ボルソナロ大統領へ法令が送られているモノ。
参入が実現すると、完全に外国籍の航空会社がブラジル国内線の定期便を運航するのは、初めてのケースとなります。
エア・ヨーロッパ。
スペインを拠点にしている航空会社で、ブラジルには、
・マドリード~サンパウロ(1日1往復)
・マドリード~サルバドール(週3往復)
・マドリード~レシフェ(週2往復)
の3路線を運航している航空会社。
アライアンスはスカイチームに加盟していますが、日本線は未就航なのと、そこまで規模が大きくはないコトもあって、日本にいると、ちょっと地味な感じの航空会社なのは、否めない訳ですが、そのエア・ヨーロッパがブラジル国内線へと参入すると言うコトになります。
ブラジル国内線はGOLとLATAMの2強
ブラジル国内線は、有償旅客数に輸送距離を掛けたRPK(旅客キロ)を2018年度ベースで見ると、
1位:GOL・35.5%
2位:LATAM・31.9%
3位:Azul Brasil・18.6%
4位:アビアンカブラジル・13.6%
の順番。
2位のLATAMがワンワールド、4位のアビアンカブラジルがスターアライアンス加盟航空会社ですが、アビアンカブラジルに関しては、負債未払いに伴う機体差し止めを防ぐ為に、会社更生法の適用を申請し、受理されていて、シェアは今後、大きく落ち込む形になる見込み。
実は既にGOLはデルタ航空と、LATAMはカタール航空と、アズールはユナイテッド航空から、それぞれ限定的ではありますが、出資を受けています。
でも、今回のエア・ヨーロッパのブラジル国内線参入と言うのは、全くの外国籍の航空会社による参入と言うコトになり、別次元になる感じです(もっとも、別会社を作って対応するのでしょうが)。
何故、エア・ヨーロッパ?
まぁ、日本だと航空業界はまだ外資規制が効いているのですが、実は南米は、既にチリ・コロンビア・ボリビア・ウルグアイ・パラグアイと言った国で、100%の外資による出資が認められていたりして、珍しい話ではなかった訳ですが、国内線の市場規模が大きいブラジルで外資規制撤廃と言うのは、なかなか思い切った施策の様にも思えますね。
でもシェア首位のGOLがスカイチーム寄りの航空会社であり、既にデルタ航空からの出資も受けている状態。
それなのに、スカイチーム加盟航空会社であるエア・ヨーロッパが参入する意味は何処にあるんでしょう…と、ちょっと思ってしまったりも。
そもそもエア・ヨーロッパが、ブラジルへ数多くの路線を就航させている航空会社ならば分かるのですが、ブラジル路線はまだ3都市だけで、そこまで多い訳ではない。
しかもブラジルは南米では珍しく旧スペイン圏ではなく、ポルトガルが旧宗主国なので、やっぱりヨーロッパ~ブラジルの路線も、ポルトガルが拠点になっているTAPポルトガル航空の方が、断然、多い訳ですし。
まだまだブラジルの国内線は伸びて行く市場なのでしょうが、それでも価格競争などは既に激しい状態ですしね。
そもそも本気度がどれほどなのかがまだ判明しないので、何とも言えない部分はありますけれども。
航空業界のボーダレス化が進むか?
でも、個人的には、これからはこうして航空産業もボーダレス化が進むのかなぁ…と。
既にヨーロッパではその動きが顕著ですし、南米だと元々はチリを拠点にしていたLATAMなんて、ブラジルのTAMと合併したコトでほとんどの南米の国に子会社を持っていますからね。
アジアだって、エアアジアなどLCC勢が合弁はありますが、子会社を各国に作っていて、日本にもエアアジアと春秋航空の子会社があり、それぞれで就航路線や便数を伸ばしていますから、その内、航空業界からは外資規制が無くなるんじゃない…と言う気がしてしまいます。
日本の航空業界だって、高齢化で人口が減って行く中で、生き残っていくとすれば、“日本”と“日本人”に頼らない様な展開が必要になって行く訳で、今までは手厚い国内線の利益が会社の源泉になっていましたが、そろそろ海外に打って出るなどの、これぐらい思い切った施策が出て来ても不思議じゃなくなる気はしますね。
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